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西出ひろ子『突然「失礼クリエーター」と呼ばれて』きなこ出版(星雲社)

「失礼クリエーター」とは、マナー講師につけられた別名だそうである。「〇〇をするのは失礼。」「××しては失礼。」と新しい失礼となることを創出しているマナー講師への侮蔑の感情がネーミングネーミングだそうである。

著者も知らないマナー、聞いたこともないマナーがテレビで紹介され、本にも掲載され、世の中に出回っていく。あいさつ、服装、言葉遣いなどについて、同じケースでも講師によって伝える内容がバラバラという現象も起きていることから、伝えられる側も不安になると言う。

著者も、自ら「失礼クリエーター」を生む土壌つくってしまった可能性を否定しない。しかし、多くのマナー講師が「型」を重んじるが、著者は伝えるマナーの「心」の問題だと考えているそうである。

マナーを身につける目的は、”幸せな人生を歩むため”だと主張する。「型」のみでなく、「心」の部分まで掘り下げる必要があると言う。見た目の型や作法を優先するマナーでなく、内面からの「真心マナー」を提唱している。

そのため、「マナー講師」の肩書きを捨て、「マナーコンサルタント」、「ビジネスデザイナー」、「美道家」などの肩書きで活動するようになったそうである。

メールや電話で、「了解しました」と応えるのは、一般的な返事のフレーズであるが、これは失礼とする考えがある。「了解しました」「承知しました」「かしこまりました」の3段階がある。

これも、マナーの観点から、その言葉のニュアンスや相手の受けとり方しだいである。時と場合によるものであると言う。「かしこまりました」と言われれば気分がよくなる人には、使えばよいことになる。

年上の人に、「ご苦労さまです」と言うのは失礼だ。「お疲れさまでした」と言いなさいとマナー講師に言われて、少し違和感を持った経験を思い出した。「お疲れさま」は江戸時代の女郎言葉である。しかし、今では、「お疲れさまでした。」と言うことにしている。

本書では、著者がなぜマナー講師を生涯の仕事に選んだかということは、自らの身の上を語ることで伝えている。ここを読むだけで、心のマナーを真剣に伝えようとしているかがわかる。

著者は、アステップを提唱している。マナーの基本は素直に実践することだと言う。
①Aが「After you」お先にどうぞ。
②Sが「Sorry」申し訳ありません。ごめんなさい。
③Tが「Thank you」ありがとう。
④Eが「Excuse me」今お時間よろしいですか。
⑤Pが「Please」どうぞ。

幸せになるためには、型だけのマナーではなく、相手の気持ちを慮り、相手の立場に立った心からのマナー、心のこもったコミュニケーションが必要と言う。心のマナーを実践すれば、自分だけでなく、双方が幸せになると言う。

本書はマナーを紹介した本ではない。しかしながら、マナーの基本たる心を学ぶことができる。


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