四百字日記 「出会い」

 原稿用紙一枚で日記を書いてみようと思う。ほんの夜中の思いつき。いつまで続くか分からないが、はじめることが大切だとどこかの誰かが言っていそうだし、とにかくペンをとってみたというところだ。

 私の日記との出会いは古い。ペンを持てるようになった頃、おそらく三才か四才の頃。母が私にインタビューして文を書き、私がその場面の絵を描くという絵日記が始まった。母にどんな思惑があったのか分からないが、その絵日記との出会いから二十年以上経った今、またこうして新たに私の日記は始まった。

 ずっと昔、たぶん二人の絵日記が終わった小学生の頃、一度母に尋ねたことがあった。
「なぜ絵日記を始めたの?」
母の答えは確か、
「大人になって読み返したら、楽しいでしょ」
だった。

 母の言うことは正しい。今もあの絵日記たちは、新潟の大人だけで住むには大きすぎる家の中で散り散りになって眠っている。たまに見つけて開くその日記を読む時間は確かに楽しい。


#日記 #思い出

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