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映画レビュー「ブルーバック あの海を見ていた」

いい映画だ。
素直な気持ちになれるいい映画だ。
それは映し出される広大で美しい海であり、
海底を自由に泳ぐ魚群であり、それを見守る人たちのこと。
そこに懸ける想いがヒシヒシと伝わってきた。

自然と共生する大切さを改めて教えてもらったような気がしてならない。
過度な環境保護を訴えるわけではない。
環境問題に痛切なメッセージを発しているわけではない。
ごく自然に自分たちが大切にすべきことを当然と捉え動くだけ。

より快適で楽な生活ばかりを求める自分がちっぽけで情けない人間に思える。
真っすぐ生きるとはこういったことなんだろう。
もっと大切なことは何か。
映画に感動しながら、こっそりと反省をしてしまった。

本作の舞台は西オーストラリアの海辺。
父を海の事故で亡くした母と娘が海と共存した生活を送る。
環境活動家の母はアワビも獲るが、あくまでも最小限。
生態系は傷つけない。

娘は海で鍛えられ、海の奥深くまで潜っていくこともできる。
そこで出会ったブルーバックと名付けられた巨大な青い魚と心を通わせる。
そのシーンは果てしなく美しい。
そして感動的。

誰しもがそんな海を荒らしたくないと思う。
それは無責任に映画を楽しんでいるからか・・・。

ここにビジネスチャンスがあるなら、どうだろうか。
浅はかな僕は揺らぐ。
本当の姿を見ることはせず、表面的な姿だけ捉えようとするだろう。
きっと世界中でこの手の問題は起きているはず。

本作は現在と過去を織り交ぜながら、何が大切なのかを教えてくれる。
そこに説教臭さも、必要以上の演出もない。
自然体に近い。
ドキュメンタリーを見ている錯覚にも陥る。

主演の娘アビーは幼少期、青年期から大人へと描かれる。
母親ドラは晩年期まで。
2人の役柄を5人の役者が演じる。
違和感はなく、むしろ心地いい。

オーストラリア映画って、なかなかいいじゃないか。
マイナー作品だが、素直な気持ちでおススメしたい。

そして、もう一度、オーストラリアにも行ってみたくなった。
1回しか行ったことはないけど・・・。

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