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人類学メンタリング #2


前回のふりかえり

 2回目のセッションが終わったので、備忘も含めて記載していこうと思います。
 前回は、「リサーチのはじめかた」をもとにワークを実施したが、うまく自分のテーマが見つからずに、刺さる問いにならない、という点で終わってしまった。今回は、一旦「どう見られるか」を横において、自身のテーマを掘り下げてみること注力します。
 結果的に、自分の興味があるテーマと人類学のテーマの交点を見つけられそうです(技術人類学という領域と繋がりそう)。とはいえ、焦って小さくまとまってしまうと、前回と同じくなってしまいそうなので、ゆっくり育てていこうと思います。

ワーク(2度目):テーマの洗い出し

 前回ふれた、「古いもの(バイクや古民家)のレストアに興味があり、そのYOUTUBEを見続けてしまう」ということを起点に、10分で、どのような点に興味を持ったのか、なぜ興味を持ったのか、を書き出してみる。前回よりも自分自身の言葉で自身の関心に沿っている気がするし、素直で小さくまとまっていない点が、磨かれていない原石な感じもする。メンターからのフィードバックも概ね同意。ここまでは、変に小さくまとまることを避けられている点が前回からの改善点。ポイントは馬鹿げているとか、自分の感想を一旦挟まずに興味に素直になること。

・職人同士が練度高く、阿吽の呼吸で一連の作業を進めていく姿を眺めることが好き
・エンジンが掛からないほどに汚れてしまったバイクや車の部品を洗浄したり、交換したりして、設計時に想定された姿、もしくはそれ以上の性能を引き出しているのに成功している姿が好き
・手に入りにくい部品について、あるものを組み合わせたり、オリジナルで作ったりする点についても興味を持っている
・設計者の思想を汲み取って、リスペクトしつつも、望んだ姿を違った形で表現し直そうとしているようにも思える
・古民家のセルフリノベーションを行って、無骨な骨組みにモダンな家具を並べたアンバランスでバランスをとっているすがた
・古いバイクの部品を活かしつつ、最新の部品や代替品を有効活用させた、古さと新しさの融合
・錆びた部品を磨いて再塗装して使っている感じ

 この後に、いくつかの検索ワードで検索。雑多にヒットする情報を書き出して、24時間の間をおいた後に、3つの質問に回答。
 ここまでで、メンターからのフィードバックは「実施したことをできるだけ記録しておくとよい」ということ。例えば、検索を行ったのであれば、検索に利用したキーワード、媒体(youtubeなのかgoogle検索なのかCiniiなのか、他の特殊な媒体なのか)、検索中に実施したこと(メモを取った、並行してこんなことが気になった、等)、思ったこと、気づいたこと。等をメモしておくと、後でふりかえった際の情報量が増える。その際のメモは、整理は後に時間を実施することになるので、特に形式を気にせずに、記録する。気になった一言のように全てでなくてもよい。

1)この項目から何を思い浮かべるか
・過去にバイクに関わってきた人との対話
・公言しないが、自分の技術力をどこまで試せるか

2)あえて推測するなら、私はなぜこれに目を止めたのだろうか
・人の関わりと自分の力量の計測:設計者が思い描いた姿、過去に使ってきた人がどんな思いでどんな使い方をしてきたのか、自分の力量でどこまでそれらを汲み取って直して、元の姿以上にできるのか。

3)この検索結果を見たときに、どのような問いが思い浮かぶか
・どんな人がレストアに興味を持つのか、目的は?
・どこで行われるのか
・費用はどのようにして用立てるのか
・時間はどのくらいかけるのか
・最低限必要な道具はどのくらい
・直らないかもしれないという不安はどのように解消しているのか
・モチベーションを維持する方法は
・ノウハウはどこで身につけるのか
・レストアしたバイクはその後にどうするのか

ワーク(2度目):テーマ周辺にある退屈なことの洗い出し

 退屈に感じることはテーマ別の角度からクリアにしてくれるとのことで、テーマ周辺にある退屈なことを洗い出した。僕はレストアに対する「批評行為」が退屈に感じたので、そこを掘り下げてみました。
 ただし、メンターからのフィードバックで、この進め方は本来の趣旨とはズレていることがわかった。ただ、実施したことで別の発見もあり、意味はあったので、記載します。
 興味深かったのは、このワークをすることで「批評」に関しての認識が変化したことです。当初は「批評行為」は自身で物作りできない人がマウントを取る行為に近いと感じていました。ただ、批判、批評(評論)に分かれており、プロダクトの背景を用いた適切な批判は、プロダクトが置かれた文脈をクリアにすることを助けて、視野を広げてくれる可能性もある。加えてそこに自分の意見を加えるような批評は、多数のプロダクトを見てきた横断的な視点や読み手に沿った言葉の変換が行われることもあり、周辺参加者を増やすこうかもあるでは、と思い返すようになりました。
 といったことをメンターに話したら、今回はワークのやり方を間違ったが、気づきを得られた。その変化の経緯を共有するという意味でも今後はメモを残した方がいい。仮にワークのやり方が間違っていても経緯のメモが残っていれば、副次的に得られることを探ることができる。とのフィードバックをもらった。

