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【中国軍産複合体】ミャンマー軍事政権の背後に見え隠れする中国軍需産業の影

  ミャンマー国軍が2月1日にアウンサウンスーチー国家顧問を拘束して事実上のクーデターを発動して3週間、国軍の背景には常に中国がいるとの話が取り沙汰されてきたが、このほど市民団体による報告書がそうした話に現実味を与える内容を示唆している。市民団体Justice for Myanmarの報告書によると、ミャンマー国軍側に武器や物資を提供する16社のうち5社が中国企業であり、国軍の後ろ盾になっているという。

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  この5社とは、中国北方工業公司(NORINCO)、中国航空工業集団(AVIC)、中国航天科技集団(CASC)、中国航天科工集団(CASIC)、中航技輸出入有限責任公司(CATIC)。

 このうち北方工業はミャンマー国軍に武器を提供するだけでなく、レパダウン銅山など2つの銅山開発を担い、現地住民を追払い、環境汚染を引き起こしているという。

 また中国は西部ラカイン州チャウピューで軍港開発に13億ドルを投資して、インド洋への航路開拓を図っているほか、マンダレーでの高速鉄道建設に同国とともに89億ドルを投資して北部と南西部を結ぶ鉄道網を整備してマラッカ海峡を回避しての物資、燃料輸送を可能にするルートを拡充しようとしている。中国とミャンマーによる石油パイプラインプロジェクトが中国軍にとって重要な生命線となるとの指摘もある。

 ミャンマー市民たちは中国大使館前に押しかけて軍事政権を支持しない様に求め、中国に「良き隣人」となる様求めている。こうした期待は中国の体制を見れば期待薄であることが明らかだろう。

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 このような報道、主張に対して中国共産党機関紙「人民日報」系統の「環球時報」は、Justice for Myanmarを過激派として「でっち上げ記事」だと批判し、中国との武器取引は同国がインドやロシア、ウクライナなどから武器装備を調達するのと同じく、正当な取引であると主張している。

 このように中国側はミャンマー国軍との武器取引を否定しておらず、逆ギレしており、現にクーデターの張本人であるミン・アウン・フライン国軍総司令官は2017年11月に訪中して北方工業を訪問して、同社の温剛総経理と面談し、「全方位の協力関係」構築を高らかに謳いあげていた。

 中国としては地政学的に重要なミャンマーをパートナーに引き入れておくことで軍事力を背景とした「一帯一路」構想での拡張主義を推し進め、世界に権益を拡大していくことが可能になることから、軍事政権への支援はやめることはありえないのだ。





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