山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格し…

山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格しながら社長まで上り詰めた今どき珍しい存在。2022年5月末に退任し、6月より会長に就任。映画好き、お酒好き。 https://www.meidaisha.co.jp/president/

最近の記事

映画レビュー「あまろっく」

ポスターを見て想像したのが、「江口のりこが尼さんになってロックでもやるのか」 という次元の低い考え。 それはそれであり得なくもないが、実際はそのかけらもない。 尼崎市にある「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」のこと。 この水門が水害から守ってくれるので、地元ではそう呼ばれている。 映画の冒頭で明かされるが、後々まで重要な意味を持ち、そのタイトルに救われる。 日本映画は重厚で闇を描いた人間ドラマをよく観るが、人情味溢れるライトなドラマも好きだ。 誰もがほっこりし温か

    • 映画レビュー「アイアンクロー」

      「RHEINGOLD ラインゴールド」に続いて実話を基にした作品を鑑賞。 侮っていた。 映画評論仲間からも評価の声は届いていたが、侮っていた。 プロレス一家の悲劇を描きながらも、単純明快なスポコンドラマと想像していたが、 その想像をはるかに超えていた。 80年代、プロレスはかなり人気があった。 中学、高校時代の友人もプロレスファンは多く熱く語っていた。 僕はアニメのタイガーマスクは好きだったが、プロレスは話題についていく程度。 さほど興味はなかった。 金曜のヒマな時(確

      • 映画レビュー「パスト ライブス 再会」

        解説には「海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、 24年の時を経てニューヨークで再会する7日間を描いた、 アメリカ・韓国合作の大人のラブストーリー」と案内されている。 普段なら「ふ~ん」と素っ気なく通り過ぎる。 この年齢になると恋愛映画に興味を示さない。 あまり気が向くこともない。 しかし、なぜか観てしまった。 アカデミー賞ノミネート作品というのも、その前評判の高さもその理由。 また、何度となく予告編を観て、感情を抑えた演技に惹かれたのもその一つ。 恋愛映画は

        • 映画レビュー「RHEINGOLD ラインゴールド」

          本作はドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ合作。 お互いどんな接点があるんだろうと不思議に思ってしまう。 映画の舞台となるドイツ、オランダは理解できるが、 メキシコは一体どんな絡み方か。 どうでもいいことを考えてしまう。 映画が始まり15分ほど経過した時、重厚な社会派ドラマと錯覚した。 イスラム革命により迫害された音楽家家族が痛々しく映し出される。 紛争に巻き込まれた最中に子供を一人で出産するシーンはまさにそう。 観る側も辛くなる。 その後ドイツに亡命し、新たな生活がスタ

        映画レビュー「あまろっく」

          映画レビュー「オッペンハイマー」

          本年度のアカデミー賞の主要部門を独占した話題作。 何も考えずに映画館に足を運べばいいが、そうはいかない。 180分の超大作であり、難解作品の多いクリストファー・ノーラン監督。 気軽な気持ちで行くときっと後悔する。 素直な感想でいえば、予習は怠らない方がいい。 解説やあらすじを叩き込んで臨んだ方がいい。 僕は事前情報を頭に入れずに臨んだが、少し後悔。 僕の理解力もあるが、登場人物の関係性や会話の内容は余程の集中力がないとついていけない。 もしくは2回、3回、観るつもりでまず

          映画レビュー「オッペンハイマー」

          映画レビュー「映画 マイホームヒーロー」

          予定はなかったが、映画コラムニスト仲間が評価していたので、観ることにした。 原作漫画も知らなければ、ドラマ化も知らなかった。 過去の描き方がえらく雑だなと思っていたが、それはドラマで描いていたのが理由。 特別出演の吉田栄作の扱いが瞬間的なのもそう。 あとで確認して分かった。 どうやらドラマでは7年前が中心のようだから。 ドラマを見ていたら、本作はもっと楽しめたはず。 今更いってもおかしいが・・・。 映画だけだと粗が目立ちツッコミどころも多いが、大衆ドラマとしては及第点。

          映画レビュー「映画 マイホームヒーロー」

          映画レビュー「ビニールハウス」

          ポスターに書かれたキャッチコピー「半地下はまだマシ」。 半地下とは4年前に公開の「パラサイト 半地下の家族」を指すだろう。 その生活がまだマシというのは韓国はどれだけ負を抱えた国なのか。 最近、目にする韓国内の報道も暗いニュースが多い。 日本の出生率なんて比較にならないほど低い。 そんなに将来に希望が持てないというのか。 低所得層がビニールハウスで暮らす実態はあるという。 そこまで貧富の差が広がっている事実を映画は教えてくれる。 原題は「Greenhouse」で日本語訳は

          映画レビュー「ビニールハウス」

          映画レビュー「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」

          まず映画館に入って驚いた。 お客さんの大半が高齢の女性。 どうだろうか、60代から70代ではないだろうか。 映画に関して敏感なのか、 シニア向けの情報誌からおススメされたのか、理由は不明。 出演者がダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、 ウィリアム・H・メイシーら往年のスター俳優も原因かもしれない。 失礼な言い方だが、80年代に最も人気のあった俳優。 懐かしさが劇場へと足を運ばせたとも考えられる。 いつまでも最前線で活躍されるのは嬉しいことだけど。

