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吉田幸弘『部下も上司も動かす武器としての伝え方』自由国民社

以前なら、上司の言う通りに仕事をする人が評価されたが、今は「上司に意見をできる人」「上司を動かせる人」が評価されるように、部下であっても「伝える力」が求められるようになったと言います。本書は、その伝え方を学ぶためのものです。

相手の心を動かすためには、自分の提案を入れると「プラス」が得られるか、「マイナス」を埋められるという2点を意識し、相手目線で伝えていくことだそうです。

しかし、同じ言葉で伝えても、人それぞれ考え方は違うことから、例えば、部下にお願いする場合、組織・上司視点と、部下視点との2方向から考える必要があるようです。また、部下によって、評価優先型か、リスク回避型か、チャレンジ型か、自由志向型かにより伝え方を変える必要もありそうです。

上司についても、相手のことを把握しておく必要があり、コスト重視、成果重視、時間重視、コミュニケーション重視、お客様重視のいずれなのか、また、支配者タイプ(論理重視×発信型)、分析家タイプ(論理重視×受信型)、補助者タイプ(感情重視×受信型)、発明家タイプ(感情重視×発信型)のどれに入るか見極めておくことも必要のようです。

アリストテレスは、『弁論術』の中で、説得には3つの条件があると言っており、それは、話し方の人柄(エトス)、②聞き手の気分(パトス)、③内容の正しさ(ロゴス)だそうです。

話し手の人柄は、①ブレない(平常心を乱さない)、②人によって態度を変えない(平等性)、③反応する(無視しない)だそうです。

伝え上手な人が使っているDECF法が紹介されています。
Describe(状況を客観的に描写する)
Express Explain(自分の気持ちを表現・説明する)
Specify(相手に解決策を提案する)
Choose(選んでもらう)

意見の対立を人間関係の対立に発展させてはならないと言います。辛辣の反対意見をを出した人は、あなたの「意見」に反対したのであって、「あなたという人」に対して反対したわけではなく、次の3点を意識するといいそうです。
①相手軸に立って考えるように心がける
②自分自身ではなく「意見の否定」だと考える・伝える
③普段からコミュニケーションをとっておく

対立が生じた場合、回避、服従、妥協、強制、共創の5つの結果がありますが、このうち共創までいくことがよいのですが、次の5段階まで交渉していくことになるそうです。
①相手の一番大切にしている部分を聞き出す
②1点だけ条件を外せないか聞いてみる
③「バイアス クラッシュ クエスチョン」でブロックを解除する
④まず1点譲れない条件を決める
⑤提案し、「共創」の状態に置く

相手が反論為てきた場合は、①話をできるだけ聞く、②相手の反論をまず承認ワードで受け止める、③クッションワードを使って質問で切り返すことがよいようです。

伝え方を工夫することで、自分の意見を聞いてもらえることになれば、こんな良いことはありません。本書を読むことで、それを実現できるのではないかと思います。

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