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コミュニティデザイン塾について

フェイスブックのグループ「コミュニティデザイン部」に参加する人が2100人を超えました。フェイスブックグループの仕組みはよくわからないのですが、参加者全員のタイムラインに記事が表示されているわけではないでしょうね。とはいえ、記事によっては「いいね!」が250ほど付いているので、それなりの人が記事を目にしてくれているとも思えます。

そんなオンライン部活動のなかで、何か面白いことができないかなぁと考えていました。ただし、それは有料のオンラインサロンという方向性ではないんだろうなぁと思っていた、という話を前回の記事に書きました。では、何をすれば愉しいんだろう?そんなことを考えていたとき、記事のコメント欄でひとつの事例を紹介してくれた方がいました。

その方が紹介してくれたのは、静岡県静岡市で1985年から続く「清見潟大学塾」という事例です。市役所が公募した市民教授が講座を実施する市民大学で、当初は12講座(教授12名、塾生100名)から始まったそうです。基本的な考え方は「遊び心で大学ごっこ」。教授になりたい人が手を挙げて教授をやる。その人の講座を受講したい人が塾生になる。シンプルな組合せです。とはいえ、講座の質を高める必要がありますし、受講生が真剣に学ぶための工夫も必要です。教授が本気で教え方を学び、塾生も真剣に学ぶために必要なものは何か。この事例では、そこに「お金という道具」をうまく使っています。つまり、すべて有料の講座なのです。

講座の期間は毎年4月1日から3月31日で、月に1回開催される講座と2回開催されるとに分かれます。受講料は、月1回の講座が年間7,000円(運営費2,300円含む)、月2回の講座は年間14,000円(運営費4,000円含む)。どうやら受講料のうち約1/4が運営費とされているようです。会場は市内各所の公民館。市との協定で無料貸与できているそうです。なお、応募人数が8名未満だった場合は講座が開講されないそうです。また、受講開始から1ヶ月以内はクーリングオフの申請があれば運営費を除いた受講料の全額が変換されるそうです。

こんな仕組みですから、8名以上の塾生を集めるために教授は真剣に講座を企画しなければなりません。また、クーリングオフがあるので、教え方も内容も高め続ける必要があります。塾生もまた、受講料を支払っているので真剣に学ぼうとします。この塾の基本戦略は「市場原理の導入」とのこと。ともすると「仲良しごっこ」の市民大学になってしまうところを、お金という道具を効果的に使うことで教授と塾生の双方が本気になるような仕組みとなっています。

教授と塾生が、ともに真剣に学ぶ。頭を使うし、会話するし、外出機会にもなる。塾生は高齢者が多いようですが、これによって静岡市は医療費や介護費を間接的に減らすことができているのかもしれません。この塾の基本哲学として「とことん学んで、ちょっと臥せって、あっさり死ぬ」という言葉が挙げられているのが素晴らしいです。これまでに塾生数の増減はあったようですが、35年目となる2019年には113講座(講師63名、塾生1674名)だったそうです。こうしてみると、最近は平均してひとりの講師が2つの講座を担当しているようですね。また、いつの間にか「教授」という表現が「講師」に変わっているようですw。

ところが、2020年は新型コロナウイルスの流行によって、公民館での講座が開催できなかったそうです。7月からは開催されているようですが、きっといろいろと注意しながら運営しているのだろうと思います。一方、僕が考えていたのはオンラインでの塾。むしろ新型コロナウイルスの流行がきっかけで考え始めた企画です。清見潟大学塾が35年間続けてきた結果として編み出した手法を参考にしつつ、オンラインならではの企画に仕立て上げる必要があるな、と感じています。以下、いま考えている企画内容を記しておきます。

◆コミュニティデザイン塾

対象者:講師、塾生ともにフェイスブックグループ「コミュニティデザイン部」の部員。広く一般に講師や塾生を募集するのではなく、コミュニティデザインに興味があるということでフェイスブックグループに集った人たちの中で愉しみたいという気持ちがある。もし友人などを誘いたい場合は、まずフェイスブックグループに入ってもらう必要がある。フェイスブックのアカウントを持っていないという人には、アカウントを作ってもらうところから始めなければならないので手間になるが、将来的にフェイスブックのウェビナー機能(告知、応募、集金、配信などが手数料無しで一括管理できるようになった場合)を使う可能性があるので、あえてフェイスブックアカウントを持っていることを条件としたい。

講座の企画:講師をやりたい人が講座内容を企画し、「コミュニティデザイン部」で告知する。その際、自身の経歴を書くのではなく、なるべく講座内容に特化した告知文とすることを心がける(清見潟の事例がこれを推奨)。講師の経歴を知りたい人は、本人のプロフィールを見に行くこと。講師になるための条件などは特にない。自分が部員に伝えたいと思うことを講座化して告知するだけで良い。ただし、受講生が5名以下の講座は開講できないこととする(受講生同士の交流も大切なため)。なお、講座では講師と受講生や受講生同士が交流する時間を設けることが望ましい。そこでのやりとりが、その後の「コミュニティデザイン部」でのやりとりにもつながることを期待する。

