見出し画像

[実話怪談]林間学校

香川県に住むKさんは中学2年生のころ、学校主催の林間学校に行った。
そこは瀬戸内海の見渡せる、たいへん景色の良い場所で地元でも有名なスポットだった。
昼間はクラスメイトと釣りやアスレチックなどをして、Kさんはとても楽しい時を過ごした。

夜になると宿泊棟の前の広場でキャンプファイヤーが行われ、クラスの30人ほどが輪になり唄を歌ったりした。
ふと、Kさんは親友のSちゃんがいないことに気がついた。

先生に聞いてみると、気分が悪くなって部屋で休んでいるとのことだった。
心配になったKさんが、部屋に様子を見に行くと、
「キャンプファイアの途中で変な声が聞こえた、何か不気味な感じがして怖い」と青ざめた様子だった。
「急にどうしたの?気のせいだよ、楽しいからいっしょに行こう?」
「ごめん、わたしは行くの怖い・・・」

Sちゃんがどうしてもと言うので、Kさんは一人でキャンプファイヤに戻ることにした。
「普段はあんな変なこと言い出すような子じゃないのになぁ、、、」と思いつつ席に戻ると、
出し物はすでに終わり、終了の時間までそれぞれで雑談をしていた。

夜の時間を惜しみながら、クラスの子達と他愛のない話をしていると、真っ暗な宿泊棟の中からチカチカと白い光が覗いた。
「Sちゃんが懐中電灯でもつけてるのかな?」と思ったが、部屋にはライトがあるのに、わざわざ懐中電灯を使うのもおかしな話だ。
そんなことを考えていると「おーい、そろそろ火を消すぞー」と先生の声が響いた。
すると「最後に写真撮ろうよ」と友達に促された。

周りを見ると使い捨てカメラで各々が写真を撮っている。
Kさんもその輪にはいり写真を撮ろうとした瞬間、耳元で
「おいで・・・」とか細い声が聞こえた。

まわりにはクラスメイトが多くいたので、気のせいだろうと思ったが、
かすれたような小さい声だったのに、やけに耳に近いところで聞こえたのが気になっていた、、、
「Sちゃんはもしかして、あれを聞いたのだろうか、、、」
少し怖くなったKさんは、早めに宿泊棟にもどりSちゃんのもとに向かったが、
すでに寝ていたので、Kさんも早めに寝てしまうことにした。

数日後、林間学校の写真が出来上がってきたのを見るとKさんは驚いた。
背後に移したキャンプファイアの火の中に、人の顔が写っていたのだ。
それも、何十人もの苦しむ顔が浮かんでいた。

あとから調べてみると、その土地では昔、一家心中のために大きな火事があったそうだ
あの時聞こえた声は、その時の声だったのだろうか。