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怪談奇譚

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コツコツと集めた実話怪談奇譚です。
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記事一覧

[実話怪談]キッチン

[実話怪談]キッチン

東京の板橋に住むMさんが小学生だったころの話。
当時、Mさんは両親、妹、弟の5人で、坂の上にある団地で暮らしていた。

小さいころから、かなりの怖がりで、夜ひとりでトイレに行けないほどだったという。
小学1年生ごろに妹、その2年後には弟も生まれ、お母さんは妹たちの世話にかかりきりになっていた。

ある夜、Mさんは夜中に目がさめた。トイレに行きたかったが寝不足気味の母を起こすのも申し訳ない。
勇気を

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[実話怪談]夢

Hさんは、親戚に不幸があり、5歳の娘を連れて帰省していた。
その時に、娘が不思議なことを言い出した。

「Mちゃんって人が夢に出てきてね、一緒に遊んだり、ダンスしたりしてくれるの。」
「Mちゃんは、いつもニコニコしててね、優しいの、わたしのこと守ってくれてるんだって」

Mちゃんというのが誰なのか分からなかったHさんは「子供のいうことだから」とあまり気に留めていなかった。

夕食の片付けの時に、世

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[実話怪談]餓鬼

[実話怪談]餓鬼

これは私の叔母のRが子供だった頃の話です。
Mさんは語り出した。

Mさんの叔母、Rさんの実家は、徳島のかなり山奥の集落だった。
家の裏道は石段に続いており、そこを登ると古びた神社がある。
Rさんと妹は、神社の境内でよく遊んでいたそうだ。

ある日、母が家に帰ってくるとRさんが家中の食べ物を食い漁っていた。
泣いている妹をなだめ、話を聞いてみると「神社から帰ってきてから様子がおかしくなった」そうだ

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[実話怪談]沖縄の海

[実話怪談]沖縄の海

Rさんは小学生のとき、夏休みに子供だけで参加する3泊4日の沖縄ツアーに参加した。
そのツアーは、関西全体から小学生を集め、ボランティアの大学生と一緒に、沖縄のいろいろな島を巡るというものだった。
人見知りだったRさんを見て「良い機会になれば」とRさんの母親が申し込んだのだ。

参加した子供は合わせて数十名にもなり、Rさんと同じ学区から参加した子は少なく、始めは心細い思いをしたという。
しかし、そこ

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[実話怪談]走り屋

[実話怪談]走り屋

Hさんは20代のころ走り屋だった。
走り屋とは高速道路や山岳道などの公道を、違法な速度で競争をする人たちのことで、特に90年代後半には走り屋漫画の流行と合わせて、峠で違法なレースなどが行われていた。

ある日、Hさんは走り屋仲間7人と青梅にある有名な幽霊トンネルに向かった。
それぞれの車を近くのコンビニに止め、山道を分け入り、深夜の肝試しを楽しんだ。
不気味な場所ではあったものの、幽霊が出るような

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[実話怪談]紅茶

[実話怪談]紅茶

Nさんが子供の頃に住んでいた家では不気味なことがよく起こっていた。
寝ている時に足を引っ張られたり、机に向かっている時に髪をさらわれるなどの霊現象が当たり前だったという。
同じ部屋で暮らす妹は、何も感じないようで「お姉ちゃんは変わった人」というレッテルを貼られてしまっていた。
母親に訴えてみたところで「寝ぼけているのよ」「ご先祖様がからかってるのよ」などと相手にしてもらえなかったという。

ある朝

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[実話怪談]林間学校

[実話怪談]林間学校

香川県に住むKさんは中学2年生のころ、学校主催の林間学校に行った。
そこは瀬戸内海の見渡せる、たいへん景色の良い場所で地元でも有名なスポットだった。
昼間はクラスメイトと釣りやアスレチックなどをして、Kさんはとても楽しい時を過ごした。

夜になると宿泊棟の前の広場でキャンプファイヤーが行われ、クラスの30人ほどが輪になり唄を歌ったりした。
ふと、Kさんは親友のSちゃんがいないことに気がついた。

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