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はじめの一歩はあの頃に

昨年の夏以降から人生がドドドと……いや、ゆっくりスキップするように動き出している気がする。映画『地球交響曲』の上映会を始めたのもそのひとつ。

つい先日、第二番の上映会に先がけたプレイベント「初女さんのおむすび結ぶ会」を開催した。

なんとなく、ちょっと前から、「そういうのやったら面白そう〜」と思っていたのだが、「よし、やろう!」と決心できたのは、実際に佐藤初女さんのおむすび講習会に出席したことがある2人の女性(ありちゃんと、けっかちゃん)と親しくなったから。そういえば2人と出会ったのも、昨年の夏以降だ。


初女さん直伝のおむすびの作り方を習う「初女さんのおむすび結ぶ会」は、たくさんの方に集まっていただき、講師をつとめてくれたおふたりと、日頃から交流を楽しんでいるお仲間の結束力もあって、ぽかぽかした空間のなか、無事成功。

写真はスマフォトグラファー@michidac
参加者の最年少、4歳の男の子もおむすび🍙


イベントのトークタイムで、ありちゃんがシェアしてくれた初女さんの言葉が、妙に泣けた。

「つらい時はどうしたらいいですか?」という問いに、初女さんはこんなふうに答えたそうだ。

私はそういう時は手を動かします。
女性は、妻や母親という役割から自分の時間を持てないことが多い。
家族が寝静まった後に、ひとりになって自分の時間を取り戻して手仕事をするのがいい。

話を聞いている先から目に涙があふれてしまった。イベント終了後に「泣けたわ〜」とお仲間と話しているうちにもオイオイ泣けてきて。そして、いま、noteを書いていても泣けてくる。



わたしは、母親という役割を必死にこなそうとしていた。本当は自分の自由な時間がもっと欲しくて欲しくてたまらないのに、そんなこと言えないし、できもしなかった。

フルタイムで仕事をしていたから自分の時間はそこそこ取れていたし、月イチは夫にお迎えを頼んで飲みにも行っていた。世間のお母さん方と比較したら自分の時間はあった方だ。でも、世間や誰かとの比較ではなく、私そのものがとにかく満たされていなかった

「母親になったのに我慢ができないのか。堪え性がないな」と言われればそれまでだけど、そんな言葉を私に向ける人はどこにもいなかった。唯一、私が私を非難していたのだろう。

誰にも縛られず生きたかった。思いっきり飽きるまで仕事して、飲みたい時に飲みにいって、眠たい時に眠って、食べたい時に食べたいものを食べて、食べたくない時には食べない。自分の感情や身体が求めるままに過ごしたかった。

でもそうはできない時期があった。いま振り返れば、ただただそういう時期だっただけ、と思えてくる。

『地球交響曲』の龍村仁監督と打ち合わせがてら食事をした際に、「私、子育てが向かないんですよね」と、こぼしたところ、「今はそれをやる時期なんじゃないの?」と、とても軽く言われたのを覚えている。

当時は長男が5歳くらい。責任ある仕事を背負い楽しみながらも、お母さん業も滞りなくやりたいと思っていた。でも実のところ、人の世話には喜びを感じられなくて、誰かが代わってくれるならお任せしたいくらいだった。近くに代わってくれる人はいなかったし、逃げるという選択肢は浮かびもしなかった。だからやった。やるしかなかった。それだけ。悩み苦しみながらも、ただただやったのよ。

ありちゃんが、私のSNSにこんなコメントを寄せてくれた。

12年前に青森に行った経験が、この日に繋がるとは夢にも思ってなかった

ありちゃんは初女さんの存在を知った頃、つらいことを抱えていたらしい。青森で開催されるおむすび講習会に、導かれるように行ったのだそう。

私が『地球交響曲』を知って癒されたのも、つらい気持ちを抱えてドン詰まりみたいな状況の頃だったと思う。その頃はまさか、宮崎でこんなことをするようになるなんて、思いもしなかったけど。

お互い、つらい状況があったからこそ光のようにすがったものがあったし、そこで見つけた光のようなものが、私たちの出会いにもつながっていった。

つらく重苦しい時は、豊かな今日へのはじまり。と、後から気がつくのが、「…ンだよ、この野郎!」みたいな、人生のドラマティックで面白いところだ。


とはいえ、あの頃の私のように自分の本心をこらえることはおすすめしない。手仕事でもいい、歌を歌うでもいい、花を愛でるでもいい。親でもない子でもない、夫でも妻でもない、男だからでも女だからでもない……すべての人が役割から解き放たれる居場所があったらいいな、世の中全体がそうなっていくといいな、と思う。

自分自身に還る場や機会づくりに、これからも微力ながら関わっていきたい。


映画『地球交響曲 第二番』上映会は、2022年11月12日(土)。自分を清らかにして原点に還るきっかけになれば幸いです。




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