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【ダイエーはなぜ転落したのか?】

☝️あまりにも大きなテーマである。

私もスーパーの経営者だったが、軽々しく分かったようなことを言えば、専門家や評論家に「それはだねぇ君」とか「時代の流れを見誤った結果としてだな」と簡単にあしらわれてしまう。私が心の中で「あんたに何が分かる?当事者でもないのに!」といくら呟いてもだ。

主婦の店ダイエーは『良いものをどんどん安く』のスローガンの下、その低価格を武器に成長していった。今では経営の問題点や事業承継の失敗など、後付けの原因を挙げることは簡単だが、当時はダイエーのことを批判さえできないほど勢いがあった。

スーパーに始まって、ディスカウント店、デパート、コンビニ、プロ野球にまで手を伸ばした「昭和の名経営者」中内功氏。『経営の神様』の称号は無い。会社を潰した社長は、いくらそれまでの功績があっても、評価されることは稀だ。私もそうだという訳では無いが(^^;

ダイエーの転落後はヨーカドーが覇権を握ってナンバーワンになった。そしてそのヨーカドーも業績悪化で現在再建中、今ではそれをイオンが凌駕してトップに君臨している。「歴史は繰り返す!」などと言えば、私も非難されよう。


この記事の中で、ダイエー転落の原因がいくつか指摘されていたので、(規模は違い過ぎるが)同じスーパーの社長の立場で言い返してみたい (笑)

✅売り上げはすべてを「癒す!」
(私→それのどこが悪いんだ💢間違ってない!)

経営は売り上げ高ではなく利益だ‼️
しかし小売業の経営者、ましてや叩き上げの創業者のモチベーションに火を注ぐのは、やはり「売り上げ高」なのである。

売り上げさえあれば次の商品も仕入れることができる。取引先もその売り上げ総額にひれ伏して、自分の言うことを聞く様になる。

資金繰りが厳しい時は、もっと安売りをして現金を集めて凌ぐ。なぜなら仕入れ代金の支払いは来月末まで猶予があるからだ。

田舎のスーパー社長の私でも(もっと大きなチェーン店でも)、ダイエーの社長と同じことを考える。目に見える『嵩(かさ)』は、すべてを癒し、すべてを解決してくれる。中内氏は何も間違ってない!

(しかしこれこそが、中内氏一代で日本一になり、一代で滅ぼした最大の原因だとされている)

✅ダボハゼ的な企業買収ですべてを自分のモノに
(私→自分のモノにした方が上手くいくに決まってる!ダイエーは間違ってない!)

「リッカーミシン」「忠実屋」「横浜ドリームランド」「ダイエーホークス」「流通科学大学」、あげたらキリがない。すべてを自前でやりたがったダイエー。M&Aで他社を買収していったイオンでさえ、そこまではやらなかった。

『戦時中苦労した中内氏の安売りには、松下幸之助の様な「国家への貢献」が無かった』との言われようである。育ちが悪いから他人を信用しないとでも言いたげだ。

☝️ネックになったのは出店土地まで自前で取得したこと。そして値上がりした近隣の土地まで買って含み益を得る。その含み益でM&Aを加速したが、バブル崩壊と阪神淡路大震災で一気に経営が悪化していく。

きっと私と同じ様に(失礼)、中内氏も思ったに違いない…『背に腹は変えられない…』と。誰が彼を責められようか?潰れてしまえば被害は想像を超える。(しかしその時はもう手遅れだった)

✅低価格にこだわりすぎて成長が止まった
(私→安く売ればお客さんが喜ぶに決まってんじゃん!間違ってないぜ、中内さん)

👤「有名メーカー商品を安く売ることは限界がある。それなら自社で作れば安く売っても利益が取れる!」〜こうして当時はまだ珍しかった『プライベートブランド』を開発し、その比率を高めていった。

しかし低価格商品にはそれなりのものが多く、その結果ダイエーのPB「セービング」は『安かろう悪かろう』のイメージが定着してしまった。低価格で成長してきたダイエーが、低価格へのこだわりで崩壊していくとはなんとも皮肉である。

✅時代の変化に気づくのが遅かったダイエー
(私→占い師じゃあるまいし、結果を見てからじゃ何とでも言えるわ!)

ヨーカドーグループの稼ぎ頭はご存知「セブンイレブン」である。それが本体を支えるほど利益貢献度は高い。一方ダイエーは業績悪化の過程で「ローソン」を売却してしまった。(おまけにリクルート株も売却)


経営者が「貧すれば鈍する」「追い込まれると選択肢が無い」「転がり出したら止まらない」、これを感じ始めたら企業の終焉は近い。

ダイエーの様な超ワンマン社長の「栄枯盛衰」は、中小企業にも通じることがあるはずだ。中内氏は会社を去った後、会計の勉強を再び始めたと記されている。

👤もう少し私に会計の知識があったなら…
田舎のスーパーを潰した私と同じ後悔をしているのを知り、「彼も人なり、我も人なり」と勝手に思ってホッとした(^^;

※ 但し、中内功(罪)併せ呑み、礼賛する訳ではない。
ダイエー繁栄の影で、辛酸を舐め涙を流した人も多かったのは事実である。


※最後までお読み頂きありがとうございます!

あなたが失敗した時、迷った時、逆境の時、倒産地獄から生還した私だからこそできる励ましを届けたい。皆さんの力となり、笑顔になれる記事を投稿していきます。私もまだ発展途上です、一緒に成長していきましょう!

【小林 久ホームページ】

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