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日本車の海外カテゴリー進出


始めに

皆さんこんにちは。Yamaping RRです。
今回は日本車の海外カテゴリー進出に関しての記事を書こうと思います。

いきなりですが、この記事を読んでくださっている皆さんに1つ質問をしますので、一緒に考えてみてください。
私は、モータースポーツと呼ばれるスポーツの中で一体、何カテゴリー観戦しているでしょうか。
ただし、四輪のカテゴリーのみで考えてください。
3つ?4つ?それとも1つだけ?

正解は、9つです。
主に観戦しているカテゴリーは、①SUPERGT②スーパー耐久③スーパーフォーミュラ④F1⑤フォーミュラe⑥WEC⑦WRC⑧DTM⑨IMSA
「え、めちゃくちゃ多くない?」と思った方いるのではないでしょうか。
私はまだまだ少ないと感じています。
世界中のモータースポーツのカテゴリーは大小さまざまでF1のようなオープンホイールだったりGTマシンを扱うGTレースや耐久レース、WECのハイパーカーのようなプロトタイプを扱うレースなど沢山あります。
ですが、私はまだまだ学生の身でありモータースポーツを観戦できるチャンネルを契約できる資金力も時間もそこまで融通が利きません。
「見たくても見れない」という状況がどうしても出てきてしまうのです。

先ほども書きましたが、世界中には大小さまざまなカテゴリーが存在します。
その中でも、SUPERGTやWEC、DTMなどで登場するGTカーは有名企業から小さな企業まで様々なマシンがエントリーされます。
マクラーレンやランボルギーニ、フェラーリにメルセデス。
実に多種多様でエンジンの特性や空力のあしらえ方など、どのマシンも異なります。
そこに、日産やホンダ、トヨタなどの日本企業が参戦してたら、ちょっと嬉しいと思いませんか?
私は、とてもうれしいと感じます。特に私は大の日産ファン(自称)なので、日産のマシンが海外のカテゴリーで参戦しているのを見ると、ついつい応援したくなってします。

ですが、そんな日本の有名企業だとしても参戦をとりやめている現状があるのをご存じでしょうか。
様々な問題が絡み合い、2022年現在の日本車の参戦台数は日産が9台、ホンダが14台(アキュラブランドを含む)、レクサスは4台と軒並み少ないです。
(上記の数字はSROが集計した数字になります)
それと比較して、海外車の参戦台数はメルセデスが63台、アウディが50台、ランボルギーニが42台と、その差は歴然です。

「様々な問題」と先ほど述べましたが、具体的にはどういった問題なのでしょうか。
一つ一つ見て行こうと思います。

「様々な問題」とは

問題①新型コロナ

1つは新型コロナ。
流行しだした2020年は前年の2019年まで参戦していた企業、チームはほぼすべてで参戦をとりやめ、2022年現在もそれが引き続いています。
これに関しては、感染爆発の危険性や新型コロナに感染すること自体が危険視されていたので、致し方ないのではと思います。

問題②ネームバリュー

2つ目はネームバリュー。
海外では日本車ブームとして、A80スープラやR32スカイライン、RX-7などがとてつもない金額で売買されていますが、レースの世界となるとそうはならないそうです。
原因として、海外ブランドとのネームバリューの差があげられます。
欧州車を筆頭にメルセデスやランボルギーニ、BMWなどが特に人気であり参戦台数も多いため、日本車は目劣りしてしまいます。
この部分については、やはり欧州車メインでこれまで戦ってきたという歴史が物語っており、後述するマシンの戦闘力についても関係してくるため、日本車を扱うところが少ないのです。

問題③マシンの戦闘力

3つ目にマシンの戦闘力。
欧州車と日本車のマシンの戦闘力を比較してもその差は歴然と言えるでしょう。
日本において、特にSUPERGTでは海外製マシンを導入しているチームがいくつか存在しているのですが、いづれのチームも日本車との戦闘力のバランスを保つため、日本車基準でのBoPが課せられており、日本車と同程度の戦闘力まで性能を下げられています。
マシンによってBoPの制限は異なるため、緩い制限のところもあれば、厳しい制限のところもあります。
ですが、戦いの場が海外になると話は変わります。BoPの基準は海外製のマシンが基準となるため、日本車が受けるBoPの値が高くなる場合が存在します。(ここの部分は各カテゴリーに応じて異なるためBoPが課せられない場合もあります)
また、現在海外で活躍しているマシン、特に各カテゴリーで主流なGT3カーは海外の場合、ホモロゲーションが獲得でき次第、すぐに新型へスイッチすることができます。
しかし日本車の場合、レクサスのRC Fは特にそうなのですがGT3として登録されているマシンはわりかし古いということがあります。
これは、GT3のホモロゲーションが獲得できている車両が日本には少なすぎるということが挙げられます。
ただし、この問題は地理的な要因もあるため、マシンの開発環境が日本は海外と比べ大企業しか整っていない場合や各企業がホモロゲーション獲得にあまり関心が少ないといった場合も考えられるので難しいところではあるのですが。
今現在はトヨタが「GR GT3 CONCEPT」というマシンを東京オートサロン2022にて発表し、レクサスRC Fに変わる車両を新たに開発を進めています。

