「ユリガッシーン!!」第3話

○喫茶ランドル・内
   千里とむつみが外の状況をみて驚愕する。
   合成獣トビタイヤが空を暴れまわる。
トビタイヤ「こうやって飛び回るなんて気持ちいいぜ!」
   飛びだすむつみ。
むつみ「すいません、私はこれで」
珠美「昨日さん、どこ行く気だい?」
むつみ「私、刑事なので」
珠美「あらそうなの」
   出ていくむつみ。
千里「お姉さん!」
   千里も出ていこうとするが、珠美に止められる。
珠美「こういうのは警察に任せておけばいいの!」
千里N「私さえいればユリガッシーンになって戦えるのに!なんて信じない 
 よね」
   考える千里。
千里N「そうだ!」
 
〇街
   警官たちがトビタイヤを止めようとするが効果がない。
トビタイヤ「死ねよヤァ!」
   空中を自由に舞うトビタイヤ。
トビタイヤ「貴様らの攻撃が効くと思ってる辺りがお花畑なんだよぉ!」
   大川とむつみが入ってくる。
大川「状況は?」
警察官A「膠着状態、というよりも舐められているというのが実情でござい  
 まして奴は自らをトビタイヤ様と名乗ってまして」
大川「で、どうするか、だな」
むつみN「あの子が居てくれたら」
   むつみ、千里の事を思い浮かべる。
   すぐに頭を振るむつみ。
むつみ「あの子は一般人!」
大川「どうした?」
むつみ「こっちの話です、すいません」
大川「今はどうやって奴を止めるか、だな。昨日の提供映像みたいに対抗する力を持つものが居れば!」
むつみ「そ、そうですね」
    苦笑いするむつみ。
大川「どうした?今日は様子が変だぞ?」
むつみ「私に少し考えがあります」
大川「どんな作戦だ?」
   むつみ、喋るより先に体が動く。
   銃を撃ちながら走るむつみ。
   銃弾がトビタイヤに命中するが、ポロポロと落ちる
トビタイヤ「効かんぞ!女!だが、お礼はし
てやる。シマタカのぉ!」
   トビタイヤ、むつみを攻撃しようとする。
トビタイヤ「痛い目を見てもらう!」
千里の声「危ない!」
   千里がむつみの手を引っ張り攻撃を回避する。
   千里が来たことに驚くむつみ。
むつみ「どうしてここが?」
千里「悪い風が吹いてたから」
   光り輝くダップルが現れる。
ダップル「一気に畳みかけるっプルよ!ユリガッシーンに変身するっプ
 ル!」
   むつみが千里にキスしようとする。
   少し拒否する千里。
むつみ「どうしたの?」
千里「こう、なんというか、ムードというか……サードキスくらいは……」
むつみ「今はそんな事言ってる場合じゃありません!」
千里「ですよねー!」
千里・むつみ「ユリガッシーン!」
   胸が光り、キスする千里とむつみ。
   白いドレスの様な衣装のユリガッシーンに変身する二人。
千里「私、次の予定入ってるから早く倒さないと」
トビタイヤ「なんだ貴様ら!」
千里「我らユリガッシーン、あんたを倒す者だ」
トビタイヤ「そうか!貴様らが!」
   トビタイヤ、千里を上空から走りながら攻撃するがなんとか避ける。1回転して上空に戻るトビタイヤ。
千里「危ない!もうちょっとで当たる所だった」
むつみ「これじゃどうしようもできない!」
千里「ダップル!何か策はない?」
ダップル「奴の速度を落とせば何とか」
トビタイヤ「何をペチャクチャと!シマタカの所へ送ってやる!」
   トビタイヤがむつみを攻撃する。何とか回避するむつみ。
むつみ「当たると本当に痛そうね」
   1回転して空中に戻るトビタイヤ。
千里「そうだ!」
   何かを思いつく千里。
千里「そうだ!空中戦が不利なら地上に引きずりこめばいいんだ!」
むつみ「そうか、私がおとりになるからお願い!」
   むつみ、千里から離れ、トビタイヤを誘い込む。
トビタイヤ「攻撃してくれって言ってるよう
 なもんだよなぁ!」
トビタイヤ、むつみを攻撃するがむつみは回避する。
千里「今だ!」
   1回転しようとするトビタイヤの羽を掴む千里。
トビタイヤ「何する気だ!」
千里「あんたは気づいてないかもしれないけどね、あんたは空に戻ろうとす
 るとき1回転する癖があるの、それを利用する!」
トビタイヤ「何を!」
千里「せいやぁ!」
   トビタイヤの羽をもぐ千里。
トビタイヤ「ぐわああああああああああ!」
   そのまま地上を駆けずり回るトビタイヤ。
トビタイヤ「許さん!貴様だけは!許さん
ぞ!」
   爆走するトビタイヤ。攻撃が当たってしまう千里。
千里「ぐぅ!」
   胸にダメージを受け、苦しむ千里。
トビタイヤ「撤退だ!こんな姿で!クソ!」
    撤退していくトビタイヤ。
千里「ギター!」
むつみ「大納言小豆!」
   変身解除する二人。
   千里に寄り添うむつみ。
むつみ「なんであんな無茶を!」
千里「ああしないと勝ち目はなかった。かなって」
むつみ「だからと言って無茶と無謀は違うでしょ!」
千里「それお姉さんにも刺さらない?」
   ハッとするむつみ。
むつみ「私の事なんかいいのよ。それより対策会議」
千里「ごめん、私行かなくちゃ」
むつみ「その傷でどこへ?」
千里「来る?」
    ×××
大川「あれは一体なんなんだ?」
 
