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なぜ隅寺心経(東京国立博物館蔵)には"心"が多いの?

隅寺心経  出典:国立博物館所蔵品統合検索システム(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/B-3215?locale=ja)

なんとなく隅寺心経(東京国立博物館蔵)を見ていたら、ふと一文字多いことに気が付きました。よく見かける般若心経はこちら↓

観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄
舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得
以無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多故心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切顛倒夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提
故知般若波羅蜜多是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪
即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶
般若心経

よく見かける266文字の般若心経

この

得阿耨多羅三藐三菩提

の部分が隅寺心経(東京国立博物館蔵)だと

得阿耨多羅三藐三菩提

と「心」の一文字が多いんですよね。
阿耨多羅三藐三菩提菩提心」ではなく一般的な「阿耨多羅三藐三菩提菩提」の方が文意が通るので単なる衍字なのでしょうか。詳しい事情を知る強火の弘法大師推しオタクの人がいたら是非教えてください。

ちなみにこの伝空海筆の隅寺心経。文化遺産オンラインに

「弘法大師・空海の筆跡と伝えられるが、その書風から天平時代の書写と推定される。」

出典:隅寺心経 解説、文化遺産オンライン 

とあり時代を超えた弘法大師推しの方々の目の厳しさを感じます。

隅寺(海龍王寺)からも

現在『隅寺心経』と称する般若心経の写経は世間に多数存在しておりますが、正真正銘の隅寺心経は海龍王寺に伝わるもので、弘法大師空海筆と伝わります。

出典:海龍王寺ウェブサイト「令和の隅寺心経」を https://kairyuouji.jp/about/hand-copying-sutra/

と『正真正銘はうちの!!』宣言が出ています(ちなみに、こちらのは「心」はなく「菩提」になってます)。空海筆と伝わっている隅寺心経は多くあるようで東京国立博物館蔵のものだけでも複数あります。性質上、複数あってもおかしくはないんですが、中には売りにだされてるものも……。

もし別の人が書いたものだとしたら、間違えてしまった写経が「有名人の書として伝わってるんだけど……」という形で博物館に収蔵されてるんですから、ご本人はさぞ恥ずかしがってることでしょうね……。

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