スーパー耐久にST-Xクラスで参戦中のHELM MOTORSPORTS GT-R GT3
現在、トヨタが開発中のGR GT3 CONCEPT

問題④ファンの関心の薄さ

最後に4つ目を挙げるならば、関心の薄さでしょうか。
日本においてはF1ブームやグラチャンブームなどモータースポーツにおける人気の高さがありましたが、それはもう過去のものになりました。
今、モータースポーツを観戦しているかと問われたら、10人中3~4人くらいしかいないでしょう。
日本におけるモータースポーツの人気はかなり下火になってきていると、私は感じます。
これらの背景にはモータースポーツの危険さや騒音・環境問題、関心の薄さが存在します。
モータースポーツの危険さは今でこそかなり安全性には気を使い、ヘイローを搭載したり、モノコックの構造を変えたりと昔に比べて安全にはなりました。
しかし、SUPERGTでの高星選手の大クラッシュやF1における周冠宇の大クラッシュなど大怪我や死亡には至っていないものの、それに匹敵するレベルでの事故が発生してしまっています。
騒音・環境問題については、例えサーキットで走行しているとはいえ、一歩外に出れば住宅地が広がっているなんてことがあります。(富士スピードウェイではゲートを出れば家々が立ち並んでいます)
サーキットの近隣住民からすれば、昼夜大音量のマシンが走っていると眠れない、最悪の場合には病気になってしまったということがあります。
また観客の中でも、力強いマシンに魅了された者が乗用車を不正改造し他に迷惑をかけるということが社会問題にまで発展したこともあります。
そして、近年の環境問題への配慮から、自動車企業はクリーンな車を販売していたり、燃料を大量に消費するレースを問題視する人もおり、モータースポーツよりも環境を守ろうという動きが企業のみならずあります。
このような問題があるおかげで、日本のモータースポーツは関心が薄くなってきていると私は思います。
環境や騒音に配慮することはもちろんですが、ここ近年、マシンは昔と比べ扱いやすく安全性も非常に高くなっています。
SUPERGTを例に挙げると、子供たちをメインターゲットにサーキットサファリやピットウォークなど様々な催し物が開催され、来場者を常に楽しませてくれています。
そのため、SUPERGTを先頭に人気が少しずつですが上昇してきているみたいです。

こういった、諸問題を解決するのが先か、問題をすべて無視して活動するのが先か。
私は諸問題を先に片づけることだと考えます。
コロナに関してはいつまで続くかわかりませんがいずれ終息するでしょう。
そうしたら海外での活動も制限なく行えます。
海外でのネームバリューは、はじめにワークス参戦をし、実績を作ってから、プライベーターチームに売り込んていけばいいのではないでしょうか。
その観点でいけば、すでに実績はどの企業も積んできているので、新たな実績を積むなり、チームに売り込むなりできると思います。
関心の薄さは、企業がもっと新型車両を開発したり、騒音・環境問題を軽減することをしたり、ファンが関心を持つようなことを率先して行えば解決すると思います。
それで言えば、トヨタがGR GT3 CONCEPTや水素エンジンカローラなど、まさに第一線で動いていますよね。
また、カーボンニュートラル燃料の開発や環境に配慮したマシンの開発などすでに行われているものもいくつかあります。
ただ、これらすべてを同時並行でっていうのはとても難しいことだと思います。
ひとつひとつ課題をクリアすれば、日本のモータースポーツはもっと活気づくと思います。

最後に

ここまで長々と書きましたが、いかがだったでしょうか。
ここに書かれていることはほとんどがすでに言われていることだったり、あたりまえのことだったりすると思います。
ですが、「自動車の国、日本」が海外で活躍するためには、これらのことを地道に行っていく必要があると私は考えます。
日本国内だけに注視するのはあまりいいことではないです。
海外企業に押しつぶされ、消えていく姿を私は見たくありません。
ぜひ、日本企業の皆さんにはがんばってもらいたいと思います。

現在、SUPERGT GT300クラスに参戦中のUPGARAGE NSX GT3

⇩今回、この記事の参考となったサイト⇩

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