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JB日記08「終演のご報告」


すっかりあいだがあいてしまいましたが、先週末12月11日にミュージカル「ジャージーボーイズ」は大千穐楽を迎えることができました。応援いただいた皆様、ご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました。

横須賀にての最終の2回は、体調不良により若松くんが休演となりました。

しかし、稽古場から日生での本番、そして地方での全日程を帯同してくれていたスウィングの宮島朋宏さんが出演し、カンパニーとしてはひと公演も欠くことなく、プレビュー2回を含めた全50公演を完走することができました。

この、舞台芸術にとって逆境ともいうべき時代に、全ての幕が開き、そして全ての幕が降りたという事実を、本当に有り難く思います。



2016年からスタートした日本版ジャージーボーイズは今年で6年目を迎え、本当だったら4回目になるはずだった本公演が3回目を終えて、これまでのいろいろな出来事をたくさん思い出していました。

これはなんか「初演キャスト」としての悪い癖というかある種の呪い(笑)というか、すっきりと今年のジャージーのことだけで振り返ればいいはずなんですけども、なんだかそうもいかなくて。

「ああ、あんなに真っさらなところからスタートしたんだよなぁ」とか
「はじめは本当になにもわからなかったよな、僕」とか
「それから比べたら、いまの僕はずいぶん変化したな」とか
「いろんな人に助けられて6年間過ごしてきたんだなぁ」とか

2016年からの日々をひっくるめて「ああ、またひとつジャージーが終わったんだな」という実感がある、そんな感じがしています。


前回、2018年の本公演とは若干の香盤の変更がありました。

僕は、ドニーからストッシュへと役が変わり、そのほか3つほど役が増え、共演者には後輩が増え、それによって稽古場での立ち位置もなんとなく変わり、全く新しい体験をし続けた2022年でした。

人って、歳を重ねていくと、役割が変わっていくものなのだなあという、これは人生についての気づきですが、そういった感慨もありました。

でも、その役割の変化を僕自身が喜ばしく感じているし、それはつまり、これまでやってきたことが大きく間違っていなかったからこその積み重ねによるものだと思うので、これもひとつ大きな個人的収穫でした。


そう。僕にとってジャージーボーイズは、自分の歩んでる道が間違っていないかどうかを確かめるための、戻るべき「定点」のような存在なのです。

「また数年後にあの世界に帰ったときに、きちんと良い変化をしていられるか。
 みんなにガッカリされないような自分でいられるか」

そう思いながら、ジャージーのない期間も過ごすような、そんな存在。

他の現場で悩んだときも「ジャージーのみんなだったらどうするだろう」って考えて、「そうだよね、もっと攻めるよね」と自分を奮い立たせたり。


きっとこれから先も、ジャージーで学んだたくさんのことが僕の俳優人生の大きな糧になっていくのだろうし、ジャージーを通して出会った方々との関わりの中で得たものが僕という表現者を形作る土台になっていくのだと思います。



2022年の公演からの参加メンバーからはたくさんの刺激と学びをもらいました。

どの役も、新しい俳優によって演じられると、これまで見えていなかった面に魅力的な光が当たって、「ああ僕はまだジャージーのことを何にも知らないんだな」という気持ちにさせてくれます。

演劇に携わる人間として、これほど喜ばしい体験はありません。

特に、最後の最後のサプライズだった宮島くんの演じるジョー・ペシはまさに、そんな驚きを含んでいた瞬間でした。石川新太くんとも、若松渓太くんとも違う、大柄なジョー・ペシ。新たな可能性が、舞台上で鮮烈に提示されました。

もちろん、それもこれも、若松くんが作ってきたジョー・ペシの像があって、それと対比できたからこその発見だったのですよ。若松くんのペシも大好きです。

しかし、やはり演劇というのは、どんどんと新しい血が巡るべきものなのだなという改めての気づきがあったことは、間違いありません。



ぜひ皆様、今後もミュージカル「ジャージーボーイズ」を愛してくださいますようお願いいたします。

そして、またの再演が叶ったあかつきには劇場に足をお運びください。きっとまた新しい、驚きの「ジャージー」に出会えることでしょう。


僕もまた、次の現場に向かって精進と準備を重ねていきます。そしてまたいつかもっともっと大きくなって、再びジャージーの新しい世界に戻れることを願っています。


山野靖博




ここから先は、パトロンズの皆さんに向けた雑記です。よろしければお付き合いください。

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