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【不定期・小説】アマビエ様#3

酔いがまわってきた。

世界がぐるぐると回る。なんだか、楽しくなってきた。そうだ。さっき、スマホに保存した「アマビエ」の画像をプリントしよう。

私は、Twitterの#アマビエチャレンジ で集めたイラストを、片っぱしからプリントした。

出力した紙を一枚一枚、部屋の壁やドア、窓など目のつくところにセロハンテープで貼った。

部屋の中のどこを見ても、「アマビエ」だらけだ。私は手を合わせて拝んだ。

「アマビエ様お助け下さい。どうか、明日も生きていられますように」

そんな呪文を何度か呟くと、酒の効果もあり布団の上に、どしんと倒れこんでしまった。

天井を見上げると、蛍光灯の光がチカチカして眩しい。このまま、毛布にくるまって深く地の底まで沈んでしまいたい。

足の親指で毛布の四隅の角を挟むと、眠気がさらに増してきた。布団の中に入り、スマホに向かい話しかけた。

「ねえSiri、いつになったら平和になるの?」

スマホは沈黙したまま、何も喋らない。私は、そのまま眠り込んでしまった。

つづく、

前回の話はこちらから↓


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