静けさのデザイン

とあるカフェに赴いた。入口のガラスドアには、幾つか但し書きがしてある。時間制であること、PCや写真撮影が禁止であること、静かに会話を楽しむ場であること、などだ。

店内で席についた時、それらの但し書きが、いかにこの場の豊かさを守ってきたかを感じた。心地良く静かな会話があり、一人で本を読んでいるだけで、温かく心の澱が消えていくような、そんな密度を感じる空間だった。

”静けさのデザイン”とでも名付けたくなるその場は、忙しない都市生活において、その営みを成立させている事自体に、尊敬の念を感じずにはいられない。

人を集めるデザインが正義の時世に、”静けさのデザイン”はいかにして可能なのか?人を操作しようとせず、温かく人間らしさを讃えるような場所のあり方を、長く考えていきたいと思わされた今日である。

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