#おすすめ名作ドラマ「恋ノチカラ」(2002年)
毎年冬になると見たくなるドラマだ。
深津絵里が主演したドラマの中では、この作品が一番好きかもしれない。
東京が舞台なのだけれど、映像が海外のような空気をまとっているように感じる。ニューヨークみたいな海外の都会みたいなカラっとした空気感。
映像に匂いや温度はないのだけれど、小田和正の歌声とドラマの映像が相まって、冬のつんと冷えた空気が伝わってくる感覚になる。
寒い~、というより、すがすがしい朝の空気のような感じだ。
おしゃれなアパートメントのセット(インテリア)も、深津絵里の衣装も好き。映像がアナログで粗いため、古い時代感が出て、よりお洒落に感じるところもある。
「恋」とタイトルに入っているけれど、私はこのドラマを恋愛ドラマとして見ていない。(恋愛の話は出てきます。)お仕事ドラマ、大人の青春ドラマとして好きなのだ。
大好きなシーンは、第3話で、徹夜で仕事をした後に、朝早く3人でベーグルを買いに行くが、まだ店は開いておらず、寒いのでジャンプをして体を温めながら待つシーン。
大変だけど、目的に向かって仲間と頑張る楽しさ、”ワクワクする気持ち”が凝縮されたようなシーンだ。
成功した後よりも、そこへ向かっていく途中が、振り返ってみると一番楽しかったとよく聞くけれど、こんな感じなのかな、と思ったりする。
ずっと「恋ノチカラ」というタイトルに違和感があった。
けれど、これが恋愛の恋ではなくて、仲間と紡ぐ仕事への恋、ワクワクドキドキする気持ちだとするとしっくりくる。
このドラマを観るとこんなワクワクする気持ちを味わいたい!って気持ちにさせられる。
因みに主人公が部屋をちらかしはじめたきっかけについて語られるシーンも印象的だ。
30才の誕生日に風邪をひいて、鼻をかんだティッシュを捨てるのがめんどくさくて、まとめてベッドからゴミ箱に投げたら、はずれて、おまけにゴミ箱が倒れてゴミがちらばってしまった。それをみたら急に片付けるのが嫌になって、な~んかどうでもいいやって思ったというのだ。
どうでもよくなってしまって・・・という瞬間は、ほんの少しのきっかけ。というのは共感できる。積み重ねの最後の一滴だったり、張り詰めていた糸がきれるような感覚だろう。
今でいうと、40才の誕生日と言った方がしっくりくる気もするけれど、女性に限らず、年齢がある程度いったときに思う虚しさとかも表現しつつ、いくつになっても、という夢も見させてくれるような、そんな景色を見られる作品だ。
<文・見出しイラスト/犬のしっぽヤモリの手>
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