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#読書感想文 原田マハ「楽園のカンヴァス」② 

昨年11月、読み終える前に一度読書感想文を投稿して、読後再度投稿するつもりでいた「楽園のカンヴァス」の読書感想文です。

体調を崩して予定通り読めず、結局後半は駆け足で読み終えました。
更に、この記事を投稿するまでに間が空きすぎたため、メモした下書きを元に少しだけざっくりとした感想を投稿することにしました。

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舞台は日本の大原美術館、ニューヨーク、バーゼルが登場するが、ほとんどがバーゼルの話だった。バーゼルでは呼ばれた屋敷からほとんど場所は異動せず、登場人物も少ない中、美術作品の謎解き。それなのにこれだけ惹きこまれ、ハラハラして、どうなるのか先を読み勧めたいという気持ちにさせられるミステリー。

楽園のカンヴァスは、物語の中で物語を読む話がメインで、劇中劇と言ったらよいのだろうか。2000年現在の日本とニューヨークの物語の間に、1983年のバーゼルの物語があって、そのバーゼルで1906年~1910年パリの物語を読む。という入れ子状態の物語、作品だった。

作中に主人公が読む「ルソーとヤドヴィガとピカソの物語」は、作者の創作だが、まるで本当にそんな逸話があったかのような感覚で読めた。画家の生涯を描いた映画とかドラマとか、そんなものを観ているかのようだった。
例えば、モーツアルトとサリエリを描いた映画「アマデウス」という作品みたいな、そんな感じの印象だ。

ミステリーの謎解きとして、アルファベットの謎が最後にあかされる。ティムの解釈だけれど。
「夢」と「夢をみた」という「本物が存在する作品」と「実際にはない作品」をめぐるストーリーをうまく決着、させている。

小説は早川織絵とティム・ブラウン、2人の主人公の物語だが、他の登場人物たち、美術をとりまく人たち、キュレーター、コレクター、監視員といった職業が登場し、美術界の背景などが窺い知れるような描かれ方をしていて、作品を通して美術に興味が湧く人もいるのではないだろうか。

エンターテイメントとして、とてもおもしろい作品でありながら、美術をとりまく人々の物語を読んで、

美術を愛する者の気概、情熱とは。

そんなことを自分に問いかける何かを感じた。そんな作品だった。

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駆け足で読んだため、きちっとした感想文を書けなくて残念だ。
美術用語や実在の作品や人物などの確認をしながら、もう少しじっくり時間をかけて読みたいと思った。その機会があればしっかり時間をとって再度読み返しながら、今度はしっかりした感想文を書いてみたい。

「他の人の考察と比べたい」と以前の記事で書いたが、まだその段階でもないような気もする。
文庫本の解説(高階秀爾:大原美術館館長美術評論家)までは読んだ。
今のところそこまでにとどめておいて、深くしっかり読む機会ができて、感想文の完成版を書けてからにしようかな、と思う。他の人の意見に左右されない自分の解釈や感想を書くために。
それがいつになるかはいまのところまったくわからない。

<© 2023 犬のしっぽヤモリの手 この記事は著作権によって守られています>

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