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温泉チャンス!その8【競輪温泉】(2024.03.08)

昨日の続きで3月7日についての記録。

仕事へ行くふりをして家を出た私。先日まで入院していた病院で入院費の支払いを行った。退院時、入院費が高額であるため国の制度を使って支払いを一旦保留して高額医療費限度額認定の申請を行い、めでたく今回ようやく手元に届いた認定証を持参して、だいぶ安く抑えられた入院費を病院の窓口にて支払ったのだった。

そのため会社を有休を使って半日休んだ。もちろん半日も休みを取る必要はないのだが、そこはもののついでだ。やりたい事がいつくもあったし、たまには一人の時間があってもバチは当たらんだろうと思ったのだ。

というわけで、入院費(制度を利用したとはいえ、まぁまぁ高額)を支払った私はなんとなく身軽になったような気持ちで、病院の近くの「競輪温泉」へ行った。

「競輪温泉」は驚くべきことに競輪場の敷地の中にある。私はその存在をわりと最近知った。しかし競輪場に行ったことが一度もないのでなんとなく自分とは縁遠い温泉だと思っていたのだが、前回の「温泉チャンス!」の記事で温泉という分野において遥かなる高みにいらっしゃるみみまりさん(100はあろうかという別府温泉の記事を書いてらっしゃるのに、別府在住でない事に最近衝撃を受けた)に頂いたコメントで、やっぱり行ってみようと思った。

「クソ熱い」とか、最高に魅力だ。そしてさっき気づいたのだが、みみまりさんは競輪温泉について記事も書いてらっしゃる。早く読んでおけば良かった。というか、「スキ」をしてるので多分読んでいるのだろう。どんだけ記憶力ないんだ。

私は熱い温泉が好きだ。「熱い温泉のどこが良いのだ。何事も適度が一番だろう」と思われる方がいらっしゃるかもしれないが、熱いのが良いのだ。特に私が別府の温泉に日常的に(と言っても月に1~2回)入るようになって気づいたのだが、別府の温泉はどんなに熱いと言っても、必ず優しく体に馴染むし、その先には必ず至福の景色が広がっているのだ。

そんなわけで初めて足を踏み入れる競輪場。

ついでに1レース勝負しちゃおうかなと思ったが時間がないのでやめた

良い。雰囲気が良い。平日の朝っぱらからユルユルのおっさんたちがにこやかにそこらへんを闊歩してらっしゃる。こういう肩肘張らないライフスタイルって素敵ですよね!

そしてそんな温かな空間に在る温泉がこちら。

普通!

普通!見た目わりと普通!競輪らしさやギャンブルっぽい雰囲気を前面に押し出しているかと思いきや意外と普通の温泉然としている。

そして特筆すべきはその入浴料。なんと110円!安っ!今時110円なんてジュースも買えんぜ!と思いながらポケットに110円を忍ばせて私は温泉へ向かった。受付の方は何か外せない用事でもあったのか、席を外しており、そこに残された「席を外しています。入浴料はお皿の上におねがいします」のメッセージに従い、そこに110円をそっと置いて私は暖簾をくぐった。

中も意外と普通で、そして入浴している方々が驚くくらいに紳士であった。後から温泉にガララッと入ってきた方は皆100%「こんにちは」と言った。そして先に入浴していた方はちゃんと「こんにちは」と応えた。別府温泉のマナーが徹底されている。しかし時刻はまだ9時半。「こんにちは」と言うには早すぎる気もするが、それはこの競輪温泉、あるいは競輪そのものが持つルールがあるのかもしれない。

お湯は噂通りの熱さだった。それもそのはず源泉の湯温は70.4℃もある。それをドボドボ水(井水らしい)を入れる事でなんとか適温に調整している。

なので、水の注ぎ口から遠のけば遠のく程お湯は必然熱くなるのであり、注ぎ口からの距離で入浴している方の湯温の好みというのが分かる。私は自意識が過剰だし、熱いのがまぁまぁ好みでもあるので、なるべく水の注ぎ口から遠くへ行って「あいつすげぇな」感を出そうと努めた。お湯はすごく熱くて私は最初小さく「熱っ」と言ったが、多分誰にも聞かれていない。

熱さは最初肌を刺すようであったが、すぐにスーッと馴染んで、優しく溶けていった。その後にはじんわりするような、お湯と体が一体となるような感覚があった。窓から柔らかな光が斜めに差していた。讃美歌が聞こえてきて天に召されるのではないかと思った。パトラッシュとネロのラストシーンみたいに。

周りにおわします紳士の方々(全裸)といえば、これからの大勝負を控えて皆礼儀正しく、そして入浴は手早く、てきぱきしたものだった。そこに「よっしゃ今日は勝ったるぞ!」という静かな気合を感じた。

私もいつか、競輪温泉でスパッと身を清めて、でかい勝負に挑みたいものだなと思った。


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