見出し画像

連載漫画の作り方4 人間関係1

漫画の仕事の人間関係

仕事として商業漫画をしていてできあがる人間関係は主に二つ。
・編集者
・アシスタント
二つ目に関しては人によって、漫画のタイプによってなかったりします。四コマ漫画の人なんかは大体一人でやってると思う。本数が多いと、ベタ塗ったりデータ送信したり(デジタルだとして)くらいを家族が手伝うことはあるでしょうけど。漫画家ってのはだいたい閉鎖された系での仕事で、ボクなんかは「人に会わない」「やたらに出かけない」というのを大変に気に入っています。

担当編集者との人間関係

ここでは、ストーリー漫画、しかもキャリアの浅い人が出会う人間関係についてお話をしていきます。まず担当編集者。知って欲しいことは次のことです。
・担当は作家の側からは交替させられない
編集者だからってみんな優秀なわけはありません。そして優秀かそうでないかは、一緒に仕事を続けないとわからないんですね。人間的にはくずでも担当した作家がヒットを飛ばすという不思議な人は実際います。
仮に「こいつ、人としてくず」と思っても、作家側からは交替させられません。会社には会社の人事とか仁義がある。横車を押して通ったとしてもあとあと禍根を残します。
どういう担当編集者と出会うかは運です。運。出会った人で最善を尽くすしかないのです。

・担当編集者は漫画を教えてくれない
「え?」と思う人もいるかも知れませんね。ジャンプが漫画の学校やってるのでは? とかね。
でもね、ああいうのは基本、お客さん向けのサービスなんです。のちのち自分のところの漫画家になる可能性が高いわけですから、やってる。少女漫画なんかは昔からきめ細かき読者サービスの一環としてやっていました。
「しかし、担当は『ここはこうしろ』とか細かく言うけど?」
と言う経験をした人もあるでしょう。まず厳密に言えばそれは漫画を教えてるわけではないのです。意見を言ってるだけ。編集者は「最初の読者」という立場になろうとします。「読者がみたらここが気になる」という意見を言ってるだけなんです。それを直していくのは漫画家の判断・技量です。
次に、仕事が実際始まると担当編集者は本当にものを言わなくなります。最小限の意見だけです。雑談を楽しくできるのは、連載になるかどうかの当てもなく持ち込んでる時だけです。その時は利害関係は実際的にはないから。

・そこの所を間違えると面倒くさくなる
少年漫画の編集者の場合、持ち込みにくる漫画家、漫画志望者より年齢がずっと上の場合が多いです。週刊少年ジャンプは中学生が持ち込みに来たりしてます。そうするとね、懇切丁寧に「漫画ってこうだよ」なんて教えなきゃいけない気持ちになるようです。
(ボクが週刊少年マガジンでデビューしたとき、担当チーム三人のうち年上は一人、あとは同年と年下だったので、多分すっごくやりにくかったと思います)
編集者なんかもともと一言多い人が揃ってる業界です。なんか語りたくて仕方がない。そういう人が「漫画ってこういうものだ」と、わかってんだかわかってないんだかの知識を振り回し始める、そして漫画家がこれを鵜呑みし始めると、危険なことになります。
二人の人がいて、片方が自分を変えずに一方だけを変えようとする。
これはハラスメントなんです。
「君のためを思って言ってるんだから」
なんて言うけど実際は
「オレの言うことを聞かんか、ボケーー」
みたいなのを内面にため込んだりする。
上で話したように、担当は漫画家の方からは滅多に替えられないので
一旦こういう関係になったら変えられません。
一番良いのは逃げることですね。出会っちゃったらもう仕方がないんです。

少年漫画の世界は構造的に編集者がハラスメントをしてしまいがちです。本来は漫画家も編集者も注意深くそれを避けるべきですが、ほとんどの編集者がそれに気がついていない。となると、とにかくそういう状態、状況を回避する事をお薦めします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?