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降り落ちる雨は、黄金色#4

 クラスメイト達は皆、スマホの無料ゲームや芸能人の恋愛の話を楽しそうに話している。くだらない。お前ら全員、さっさとつまらない男に消費されてしまえばいい。皆お互いを牽制しあってありきたりな話題で、盛り上がっているフリをしている。やつら上辺だけだ。私とは話が全然通じない。寄り添えない。全員他所の惑星の住人だ。その事を佳代に話したら軽く笑われた。 

「いいじゃん。別にテレビでもゲームの話題だけで盛り上がれるなら」

「そうなんだけど。それじゃ負けた気がする」 

「面倒くさいなあ」

 「ソシャゲなんか運営がサービス終了したら終わりじゃん。毎日毎日ログインして魔法石集めてさ、ガチャひいて課金して馬鹿みたい」 

 理解してもらえなくても私が感じている不満を話したら、だいぶ気持ちが楽になった。佳代はクラスで友人が多く、病気のせいなのか儚げに見える。彼女は何もしなくても愛される。健気に明るく振る舞う姿は、月見草の様に美しい。

 彼女の隣に居ると自分が穢れていると感じ、そのコンプレックスから消えてしまいたいという衝動にかられる。辛い。その事を佳代に告げると「キモい」と一蹴された。 君には敵わない。

 そんな事を考えた自分を恥ずかしいと感じた。佳代は身体が弱い自分を呪っておらず、一瞬一瞬を確かめる様に生きている姿が凛々しかった。どうしてそんなに明るく生きられるのだろう。そんな疑問を彼女にぶつけると、鞄の中から一冊の本を取り出した。

つづく

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