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たくさんの笑顔をいただけました。原木しいたけの農業体験。 ー 千葉のおいしいを大切に ー

この日は、待ちにまった日とも言える。私が根本さんのお宅にはじめて伺ったのは、確か一昨年の秋だったと思う。普段、仕事上でお話する機会はなかったものの、はじめて会う私にも気さくに話しかけてくれて、椎茸の事だったり、お米の事だったりを教えてくれた。

その時に原木しいたけの収穫体験ができないか。そんな話を持ちかけたところ快く受けてくださり、昨年はじめて収穫体験を行うことができた。

昨年のことを振り返ると、原木で育てられた椎茸は、寒い日にじっくりと育つ椎茸が、肉質もよく歯応えが変わり、風味もよくなってくる。と言うことだった。近隣のスーパーでは菌床しいたけの普及もあり、椎茸にも旬の季節があると言うことを忘れてしまうくらい、日常的に見かける食材でもある。

ただ原木しいたけを育てる根本さんから言わせると、旬の季節は椎茸にもあって、それが寒さ厳しくなる1月と言うことだった。その旬の季節に収穫したてを食べていただきたいと、昨年からはじまった原木椎茸の収穫体験。

私はまだまだ先輩社員と根本さんの企画することに、一生懸命ついていくだけの存在でしかないけど、昨年のことを思い返すと、今まで体験したことのない事や、話を聞けるのではないかと胸を踊らせていた。参加してくださる皆さんも知らないくらい、農家さんのアドリブが潜んでいそうな、この農業体験。

今回は、どんなサプライズが飛び出るのか。運営スタッフとしての参加ではあるものの、私としても知らない事を多く知れる機会でもある。そんなスタッフ視点も交えながら、お伝えしていきたいと思います。

農家さんを知るはじまり。

毎回開催前に思うことがあります。それは「参加者の応募あるのかな。」です。企画するのは簡単だけれども、参加していただける方がまずはいるのか。次に参加いただいた方が満足していただけるのか。です。

今年は、予定が重なったこともあり、初の日曜日開催になったとのことだった。運営する側の人員の都合で、日曜開催というのは今まで避けてきた道でもあったようですが、スケジュールの調整が効かず、どちらかというと「ここしかない!」ということで、決めた日曜日開催。

「昨年は2組の方の参加があったから、5組くらいは来てくれるのかな。」

そんな気持ちで集合場所に向かっていました。事前情報では、参加していただけるお客様が昨年よりは多い。そのくらいの情報でしかいたただけてなかったので、少し軽い気持ちでいたらその予想を大幅に上回り、当日はこんなにも多くの方々にご参加いただきました。

根本さんの椎茸の説明の様子。

改めてみても、ありがたい事にとても多くの参加希望をいただけたのは、喜ばしく思えた。反面、参加していただいた方々が、満足していただけるのか。そんな事も考えながら、どこかイベントに慣れている根本さんに甘えつつ様子を伺っていた。

それにしてもいつ見ても圧巻の原木たち。これは一度椎茸が育った原木をお休みさせて、椎茸の菌が多くなってくるのを待っているところ。農業体験当日の撮影を忘れてしまったため、以前撮影した写真をご参考ください。

原木を休ませていているところ。

ここは元々田んぼだったところを根本さん自身で改良し、原木たちに優しい環境をイメージして整備したんだそう。この落葉樹たちの栄養で土がよくなり、夏には程よい日陰ができ程よく雨も降り注ぐ。この環境で休ませることで、また椎茸たちが元気にニョキニョキと生え始めるんだそうです。

原木栽培の椎茸と菌床栽培の椎茸の違いが。とか、育つまでの年数が。とか私でもまだまだうろ覚えでしかない椎茸の話が、どれだけ皆さんに伝わったかはわからないですが、参加していただいた方々は静かに根本さんの話に耳を傾けていました。

原木しいたけの収穫にチャレンジ。

多くの参加者に少しドキドキする緊張感もありましたが、そんな気持ちを落ち着かせてくれるような静寂に包まれた山の雰囲気。カサコソと足元に広がる落ち葉に目をやりながら、根本さんの後をついて今度は椎茸のハウスへ。

原木で育てる椎茸の、一連の流れを説明してくました。原木に菌を打ち込んだあと、その原木から最短で椎茸を生やす農家のテクニックのレクチャーを受けたあと、いざ原木しいたけの収穫タイムがスタート。根本さん曰く

