マルチリンガル教育、どうすれば?

メイン言語の習得(今回の場合は日本語ですかね)と、第二言語(今回の場合は英語ですかね)以下の習得の両方が必要だとおもいます。優先順位としては、将来的にその子がどちらの言語文化圏を拠点にするかにもよりますが(したがって、それによりメインの言語と第二言語以下が決定します)、脳科学的にも、人間の言語形成が、12~13歳頃までに完成すると考えられているので、この時期になるべく多くの言語に触れさせて、脳にシェマを形成させておくことが大切になって来るかと思います(ピアジェ的ですがw)。チョムスキー以降の言語学の理論によれば、この時期までに、メインとなる言語の読み書きをしっかりと学んでおけば、子どもはそれを応用して他言語の言語構造を理解しようとすると考えられています。したがって、幼少時より外国語に触れさせておく教育は、やり方にもよりますが、正解だと思います。

アジアの子どもたちが、英語を幼少期から話せる事情は、現地の質の高い英語教育の成果にもよりますが、歴史的・文化的な背景も考慮しなければなりません。日本の場合と違い、多くの民族で構成されている国内でコミュニケーションをとるためには、統一された言語が必要だったこと、またアジアの地域の多くがイギリスなど英語圏の植民地になっていたことなどから、早い段階で自国内の共通言語を英語に統一した方が、効率がよかったという事情があります。

一方、日本人は海に阻まれていたためか、比較的少数の民族から形成される特異な国家となりました。また、英語との付き合いも比較的浅い国です。そして、日本語がある程度完成された状態で、オランダ語や英語が入り込んできました。また、日本は近代以降、かなり早い段階で、高等教育を自国語で学ぶことに成功した国です。外国語の文献を自国語に翻訳し、自国語の言葉で若い世代に伝えることができたからこそ、外国語でものを学んだり、考えたりする必要がなくなりました。また、他のアジア圏と違い、英語文化圏の国による直接的な植民地支配を受けていません。

それらの事情を考慮すれば、「日本人が英語が話せない」ということは、不自然なことではないでしょうし、むしろ英語を話せる日本人のほうが、ある意味で不自然なことなのでしょう。ただ、本来話せないものをはなせるようになるためには、相当の努力や勉強を続けていかなければならないことで、それはそれで凄いことだと思っています。

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