〇ライブハウス・コスモス・外観(夕)
 
〇同・中(夕)
   千里を含むロックバンドが演奏している。見学してるむつみ。圧倒
   されるむつみ。
   演奏を終えて千里がむつみに寄ってくる。
千里「無理に付き合わせてちゃってごめん
 ね」
むつみ「いえ、あなたこんな音楽も弾くのね」
千里「まぁね」
むつみ「それよりも傷は大丈夫?」
  千里、サムズアップする。
   岡川ゆかり(24)がやってくる。
ゆかり「お疲れ千里。今日もヘルプやってもらってごめんね、その人は?」
千里「昨日さんのお姉さん」
ゆかり「随分仲がいいように見えるけど」
千里「まぁ繋がったわけだし」
興味なさげにゆかりはむつみを見る。
吉崎プロデューサーがやってくる。
吉崎「ギターの君、いいね」
むつみ「誰?」
千里「吉崎プロデューサー、この界隈では知らない人はいない」
むつみ「へえ、すごいじゃない」
ゆかり「やっぱり千里に正規メンバーになって欲しいんだ」
千里「やっぱり?」
ゆかり「千里のギターテクが私たちのバンドに必要なんだよ!」
千里「でも、私……」
ゆかり「今組まないとプロデューサーが逃げちゃう!デビューをふいにしち
 ゃう!」
千里「でも」
ゆかり「わかってる、千里のやりたい事も。でもそれはバンド活動しながら
 でも十分出来るでしょ!」
   黙る千里。
ゆかり「私たちはメジャーデビューしなくちゃいけないんだ!その為には千
 里の力が必要なんだよ!」
   むつみの携帯が鳴る。
むつみ「はい」
   驚くむつみ。
むつみ「トビタイヤが!」
   電話を切るむつみ。
むつみ「大事な話の途中悪いけどもっと大事な事が出来たからこの子借りて
   いくわよ」
千里「ほい?」
むつみ「トビタイヤが出た」
千里「行かないと!」
ゆかり「千里にとって音楽以上に大切な話がどこにあるのさ!」
   ゆかり、千里を引き留めるが、千里は
それを振り払う。
千里「私が行かないと誰かが傷つく!私怪人倒しも音楽も両立してみせる!
 ごめん!」
   退出する千里とむつみ。
 
〇廃工場(夕)
   千里とむつみがキスしようとしている。
千里「嘘でもさ、好きって言ってくれない?」
むつみ「それって絶対必要?」
千里「ごめん、忘れて」
千里・むつみ「ユリガッシーン!」
   キスする二人。ユリガッシーンの衣装に切り替わる。
千里「過去最大ムードが無いかも工場って」
   苦笑いする千里。
むつみ「そうね、でもこれが最善策なの」
千里「ここに誘い込むんでしょ?」
むつみ「気配を感じてくれたら、だけど」
千里「馬鹿は来る!」
   翼をもがれたトビタイヤが現れる。
トビタイヤ「許さんぞー!」
   爆走するトビタイヤ。
千里「あの作戦で行くんだよね」
むつみ「ええ。タイヤだからきっと弱点はある、多分」
千里「まずは爆走させる、そして摩擦で1番弱ったところに、だよね!」
むつみ「よくできました!」
   むつみに攻撃するトビタイヤ。
   トビタイヤの攻撃を受けてしまうむつみ。
千里「お姉さん!」
トビタイヤ「もうそろそろ地獄へ送ってやる
からな」
   ニヤリと笑うトビタイヤ。
むつみ「作戦変更と行きましょうかね?」
千里「え?」
むつみ「地上に引きずり込んだとて勝ち目はないわね」
千里「そんな!」
むつみ「昨日倒した時に見せたあのキックを正面からお見舞いするのよ!」
千里「そんな!弱点に当たらなかったらどうするのさ!」
むつみ「私、ギャンブルをしたことがないから大丈夫。ビギナーズラックっ
 てやつ?」
千里「その賭け、乗った!」
    突撃してくるトビタイヤ。
千里・むつみ「ユリガッシーン、Wキーック!」
   二人合わせてトビタイヤにキックする。
トビタイヤ「空の旅、ご安全に~!」
   爆発するトビタイヤ。
千里「勝った!」
むつみ「私のギャンブル運も捨てたもんじゃないわね」
   大川が入ってくるが、千里とむつみとユリガッシーン姿を見て扉の陰
   に隠れる。

   変身解除する千里とむつみ。
大川「あれは五十嵐だったのか……」
   驚愕する大川。
千里「ちゃんと責任取ってよね?」
むつみ「え?」
千里「ちゃんと愛して。私の事」
むつみ「愛してるわ、だからキスしたのよ」
千里「私のどこが好きなの?」
むつみ「それはおいおい、ね?」
千里「お姉さん百戦錬磨だから誰とでもするのかと」
むつみ「そんな事言うあなたの口を閉じちゃう」
   むつみ、千里にディープキスをする。口の中でまぐわう2人。
千里N「女同士のキスっていいかも。なんだか脳が蕩ける感じがする。なんだか頭がふわふわしてきた」
大川「なんて尊いんだ……」
   ゼイワンが現れる。
ゼイワン「魔王様、この星の尊いを見つけたかもしれません」
T「戦いは続く」
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