人類学メンタリング #3
はじめに
こんにちは。今回のセッションでは自分の中で理解が進んで、リサーチってこうやってすすむのか、というのが少しだけ腹落ちした回だったのですが、言語化するのが難しいので、備忘としては残しますが、読んでいただくには退屈な回になるかもしれません。。。
やったこと
前回から、ワークとしてやったこととしては、バイクのレストアとテーマに関して一次資料をリスト化、一部を読み込みました。具体的な行為に関する書籍については、「二輪旧車再生マニュアル」をよんで、どのような領域にどんな技術があるのかをメモ。技術の進化によってレストアのような行為が変容していく事象を追ってみるという意味では、「 ガーナ都市部における自動車修理工の技術 熟練度の異なる徒弟らの道具と身ぶりに着目して」のガーナの事例や「野生のエンジニアリング ─タイ中小工業における人とモノの人類学」から、タイの事例に触れて、どんな点が気になり、理解がどの様に変わったのかを記録しました。また、身体と道具の関係性についての考察はルロワ=グーランの「みぶりと言葉」から気付きを挙げました。
ルロワ=グーランについては、咀嚼するに至らなかったので、下記の参考サイトを参考にしました(今後時間をかけてきちんと読みたい)
起こった変化
行為の変化として起こったのは、記録を取るようになりました。書籍を読む際にも、iPhoneの音声メモで、気になった箇所、どんな点が気になったのか、を逐次記録しながら読むようになりました。それらの蓄積されたメモを後で俯瞰することで、テーマに対する理解が深まったり、広がったりと変化することがわかったのが面白かった。
テーマに対する具体的な変化は、バイクのレストアという具体事象をテーマにおいて探索を始めたが、一階層抽象的になレイヤーには、技術と人間の進化の関係性があることがわかった。それらは「技術人類学」という分野として研究されており、そこでは、人が道具を進化させ、進化した道具が、人の技術の方向性に制約を与える。さらにその中で道具が進化することで、人の技術にも広がりが発生したり、狭まりが発生したりすると言うような違いが互いに影響及ぼして進化が起こっているという理解に至った。さらに歴史を遡ると、ルロワ=グーランのような先人が言語を含んだ広い技術、をも含めた、人と技術の関係を語っている記述に触れて、「技術」という言葉を捉え直すことができた。
結果として自分がわかったこと
バイクのレストアという行為は、先人の設計思想を現存のプロダクトから読み取って、現代の技術と部品で新しい方法で補修していくという行為。であることと再定義した。設計思想を理解して、実現手段(課題解決)を考えることになるので、課題の解釈、解決方法のオリジナリティ等、レストアする人の表現とも言うことができる。それらの創意工夫がレストア行為に多様なスタイルを生み出しているし、レストアという行為に価値を生み出しているのではないか、と思った。ただ、ここで挙げた「価値」は、単純にお金に換算されないということもあり、どんなコミュニティの中だと、どんな行動が価値を生み出す行動として捉えられるのか、を観察しないと、解決手段のオリジナリティがレストアの価値を増幅しているか、という仮説の難しそうであることもわかった。
整理すると、今回のセッションで2点がわかった。
1)価値を増幅させる行動が生成的に行われているのでレストアという行為が持続してるのではないかという仮説は立ちそう
2)レストアという行為は、プロダクトの設計思想を現状のプロダクトの状況から類推、解釈して現時点での部品や技術を用いて修正(課題解決)していく行為なので、技術人類学で議論されている内容に親和性が強そう
次回までの宿題
ここまでで、「バイクのレストア」というきっかけのワードから、一次文献に当たってキーワードを探したり、小さな問いを立てることで、関心事(テーマ)の輪郭をクリアにする作業を行ってきました。
次に進むために不足しているのは、ストーリーとのこと。今まで話してきた関心事に関する内容は、僕自身にとっては引っかかっている言葉はあるが、読み手、聞き手にとっては、特に引っかからなかったはず(苦痛だったはず)、それは、相手に関心事が届くようなフォーマットを意識していないため。そのフォーマットの一つがストーリー形式。読み手に届いて批評してもらえるようになることで、より、多数の目で、僕自身の関心事が議論できるように、各種論文を読んでストーリーを意識して、今まで検討してきたことを整理していくのが次回までの宿題。
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