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求められないことをやるのって、楽しい。


誰からも求められていないことをやるって、なによりも楽しく、贅沢なことだよなあと以前から思っています。


いま僕はブロードウェイで作られた3人ミュージカルを日本で初上演するべく、日々お稽古に奮闘しているのですが、変な話、この作品の上演は誰からもお願いされていないのですよね。

ふだんの舞台出演というのは、オーディションで選ばれるかオファーをいただくのかの違いはあるにしろ、すでに作品の上演が決まっていて、「そこに出演する俳優として参加してください」という要請があって仕事が成立します。

そこでは「低音に厚みを出したい」とか「身長の高い俳優が欲しい」とか「山野らしい芝居をしてほしい」といった、直接言葉にはされないけれど山野靖博に求められているパフォーマンスの期待、というのがあって、それに応えるべく稽古に参加し、本番の舞台に立つのです。

すでに仕事が仕事としてあって、それを主催しているクライアントさんから発注を受けて、自分の身体なりスキルなりを提供するかたちです。


だけれども、自主企画や今回のような小さなカンパニーというのは、別段社会から求められているようなプロジェクトではないわけです。有名作品でもないし、超有名なスターが出るわけでもないし。

それを、チケットを売るところから自分たちでやって、初上演のための台本や訳詞の言葉のひとつひとつを「何がベストか」と考えながらあーでもないこーでもないと話し合って、日々勝手に自分たちで集まって稽古をするのです。

これって、すごく不思議で、すっごく楽しいことです。

世間から強く強く求められてるわけじゃないないのに、自分たちがやりたいからやってみる。クライアントがいないからこそ、ありとあらゆることに自由がある。この伸びやかな楽しさというのはやっぱり、他では味わえないですよね。

思い返してみれば、2020年以前は自分で3〜4ヶ月ごとにライブをやったり、自主企画で演劇を上演してみたりと、「誰からも頼まれていないこと」をけっこう頻繁にやっていたのでした。

さいきんは、自分スタートで何かをやることのリスクの大きさにたじろいだり、あるいはとってもありがたいことに「求められてお受けするお仕事」の分量が増えてきたりして、なかなか「誰からも頼まれていないこと」をやる余裕がなかったのですよね。


そんななか今年は、7月に自主企画でジョイントライブをやったり、こうしてブロードウェイミュージカルを日本初上演してみたりと、ようやく「頼まれてないこと/最初から求められてないこと」をやる元気と勇気が湧いてきたようです。嬉しいなあ。


別に、公演を打ったりコンサートをやったりすることだけが良いのではなくって、たとえば趣味で絵を描くとか、パーソナルトレーニングに通うみたいなのも「求められてないこと」ですよね。

仕事のように「求められてること」だけで生活を満たしてしまうのではなく、ほんの少しでも良いから「誰からも求められていないけど、私がやりたいこと」をやるというのが楽しく生きるためには大事な気がします。

同じパーソナルトレーニングでも、何の義務もなく「やってみたいな!」という気持ちで通うのと、「次の役作りのために筋肉増やしてください」といわれて通うのでは、だいぶ意味が変わってきますよね。


ちょっと今日は文章がまとまらない感じになってますが、「求められていること」だけで日常を埋め尽くしてしまうよりも、「求められていないこと」を勝手にやるという時間を持った方が、なんだか気持ちが豊かになるなぁということでした。



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