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「食べる」のしんどい#18 ハムエッグとハムエッグ丼

 朝ごはんといえばハムエッグだろう。違うという人もいるかもしれないが、わたしはそうだ。
 で、ハムエッグを作った。卵焼き用のフライパンを温めて、卵を落とす。それとハム。インフレ、インフレだといわれているので、卵一個とハム一枚だ。ハム二枚にはしない。欲しがらないのだ、勝つまでは。誰に勝つとかは考えていない。そもそも物価が上昇し続けるのが資本主義なので、永遠にわたしが勝つことはない。

 冷蔵庫の野菜を小鍋に放り込む。トマト、ブロッコリー、しめじ。水を足して煮る。あとで味噌を入れれば、ほぼ味噌汁は完成。ブロッコリーの頭がお湯からはみ出している。ちょっと気になるので、たまにころころと転がす。
 ハムエッグの方も完成が近い。ハムをフライパンから皿に移す。
 が。よく考えると、皿に盛るほどの量でもない。ご飯の上に乗せて、ハムエッグ丼にしてしまえばいいんじゃないか。洗い物を減るし、見映えもいい。インスタに上げるにはこちらの方がいい。
 が。よく見ると、すでにハムを皿に盛ってしまっている。油で汚れている。皿は何があろうとこのあと洗わなければいけない。
 妙な袋小路に入ってしまった。
 ちょっと悩む。
 だがこうなると、引き返すか壁を壊して突き進むしかない。卵と壁問題。のような何か。わたしは壁を壊す。ハムエッグ丼にする。皿は洗う。それでよし。
 ご飯をよそった茶碗にハムとエッグをのせる。慎重にやったつもりだが、黄身が破れてしまう。とろとろと黄身が流れ出し、黄色く光る半球が萎んでいく。見栄えがいいとか言っていたのはなんだったのだろうか。しかし、世の中こんなもんだ。

 10分程度で出来上がった朝ごはんを食べ終わる。使わなかった皿は洗った。それは仕方がない。やるしかない。迷いはない。いまは携帯で撮ったこのハムエッグ丼の写真をどうしたものかと考えている。
 ま。結局、上げるんだろうけど。

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