自分の内面をみつめてみたい時におすすめ! ー🍃風の時代に、大人が読んでも面白い✨高学年向け児童書選②
『The End of the World ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』 那須正幹著 ポプラ社
キーワード
【闇】【人間】【不思議】【ホラー】
評価
総合 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
世界観 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ストーリー ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
キャラ ⭐️⭐️⭐️⭐️
筆力 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
あらすじ
4つの話からなる短編集
1、「The End of the World」
核戦争時、地下シェルターに避難した主人公のその後を描く。
2、「まぼろしの町」
ぼくは、夢の中で見た土地へバスに乗って行った。ああ、ここは知っている。後でその場所は埋め立てられてなくなった所だと分かった。
3、「約束」
幼稚園の同窓会に集まった13人の中学生と先生、自己紹介や近況報告をして盛り上がるなか、いつのまにか亡くなった則男くんの話ばかりになってって・・・。
4、「ガラスのライオン」
ぼくはとタッくんは、2歳年上のお屋敷の子・恒男くんのもとで、お互いの宝物を埋めた。ある日台風が来て、宝物は行方不明に。ところが30年後、僕は信じられないようなところで宝ものと再会する。
感想
この短編集の表題は、核戦争後を描いた「The End of the World」になっていますが、最後の「約束」と「ガラスのライオン」がとてつもなく凄いです。もちろん他の2編も素晴らしいのですが、「約束」と「ガラスのライオン」は、本当に子どもの読み物?というくらい大人に刺さります。もちろん児童書なので、子どもにも分かるように、書かれていますが、それでこの深度まで描けるのは只者ではありません。
この本の著者は、あの大人気シリーズ『ズッコケ3人組』(小学校中学年向け)の生みの親です。『ズッコケ3人組』は50巻も出ている上、研究本等も5冊、出ていますので、どれだけ子どもを惹きつけたか伺えます。大人の私さえも、利用者さんの口コミで全巻読んでしまいました。
そんな著者が書いた高学年向け児童書なので、ここまで行ってしまうのかもしれませんね。
とにかくどれも、読後、目に見えない人間の深淵が浮き上がってくるような作品ばかりです。その浮き上がってくるものは、さまざまなのですが、そこに善悪の判断を迫るような空気はなく、むしろそれをもとに自分に問いかけてみたくなるような短編集です。
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