「食べる」のしんどい #9 唐揚げ弁当

 蒸し暑い日。それでも強い風が吹いているので少し気持ちいい。
 最近、唐揚げ食ってねえなあ。
 そんなことを思って、近所に唐揚げ弁当を買いに行く。
 嘘です。
 海苔弁にするつもりが、直前で日和って、唐揚げ弁当にしました。米大盛り。唐揚げが5個入りなので、今の自分だと3個が限界かもなあ、残りは夜にでもたべるかあ、などと家路。
 帰宅。

 ドン。
 唐揚げショボない? ババアの踵みたいにひょろひょろの肉。この店、いつもはこんなんじゃないのに、どうなってるの?
 いつもは、と言っているが1年ぶりくらいに食べたので、真偽は定かではない。前からこのくらいだったかもしれない。
 海苔弁にしとけばよかったなあ、と思いながら、ババアの踵を食む。
 こういうショボいおかずで大量の米を食べるのは、昭和世代は得意なんだよ。昔は今ほど食の環境も充実してなかったからね。
 からあげ君に絶大な信頼を寄せる奴は大抵、昭和生まれ。気をつけろ。
 ああ、どうせなら、サバの弁当にすればよかった。
 ババアよ、俺の唐揚げを返せ。
 しんどい。

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