          映画レビュー「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」

          映画レビュー「ゴールド・ボーイ」

          僕は密かに日本映画界で一番いい男は岡田将生と思っている。 軟派で軽薄な二枚目を演じさせたら右に出る者はいないんじゃないか。 しかし、演技はそれほど評価されていない気もする。 本作は軟派で軽薄とは真逆。 東昇という残忍な娘婿を演じ、それもはまり役。 ある意味、恐ろしかった。 彼が主役で物語が進むと思ったが、途中から様子が変わってきた。 映画的には岡田将生が主役だが、実際はその東昇を脅迫する中学生朝陽役を演じる羽村仁成。 どこかで見たことある顔だと確認したら「リボルバー・リリ

          映画レビュー「ゴールド・ボーイ」

          映画レビュー「52ヘルツのクジラたち」

          結構、評価が高いので観ることにした。 同様に評価の高い「夜明けのすべて」とは真反対の作品。 片方は日常で、片方は非日常。 僕にはそう映った。 どちらに感動するかは観る人によるが、感動させやすいのは非日常。 あり得ない世界の方が人の心は動かしやすい。 畳みかける展開が痛みや驚きや喜びを生み、心を動かす。 最終的に感動を呼び込む。 そんな点で本作は成功だろう。 物語は相当、辛い。 今も過去も虐待が一貫している。 そんな時に必要ないだろう暴力も。 それが映画を引っ張るのだから

          映画レビュー「52ヘルツのクジラたち」

          映画レビュー「コットンテール」

          夫婦役はリリーフランキーと木村多江。 どこかで見た風景だと映画を観ながら思い出した。 2008年に公開された「ぐるりのひと」。 映画コラムニストを語る前なのでブログは書いていないが、当時、DVDで鑑賞。 壊れゆく夫婦の再生を2人が演じたステキな作品。 誰も気づかないことを思い出すなんて、さすが映画コラムニスト!と自画自賛していたら、 映画サイトにインタビュー記事が当たり前のように掲載されていた。 みんな分かってたのね(汗) ちょっとだらしない役を演じさせたら天才的なリリー

          映画レビュー「コットンテール」

          映画レビュー「落下の解剖学」

          原題はAnatomie d’une chute。 そのまま翻訳したタイトルが「落下の解剖学」。 あまりヒットしそうにない。 玄人好みの映画のように思えてしまう。 しかし、どうだろう。 カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したせいか、映画館は結構賑わっていた。 むしろ正々堂々と勝負した方がいいということか。 そして、映画を観終わってから、本タイトルの正しさを理解。 なるほど、解剖したわけですな・・・。 本作も最近、よく観るフランス映画。 やはり今年も注目すべきか。 素晴らし

          映画レビュー「落下の解剖学」

          映画レビュー「コヴェナント 約束の救出」

          解説には、「アフガニスタン問題とアフガン人通訳についての ドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマ」と書かれてあった。 紛争が続く今の時代に批判的な社会性の強い映画と勝手に思い込んでいた。 いい意味で裏切られた。 そんな意味合いもあるが、むしろ男同士の友情を描いた作品で、 エンターテイメント性に富んだアクション映画。 余計な感情は持たずに観た方がいい。 舞台は2018年のアフガニスタン。 米軍とタリバンとの紛争を描いている。 その内容は過度な演出はあるとはいえ、

          映画レビュー「コヴェナント 約束の救出」

          映画レビュー「夜明けのすべて」

          これが日常。 坦々と日常を描いた作品だが、胸に押し迫るものがあった。 素直に感動した。 そして、平凡に生きることがいかにありがたく幸せかとも思わせてくれた。 三宅監督は一昨年末に「ケイコ目を澄まして」という愛しい作品を与えてくれたが、今回は年明け。 どちらも16mmmフィルムで撮影された映像が瞼に焼き付く。 セピアっぽい少しざらついた感じが温かさを感じる。 鮮明でない映像の方が人を美しく表現するのか。 そんなことも思わせてくれた。 ネタバレなしに本作を説明するのは難しいの

          映画レビュー「夜明けのすべて」

          映画レビュー「梟 フクロウ」

          本作も韓国映画らしい。 二転三転、いや四転五転といってもいいかもしれない。 終わりそうで終わらない。 解決しそうで解決しない。 韓国映画を観る人は自ずとそれを期待して、 二転三転程度だと不感症になってしまうんじゃないか。 そんなどうでもいいことを心配したり・・・。 原題は「The Night Owl」。 日本のタイトルは「Owl」のみということか。 ただ梟というタイトルがしっくりくる。 やはり夜更かしをする人じゃ変だし。 タイトルひとつで興行的にも大きく影響を与える。

          映画レビュー「梟 フクロウ」

          映画レビュー「コット、はじまりの夏」

          なんとなく懐かしさを感じた映画。 こんな作品を昔観た錯覚に陥る。 それはどうだろう。 もう30年も40年も前の作品。 実際はあり得ないが、小さな子供が親の愛情を感じる作品はどんな時代でも公開される。 不変的なテーマであるのは間違いない。 舞台は1980年代初頭のアイルランド。 9歳の少女コットの取り巻く環境を描く。 80年代のアイルランドが経済的にどんな国だったかは分からないが、 田舎町は裕福ではないのは容易に想像できる。 大家族ともなれば生活していくのがやっと。 そし

          映画レビュー「コット、はじまりの夏」