「今年は雨が少なく、育ちが悪いんだよね。」

そんな事をボソッとおっしゃってましたが、見たところ多くの椎茸が生えているのが目に見て取れて、私はいつもとは違う雰囲気に一気に高揚感に包まれました。昨年とは違い参加していただく方が多かったため、昨年ほどとは言い難かったですが、お子さまも含めて原木に育つ椎茸探しに夢中になっていました。

1.原木を手に取ったところ
2.親子で収穫を楽しんでいただけました

特に今回、お子さまも含めた参加が多く、子どもたちの「あった!」とか「大きいのが見つからない!」とか、そんな声が至る所で楽しそうに響いていたのが印象的でした。

原木に生える椎茸は、日本国内でもわずか。もしかしたら自宅用で育てられている方もいるとは思いますが、日本の約10%しか流通していない現状。そんな原木しいたけと戯れる機会というのは、改めて考えれば貴重な時間とも言えるなぁ。としみじみ思った。

3.親子で体験初参加。
4.椎茸とれたかな。
5.姉妹でピース。

椎茸の収穫は意外とチカラが必要で、子どもたちの握力だとどうかな。と思うところもありましたが、しっかりと軸の部分も取っていて、こちら側の心配をよそに、ブチブチ収穫する姿が楽しそうに見えてほっこりしました。

お客様にカメラを向けて撮影って、はじめての体験だったけれど、みなさんがとても良い笑顔でこちらを向いていただけたので、私自身もなんだか嬉しい気持ちになりました。

6.とっても満足そう!
7.ご満悦ですよね!

そして時間が経過するにつれてなのか、原木から生える椎茸がいつもとは違う椎茸に見えるのかはわからないけれど、参加いただいた方々の表情がどこか固さを感じた最初の表情と、違う雰囲気になっていくのを感じました。

マスクしてても満足感が。

きっと収穫体験といういつもとは違う見え方だったり、自分で何かをやってみた結果、いつの間にか夢中になり興味がわき、楽しい時間へと変わっていくのだろうな。参加して喜んでいただくのもそうですが、何か一つのきっかけになるように、取り組みを考えて行けば良いのかなぁ。と今後の参考になるテーマをいただけたような気がしました。

8.夫婦で笑顔いただきました!

根本さんのアドリブ企画。

後から知った話でしたが、実は今回応募していただく際にはまったくプログラムには入ってなかった時間がありました。それは、原木への菌打ちです。その名の通り、原木に椎茸の元となる菌を打ち込む作業ですが、より原木栽培を知っていただきたいという生産者の根本さんの意向で、前々日くらいに決まった企画とのこと。

この菌打ちという作業。何度か根本さんのお宅に伺わせていただいておりますが、実際みるのもやるのも初めて。聞けば、2月中に9,000本もの原木に菌打ちをやるんだとか。お米の関係で、それくらいしか手が回らなくなってきた。とのことでした。

軽く持ってましたけど、結構重いっす。

原木を語る根本さんは、いつになく真剣でさすがプロって感じでした。根本さんは体も大きく、いつも通りの感じなんでしょうけど、この原木持ってみると意外と重たくて、ズッシリきます。

この一本一本形も太さも違う原木に、4箇所一気に菌をうつ穴を開けていきます。穴を開ける機械が右にあるのですが、4つのドリルがついていて原木に適度な大きさの穴を一度に開けてくれます。

ただ機械が開けてくれるからというわけでもないようで、開ける場所の感覚や一本に何列の穴を開けると、効率的に収穫できるのかは経験がものをいうそうです。

欲張って一本の原木に穴を多くあけて菌を多く打ちすぎると、収穫できる椎茸は小さい小粒なものとなってしまい、間隔を開けすぎてしまえば多く収穫できるものも収穫できなくなってしまい、今度は非効率な栽培になってしまうんだとか。

培ってきた経験がものをいう。

先程のやんわりとした雰囲気から、一気に本物の農家感が増し、さらにはドリルの音や原木の重さ、原木同志がぶつかり鳴らす音の大きさが、プレハブの中に響き渡り、少しの緊張感が走りました。子どもたちもさっきまでの笑顔ではなく、食い入るように根本さんの作業する姿を見つめていました。

9.表情は真剣そのもの。

そして一人一人に菌をうつトンカチが手渡され、いざ作業を開始。思いのほか重たく転がってしまう原木に、最初は悪戦苦闘のような感じになってはいたものの、何個か打つうちに慣れ始め、いつの間にか皆さんが夢中になっていました。

