大腿筋膜張筋について

今回は大腿筋膜張筋についてまとめていきます。

起始:上前腸骨棘
停止:腸脛靭帯を介し脛骨粗面の外側にあるGerdy結節
支配神経:上殿神経(L4〜S1)
栄養動脈:上殿動脈
作用:股関節 屈曲・外転・内旋 / 膝関節 外旋・屈曲90°未満の場合は膝関節伸展、膝関節屈曲90°以上の場合は屈曲
整形外科的テスト:Oberテスト(大腿筋膜張筋の短縮テスト)

起始停止について

引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス 大腿筋膜張筋

起始部は中殿筋や小殿筋に覆いかぶさるような形で付着していることがわかります。

引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス 大腿筋膜張筋 起始部

また停止部を確認してみると、膝関節屈曲90°以下であれば伸展、90°以上であれば屈曲に働くことも想像できます。

引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス 大腿筋膜張筋 停止部

上殿神経について

上殿動脈および静脈の脇を、大坐骨孔を通って骨盤に出て、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋を支配します。

引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

L4~S1から出てくる上殿神経は大坐骨孔を通ります。

上殿神経 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

走行を筋を含めて確認してみると梨状筋と大坐骨孔の間を走行しています。ということは梨状筋によって絞扼される可能性があり、そうなると上殿神経支配の筋力低下も起きてきそうですね。
皮膚の感覚は支配していないようなので、筋力低下で確認するのが良さそうです。
他の上殿神経支配の筋は中殿筋、小殿筋があります。

梨状筋と上殿神経の走行 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

また上殿神経の始まりの位置を確認してみると、大腰筋とL5椎体と挟まれている形なのがわかりました。
大腰筋との関わりももしかしたらありそうですね…(どこにでも出てくる大腰筋)

大腰筋と上殿神経の走行 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

上殿動脈について

上殿動脈は、内腸骨動脈が大坐骨孔を通り、前枝と後枝に分かれた後枝です。他にも後枝には腸腰動脈や外側仙骨動脈があります。

大坐骨孔を通るということはやはり梨状筋との関わりが出てきそうですね。

後方から見た上殿動脈の走行 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス
梨状筋と大坐骨孔に挟まれている上殿動脈 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

また内腸骨動脈の後肢であり、大坐骨孔を通っていることもしっかり確認できます。

内側から見た上殿動脈の走行 引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

腸脛靭帯について

腸脛靭帯は大腿筋膜の外側部が腱膜様に暑くなった部分を指します。
腸脛靭帯の後方はそのまま外側大腿筋間中隔となり、外側広筋と大腿二頭筋を区別します。

アトラスで確認してみると、外側大腿筋間中膈になる前に大腿筋膜があり、大腿筋膜をめくると外側大腿筋間中隔が出てきました。

大殿筋を剥離したときの大腿後外側面 大腿筋膜張筋と大腿筋膜の繋がりが分かる。 
引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス
大腿二頭筋外側頭と外側広筋の間に存在する外側大腿筋間中隔(青い部分) 
引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

腸脛靭帯の脛骨付着部付近では、繊維の一部が外側膝蓋支帯へと進入し、膝蓋骨の安定化にも関わっています。

腸脛靭帯と外側膝蓋支帯との繋がり
引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス

腸脛靭帯と外側膝蓋支帯の繋がりがあるということは、腸脛靭帯の緊張が高まると膝蓋骨が外側に偏移して大腿四頭筋の筋出力とかがうまくできなくなりそうだなと想像できますね。
この辺も調べたい。

腸脛靭帯は膝関節の伸展により、後部が緊張し屈曲で前方が緊張する。しかし屈曲が90〜100°を超えると全体的に弛緩することがわかっているようです。

引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 P114

このことから膝OAなどによって膝関節が屈曲位にある場合には、腸脛靭帯の前部繊維が緊張が高くなっていることが予想されます。(90°屈曲位の人はさすがにいない)
また腸脛靭帯には外側広筋の一部繊維が付着しているので、筋のアライメントが崩れることが予想されます。
膝関節屈曲が制限されている場合には股関節を内外転させて、屈曲制限の因子に腸脛靭帯の影響があるかを判断することができます。外転位と内転位で内転位のほうが屈曲制限が強くなるのであれば腸脛靭帯の影響があることが予想できます。

追記:調べてみた
TKAに関する論文ですが、膝蓋骨が外側偏移することは膝関節屈曲角度にも影響がでるようです。

整形外科的テスト Oberテスト

腸脛靭帯の拘縮の程度を検査する方法ですが、腸脛靭帯は伸縮性のない組織であるため、結果的には大腿筋膜張筋の伸長性を評価していることになります。

Oberテスト 引用:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 P117

まとめ

大腿筋膜張筋を調べていましたが、繋がりを見ていくといろいろな制限因子になる可能性とかが見えてきて楽しいですね。
あとこの勉強方法だと神経とか栄養動脈とかの走行を気にしますし、それに関わりそうな筋や組織も学べるのでやっぱ楽しい。


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