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2022年に読んだ本②―伊東潤・山田風太郎

 1回で終わらせるつもりが、葉室麟だけで1回費やしてしまった。

第2位 伊東潤

 2022年第2位は伊東潤の6冊。実は大晦日に読了した「決戦!忠臣蔵」(講談社文庫)に葉室麟「鬼の影」が含まれており、0.14(=1/7)冊を加えて、単独1位になったのだった。

 伊東潤も、文庫化されると欠かさず読んでいる作家。6冊のうちでは「潮待ちの宿」(文春文庫)がよかった。幕末の笠岡(岡山県)を舞台に、宿屋で働く1人の少女の成長を描いた作品。伊東潤の小説の登場人物は男性中心だが、やや押しが強いというか、熱すぎる人が多い。その点、主人公志鶴は、ちゃんと強さは持ちながらも、熱くはない。読んでいて応援してくなるのである。
 確かメールマガジンで「初めての市井物を書くために、『御宿かわせみ』を徹底的に研究した」と書かれていた。市井物の続編にも期待したい。

第3位 山田風太郎

 第3位は井原忠政と山田風太郎の5冊。まずは山田風太郎から。

 山田風太郎は忍法物以外の新しい文庫の発刊が続いている。編者は日下三蔵である。日下三蔵が編者の本のおもしろさは信用できるのだが、最近活躍しすぎて追いつけないのは難点。まあ、山田風太郎ならだれが編者でも買うのであるが。

 もう20年以上たっているのだが、山田風太郎の様々な小説が、立て続けに文庫化された。その頃にも結構読んでいるので、実は再読になるものも多い。ま、あんまり内容は覚えていないので、新鮮な気持ちで読めるのだが。一番印象に残っていたのは、「黒衣の聖母 山田風太郎傑作選 推理篇」(河出文庫)に収録されている「裸の島」の五十嵐金吾のせりふ「飯がくいたい喃…」。文末の「のう」に漢字があるというのが衝撃でした。

(「みんなのフォトギャラリー」から、笠岡の写真を使わせていただきました)

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