スタッフが取り組んだ、菌打ちの風景をご紹介いたします。

希望する方には、今回特別な価格で提供してくれた根本さん。その自分の分とは関係なく、ただただ原木に向かい打ち続ける方までいました。

10.親子で楽しむ菌打ち

最初、原木の重たさに戸惑いを見せていた子どもたちも、いつの間にか夢中に、しかも楽しそうに椎茸の菌を打ち続けていました。

11.集中して菌をうつ。
12.うつ姿は真剣そのもの。

そして根本さんからの計らいで、有料ではあったものの自分で菌を打った原木をお持ち帰りして良いとしていただきました。それに対して「皆さんの反応はどうかなぁ。」という少しばかりの心配もありましたが、持ち帰って育てたいという方が思ってた以上に多く、今までは「収穫する」というものをメインとしていましたが、食を育てるという違った楽しみを持って取り組んでいただける事も考えながら、今後は企画していきたいなぁ。と感じました。

待ってました懇親会。

根本さんの農業体験の楽しみでもあります、収穫体験後のお食事会。回数を重ねるごとに、その豪華さが増しているような気がして、少々心配ではありますが、農家さんのお家ならではの食材がどっさり出てきます。

一つお伝えしておきたいのが、毎回は期待しないでください。というくらい今回は豪華でした。

その内容は、まずは自身で作るお米と米麹で作った甘酒、地元野菜と椎茸で作ったお味噌汁。また、地元で捕獲したイノシシ肉の塩麹漬けのバーベキュー。さらには、根本さんお手製の納豆と豆造。に加えて、我らがヤオテラス料理長萱嶋駅長お手製のキノコのカレーと、キノコのハヤシライス。そしてそして忘れてはいけないのが、収穫したての原木しいたけ焼きに、根本さんの炊き立て音信米コシヒカリ。他にもあったような、伝え方も間違っているような。

もはや名物になりそうなイノシシの塩麹漬け

メニューは、まぁこんな感じです。

しかも参加いただいた方々に、ほぼ行き渡っている量なので、ほんと根本さんにはいつも感謝しております。しかもお庭に特設会場まで設置していただき、盛り上がっておりました。

奥まで続く食事会場

懇親会が進んでいくうちに、原木しいたけ焼きが配られ始めました。味はどうとか感想を聞くのを忘れてしまったのですが、その雰囲気に満足いただけたのではないかと思ってました。そんな中、「実は、椎茸があまり得意ではない。」という少年。

13.椎茸の味はどうだったかな。

苦手と言いつつも、椎茸を食べることにチャレンジしていました。その素晴らしい姿勢に、「私自身も真似しないといけないな。」と思い刺激をもらいました。味はどうだったのか、根掘り葉掘り聞くと怖がられてしまうかとも思ったし、押し付けがましさがでて無理矢理感が出ても良くなかったので、遠目から見守るだけにしました。

この辺り、もっと聞き上手になりたいものです。

いつも時間が伸び伸びになってしまう、わたしたちの農業体験。計画性という言葉はあるようでない感じで、当日の成り行き任せもあったりしますが、カメラを向けていくと、みなさんが笑顔になっていただけるので、それはとてもありがたい事だなぁ。と毎回思います。

14.ご家族で参加いただきありがとうございます。

こうした山の中、田んぼの中にある農家さんのお話を聞いていただき、房の駅だからというだけではなく、農業の現状や作る人たちの人柄、さらには普段から口にするものへの興味などなど、食に関しての少しばかりのお役に立てたらいいなぁ。と思う次第です。

15.食事中に撮影お邪魔しました。

日頃見慣れた食材でも、食べる場所や携わり方で、見え方も味も変わってくると思っています。多くの方に、千葉の食の魅力をお伝えできればと思うので、引き続き農家さんと食べる人を繋ぐきっかけを作っていきたいと思います。

16.親子でピースいただきました。

またこの農業体験を通して、知り合いになり仲が深まるきっかけにもなって、多くの方との交流が楽しめる場にでもなればいいなぁと思います。

17.農業体験を通して、仲が深まった3人です。

なので、1度だけでなく何度も参加いただけるのを、心よりお待ちしております。また、「昨年やった田植えは実施しますか?」とか「枇杷の企画ってやらないんですか?」とか、「小学生向けの企画は?」とお声をいただきました。

こういった声ってとてもありがたく、こちらも何をやったら喜んでいただけるのだろうか。と手探りな部分があります。お客様からのご提案も、少しずつではありますが、カタチにしていけるように取り組んでいきます。

引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

撮影にご協力いただきありがとうございました。

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