1)この項目から何を思い浮かべるか
・手を動かして考えることに重きを置いている気がした
・言葉だけで考えると、実感が湧きにくいのかもしれない
・実際に触ってみて、知ることができると思っているのかも
・現物を使っての試行錯誤からのフィードバックから実感を得やすい正確なのかもしれない

2)あえて推測するなら、私はなぜこれを心に留めなかったのか
・批評については、最初から見ないようにしているかもしれない。
・本来の批評行為が何を目指しているのか、等について調べることもしていない
・口だけ、と思って軽視している面があるかも
・実際に批評も調査もあまりやっていないので、経験がなく不得意

3)この検索結果を見たときにどんな問いが心に浮かぶか
・手を使って考えるような、目の前のことだけではなく、本来の姿やあるべきの姿について、時間を使って考えるようにすると目先の作業の意味にも重厚感が出そう
・批評とは誰が考えた行為なのか
・有名な批評家は
・批評をするまえの事前リサーチはどのように、どの程度行うのか
・批評がもっとも効果を上げるような領域は
・批評がポジティブに受け入れられた事例は
・批評の典型的な効果にはどのようなモノがあるのか

ワーク(2度目):問いを作る

 前回に続き、関心があるテーマ、退屈だと感じることを踏まえて、小さな問いを作っていく。問いを作ることでテーマと自分の交点への理解を深めることができるし、問いはを整理したり、育てていくことで、将来的には「問題」として扱うことができる(次回以降で扱うワーク)

「古いものを直す(レストア)という行為」についての問い

・誰が始めたのか?(歴史?)
・レストアをやっている人はどんな属性(時間がある人、お金がある人、等)のひとなのか?
・どんな点に達成感を感じるのか、ないとしたらその目的は?
・レストアを行っている場所は?
・レストアに必要な道具は?
・必要なスキルはどこで習得しているのか?
・どんなレストア対象があるのか?
・不足した部品が有った場合の調達方法は?
・新しい部品は、いくらまでなら買うのか、いくらまでなら直すのか?
・レストアに要する期間は?
・期間が長い場合、モチベーションのマネジメントはどうしているのか?
・一度レストアのサイクルを回した人は、レベルアップして難しいレストアに挑戦したくなるものか?
・レストア対象を選択する判断基準は?
・レストア対象をどうやって運んでくるのか?
・途中で手に負えないレストア対象が有った場合にとる対応は?
・レストア後に対象はどうするのか?
・レストアを職業にしている人は??
・彼らはどんな経緯で職業にしたのか?
・タイムマネジメントはどうしているのか??(計画的に実施、気持ちが乗ったときに実施、計画はないがタイムボックスで実施)
・レストア記録は取るのか??
・費用の調達はどのようにするのか??
・費用が切れた際には、追加調達はどのように実施するのか?

フィードバックとふりかえり

 全体を通じてメンターからは、前回と比較して、自分の言葉で話しているし、具体的な点を話しているように見えるとのフィードバックをもらいました。自分が持っている印象と近かったので一安心。ただ、まだ正解を探りに言っているときがあるので、その点はもっと徐々に自由になっていこうかなと思います。
 もらったフィードバックや議論の概要が興味深かったので共有します。

挙げた問いがWikipediaですべて回答されていると感じる
→ Wikipediaは編集者の問いに対応する形で記載されている。間接的に回答しているように見えているが、僕の問いに正面から回答しているわけではない。(Wikipediaは2次情報なので、1次情報にあたる)

全部の思考プロセスを記録する
→ 問いを挙げたがまとまっていないと感じる。一貫性が出るようにカテゴライズしてみようと思う。高尚なカテゴライズを行ってしまったように感じるが修正方針がわからないので、一旦はこのままにしておく、等の途中経過のプロセスを記載することで、後にふりかえって議論できる。ここまで記載しておくことで、自分の解釈が入ったとしても修正が可能。

レストアとは物質的な観点と思想的な観点がありそう。例えば、古いものを実用レベルに修正するのか、あくまでオリジナルの形に戻すことを目的にするのか、それともカスタムベースにするのか、等々
→ ものを通じた対話の中でそれらの形を決めていくのもレストアの面白さの一つであると感じている。
→ もしかすると、社会情勢や部品のサプライチェーン、例えばレストア動画のYOUTUBEでの再生件数がレストアの方向性にも影響を与えているかもしれないので、そのような観点で考えてみるのも面白そう

道具と文化の関係を探った技術人類学という学問がある
→ ある特定の行為を発展させるために道具が発明された。行為は発展するが、道具の制約が行為を想定外の方向に進化させる可能性もあり、更にその行為が道具に影響を及ぼすことで、想定外の進化にすることもある。というような、行為と道具の相互作用によって行為が想定外の進化することもある。ということ

所有も興味深い問いの切り口の一つ
レストア車を所有するということの意味は?
部品取り車を所有することと動作保管することの違いは

Detailを語っている時にはだいたい望む方向に進んでいることが多い。楽しそうだし
自分の解釈が入っていることをネガティブに捉えている印象を持っているように感じたが、重要なこと
→ 解釈を入れると、高尚な問いにしてしまうことが多いので、そこで思考の掘り下げが止まってしまう。そのことを懸念している。
→ 思考が止まってしまう過程までのステップを記載しておくことで防ぐことができる

記載と整理は別。記載の際には思ったことも含めて記載しておき、構造化は後に実施




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