講座の配信:基本的にはZOOMを使う(将来的にはフェイスブックが実装するウェビナー機能を使うことになるかもしれない)。したがって、講師も塾生もZOOMを使うための基本的な知識と道具は手に入れておくこと。また、講師はZOOMの有料会員(プロかビジネス)になっておくこと。無料会員だと40分間で講座が途切れてしまうことになるため(塾生側は無料会員で良い)。当然、講師側はウェブカメラ、マイク、照明などの質を高めておくことが望ましい。当面、手に入れた受講料はこうした資材費に充てることとなるだろう。

受講料:清見潟の事例では1年間の講座だったが、コミュニティデザイン部で1年間を基本とすると苦しくなる人が出てくる可能性がある。したがって、講座の回数は講師が決めることとする。1回のみの講座でもいいし、3回講座でも良い(その場合はすべての日程を事前に告知すること)。なお、最大の回数は10回とする。受講料はどの講座も1回1000円とする(運営費100円を含む)。「自分の講座はもっと価値がある」という方には申し訳ないが、とりあえずすべての講座は1回1000円としたい。

受講者数:5名以上の受講生が集まった講座だけが実現することとする。上限は設けない。ただし、ZOOMへの参加上限数は講師が使っている有料アカウントの種類によって変わる(100名、200名、1000名など)。

受付方法:講師がコミュニティデザイン部のタイムラインにアップした講座告知の記事を見て、受講したいと思った人はコメント欄に「受講します!」と記入すること。最後の「!」を付けることは、講師のやる気を高めるために重要である。コメント欄にある受講表明者の人数が5名を超えれば講座成立。講師は受講者に個別メッセージを送付し、ZOOMのURLを伝える。

受講料の支払い:講座終了後に、受講生は講師に直接受講料を送金する。近いうちにフェイスブックが手数料無料の集金機能を実装してくれるそうなのだが、それがいつになるか分からないので、まずはPayPalを使った個人間の送金とする(国内の個人間の送金なら手数料無料だったはず)。講師は集まった受講料の1割分を運営費として事務局にPayPalで送金する。

運営費の設定と使い方:清見潟大学塾の場合、事務局はさまざまな役割を担っている。推察の域を出ないが、大雑把に考えても以下のような仕事があるはずだ。①講師募集チラシと応募ハガキの整理と登録、②年間講座の取りまとめと広報(チラシやウェブサイトの作成)、③講座会場の予約、④受講生の受付、⑤受講料の金銭管理(受講料の徴収、講師料の支払い、返金の対応など)、⑥受講生の問合せ対応。これらはかなり大変な仕事なので、運営費は受講料の1/4と設定されているのだろう。それでもかなりボランタリーな仕事ではないかと思う。一方、コミュニティデザイン塾の場合は、ほとんどの役割を講師が担う。①は講師が自ら企画して広報する。②はコミュニティデザイン部のタイムラインに表示される。③はZOOMのURLを講師が用意する。④は告知記事のコメント欄に各人が記入。⑤はPayPalを使って講師が管理する。唯一、⑥は基本的に講師が対応するが、塾全体や講師への意見などは事務局が対応するだろう。やってみるともっと他にも必要な役割が出てくるかもしれない。そういうときのために、コミュニティデザイン塾では講師料の1/10を運営費とする(ただし、これも様子を見ながら変化させるものとする)。なお、事務局は運営費の収支を毎年コミュニティデザイン部で報告すること。

始め方:まずはコミュニティデザイン部のオンライン説明会を開催する(2020年9月2日)。ここで趣旨を説明し、賛同者を募る。講師、塾生に興味のある人は万難を排して参加して欲しい。また、上記企画に足りていない視点などについて、参加者からの意見やアイデアを募りたい。特にZOOMを使うということでいいのか、PayPalの個人間やりとりで問題ないかなどについては、みなさんの意見が聞きたい。もし上記で問題なければ、それぞれについてアカウントを持っていない人はその場で作ってももらうのがいいだろう。そうやって準備の整った人たちから、まずは小さく塾を開始してみたい。

注意点:講師はZOOMでの講義をすべて録画しておくこと。万が一、受講生から講義内容について抗議があった場合、その真偽について後で関係者とともに見返すことができるという意味で録画は大切である。基本的に、こうしたクレーム対応は講師と受講生の間で話し合って解決するのが望ましいものの、どうしてもそれが難しいときは事務局も含めて解決策を検討することとする。

想い:この試みは、自宅にいても全国の友人とつながって人生を愉しくするためのものである。講師も事務局も、金儲けを目的として活用することは避けたい。お金という道具をやり取りして、人々のやる気を「ある程度」高めるというのが狙いである。コミュニティデザイン塾という名のコミュニティ内で「市場原理」を使いこなしてみたいのだ。だから、まずは部員や塾生が講師を応援したい。講師として名乗り出てくれた人を温かく迎え入れたい。もし、受講生が集まらなくて講座が成立しなかった講師がいたら、その人が次に企画する講座には意識して参加するようにしたい。講座が成立して受講料を手にした講師は、それを他の講師が企画した講座の受講料として使ってほしい。あるいは、自分の講座の質を高めるために必要な備品を購入したり、さらなる勉強のための書籍購入費などに充てて欲しい。この塾内で巡るお金は、ここに集う人すべての学びのために使われるのが理想的である。

以上。

じわじわと面白いことになっていくといいなぁと思っています。

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