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海外拠点開発

海外のふもとに生活拠点をつくるプロジェクトを2023年よりスタートした。昨年はタイとインドへ訪れ、今年もタイと周辺諸国へ訪れる予定だ。

きっかけは松本暮らしから得た学び

東京都・高円寺から長野県・松本へ拠点を移し約3年が経った。以前考察した通り、今までの暮らし方を見直し、今後の自身の方向性を見出すことが目的であった。

松本でのフィールドワークを通して、重要だと感じた点は下記2点だ。

  1. 構想と実行が一貫した生業をもつこと

  2. 自身と相性の良い場所(テリトーリオ)で暮らすこと

テリトーリオとは

「都市と周辺の田園や農村が密接につながり、支え合って共通の経済・文化のアイデンティティを持ち、個性を発揮してきたそのまとまり」

イタリアのテリトーリオ戦略

2023年3月で11年間勤めた会社を退職し、個人事業主として独立した。現在はWEB制作事業、宿泊事業、配送事業の3つの事業を行なっている。

自身の事業を始めたことで、「構想と実行が一貫した生業」に費やす時間が以前より増えたことで、自身の仕事と社会のつながりをより実感できるようになった。その中で、事業を継続するために何より重要だと感じたことが「健康」である。

「ふもと」と個人事業の親和性

個人事業において、自身のパフォーマンスをなるべく最大限発揮できる状態を維持することが重要だ。そのためには、早寝早起き、栄養バランスの良い食事、適度な運動など、基本的なことであるが、健康に直結する生活習慣を身につけることが大切である。

北アルプスのふもとである松本エリアは、そのような習慣を身につけるために、主に下記3つの点で自分にとっては向いている環境であった。

1.円環的時間感覚
「円環的時間」とは内山節さんの下記著書で紹介されている「直接的な時間」とは異なる循環する時間感覚のことである。日常的に山の風景が見られ、気温の変化が激しい松本は季節の移り変わりを実感しやすく円環的時間感覚を意識する機会が多い。結果として、日常に対するものの見方や解像度が変わり、その意識の変化は以下「2」「3」の変化のベースとなっている。

2.早寝早起き
標高が高く日中は日差しがあり、朝晩は冷え込む松本の気候は、太陽の存在感があり一日の時間の移ろいを実感しやすく、メリハリのある一日を送ることができる。夜は温かいお風呂に入り早めに就寝するため、自然と早起きとなり、暖かい日中に外出することで、夜の就寝がスムーズになる好循環となった。また、地域の食材を購入する機会が増え、自然と外食が減り、バランスの取れた食事を自炊するようになった。

3.運動習慣
松本は周囲に3000mを超える日本アルプスや、里山が数多くある。市街地にも松本城や自然が豊かな公園があるので、山登りやランニングなどの運動を日常的に行いやすい環境が揃っている。

以前、下記好きをととのえる「ふもと」と記載したが、自分がエネルギーを注げることで、構想と実行が一貫している生業を行うために、ふもとで暮らし生活を整えることは相互補完的な関係性があると感じている。

私にとって山のふもとで暮らすことは、健康的な生活習慣を整える効果があり、構想と実行が一致している生業を行うことと親和性が高い、という結論となった。

世界のふもとでフィールドワークを行う

松本で宿泊事業を1年間行なった。利用者の半数は海外からの利用者であり、そのほとんどは北アルプスの山登りに訪れる方々であった。

そのうちの一組にフランス・シャモニーからいらっしゃった方々がいて、一緒に夕食に行き、普段のお互いの暮らしについて話す機会があった。それぞれがシャモニーや松本に移り住んだ理由に共通点があったことがとても印象的だった。

世界のふもとで暮らす方々には独自の営みがあり、それは私が松本での暮らしの中で感じたものと共通点もあれば、相違点があるのではないか。

それを現地で体感することは、個人事業(資本主義下では事業継続が難しく感じられる、一見経済合理性はないが社会的意義がある事業)に対し、「構想と実行が一貫している」というスタンスを維持しつつ健康的に向き合うヒントが得られる可能性がある。

2023年6月にはタイとインドに訪れた。その際タイでご縁があり、今年もタイと周辺国へ1ヶ月程滞在しながら拠点の調査、開発を行う予定だ。

松本での暮らしの中で得た知見と仮説を出発点とし、世界のふもとでフィールドワークを行うことで、各国の事業性と社会性のバランスの取り方や、その事業に向き合う前提となる暮らしのあり方について学びを得て、今後の自身の事業と暮らしの方向性について検討したいと考えている。