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降り落ちる雨は、黄金色#6

 佳代は怒るでもなく私の命のお薬と言い、飴を食べる様に錠剤を口の中に何粒も放り込んだ。彼女は色とりどりの錠剤を気に入っていた。

「薬飲むの嫌じゃない?」

「そんな事ないよ。薬が溶けて、じわじわと効いていく感じがたまらないの」

「なにそれ、全然分かんない」

佳代は傷ついた顔をしていた。

「この感覚はあたしの宝物だよ」

「ごめん」

 申し訳ない気持ちでいっぱいになった。この世から消えてしまいたい。私の表情を察した佳代が、やさしく抱きしめてくれた。

「そんな顔しないの」

「きみに嫌われたら生きていけない、見捨てないで」

「おおげさだな」

「大好きだよ」

私はバカみたいに泣いていた。 佳代の言葉は、夢中にさせてくれる。

 彼女を理解できない自分が悔しかったし、許せなかった。どうして私も病弱ではないのか。佳代からは、いい匂いのシャンプーの香りがした。色素の薄いサラサラとした髪がゆれている。

 みんな彼女を無視することはできない。クラスで絶対的な影響力を持ち、皆に愛され先生にも模範の生徒だと賞賛される。

そんな君になりたかった。

第一部 終


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