大洗・ご馳走青柳さんで約6000円のあんこうのどぶ汁を食べてきた――あやせの贅沢出納帳・特別編

※こちらの記事は投げ銭制です。記事は無料で全文読むことができます。


「贅沢な食事」とは何だろうか。

近頃、この企画を通して「贅沢」の何たるかに触れ始めている。

女友達3人と、平日の昼間からサイゼリヤで3人5000円で飲む。これもまぎれもない贅沢だ。

普通にTwitterに上げれば「フォロワーさんの3割ぐらいは割と本気でうらやむ行動」だと思っている。

Instagramに上げたらひとつもいいねが付かないどころか「この人は雑に暮らしていて下賤だ。原始人かよ。フォロー外そ」と思われかねない。

そんな特定のコマンドを入力しないと開かない「贅沢の抜け道」みたいなやつではなく、正門から入るタイプの「誰もがうらやむような」贅沢をしてきた。

TwitterもInstagramもフェイスブックも対応しているタイプの贅沢だ。

決してリムジンで豪遊とか、劇団雌猫がファッション誌で披露するタイプの「あ、この人たち浪費してる」系ではない。

どちらかというと、「丁寧な暮らし」系のそれだ。

「私が多めに払う!」と友人を誘って2人前約1万2千円のあんこう鍋・「あんこうのどぶ汁」を食べてきた。

■贅沢といえば「ご馳走」

私はどちらの贅沢も最高だと思っているが、茨城に住んでいるわけだし、一度ぐらいは「すごいあんこう鍋」を食べてみたかった。

過去にあんこう鍋は4度ほど食べているが、どれも家庭の味を感じるものだ。


しかし、家庭の味だからといって侮るべきではない。そもそも家で作ったあんこう鍋より普通に旨い。(家庭の味ってなんだ)

これらは紛れもなくすべてが驚くべきレベルの旨さに度肝を抜かれていた。

だが、今回食べに行くのはひとつ上のランクのあんこう鍋だ。

お邪魔したお店はその名も「ご馳走 青柳」さん。

どれくらい凄いかを美味しんぼに例えると、山岡さんが「本物のあんこう鍋はこういうのを言うんだ」と連れてってくれるレベルのお店だ。

(注釈すると、今まで食べているあんこう鍋もまぎれもなく本物だが、山岡さんは認知が歪んでいるため、「特定のレベルに達している食品」しか「本物」だと思えなくなっている。)

しかし、山岡さんが「本物」というのなら、まず間違いなく旨いことが約束されている。

まぁ実際に山岡さんに連れてってもらった訳ではないが、Twitterの大洗愛好家達がこぞって絶賛しているお店だ。

難点は一人前6000円近いと、価格がシンプルに高い所だが、今はそれも好奇心をそそる材料となっている。

居酒屋で食べる一人前980円ぐらいの鍋がディフォルトとなっているため、その6倍の価格の鍋はどのようなものなのだろうか。

どこからそんな金をねん出したかというと、今までnoteのサポート頂いたお金から少し拝借することにした。

皆さん、本当にありがとうございます!

さて、青柳さんは、大洗ホテルの元料理長であるご主人が自宅を改造し、美味しい海の幸を振舞ってくれる、ちょっと高級なお店だ。

冬は無水で調理したあんこう鍋・「あんこうのどぶ汁」を食べることができる。

お店の外観はこのように(写真は指が映るという盛大なミスをした)、「おうち感」が全面に押し出されている。

自宅を改造したとのことだが、随所におもてなしの心を感じてドキドキしてしまった。

私の思い出の中で最も格式の高い家は、「ピアノの先生の家」だった。

いつもお庭は花であふれ、綺麗な家の煉瓦をぴょんぴょん跳ねながらキティちゃんのお稽古バッグを振り回していた。

そんな記憶を思い出す、綺麗でちょっと懐かしい外観だ。

【写真】「ご馳走」という言葉の「あふれ出る贅沢してる感」に期待が高まる。

■目の前で繰り広げられる「達人の技」

入店してお部屋に通され、どぶ汁とあん肝を注文する。

友人と口の中で蕩けるあん肝を堪能していると、三つの大皿が登場した。

「こちらがあんこうのどぶ汁の材料です」

【写真】二人前だが明らかに量が多い

一皿目には野菜が中心だ。苦手な春菊があること(後の伏線である)に内心ゲッと思う。

「私、鍋の大根は薄切りがいいんだよね」

と友人は既に嬉しそう。

二皿目はほとんどがアンコウだ。アンコウは調理されておらず、生のぷるぷるの状態でやってきた。

そして三皿目は肝。あん肝がめちゃくちゃ多い。

アンコウの切り分けた部位から成る「アンコウの七つ道具」について、元料理長さんから説明を受ける。

アンコウには捨てるところがないと言われており、吊るし切りでも骨しか残らないという。

ちなみに七つ道具の中身はこんなかんじ。

ひれ、皮、えら、肝(肝臓)、胃袋、ぬの(卵巣)、身
参考: https://kenokoto.jp/50515

鍋を開けるとなんと、そこはカラ。鍋から底がよく見える。

無水で調理するという。

まず、ご主人が手慣れた手つきで肝を炒る。

木べらで肝を潰し、色が変わるまで炒めるのだが……。

今年は自分でも挑戦してみたが、これが意外と難しいのだ。特に、肝を滑らかにするのが大変だ。

だが、流石は大洗ホテルの元料理長。達人と言っても過言ではない手つきで肝を潰し、どんどんなめらかにしていく。

細かい火加減もその都度しっかりチェックし、余念がない。

【写真】この段階で既においしそう

肝が炒られて色が変わってきた!

■黄金色の「ご馳走」

そして、アンコウの部位を次々入れて水を入れずに煮込む。

写真は少し煮込んだものだが、本当にアンコウから水が出てきている。

近頃は無水調理が流行ったり流行らなかったりを繰り返しているが、私は未だ無水調理をしたことがない。

あちらは栄養を逃さないことにメリットがあるようだが、おそらくアンコウ鍋の無水調理は「余計なものを遣わずに素材のコクを閉じ込める」ことかと思う。

そして野菜を投入して少し煮込むと、とうとう本当に一度も水を入れずに味噌で味を調え始めた。

丁寧に味見もしてもらう。

なんと、味付けは味噌のみ。余計な調味料は使わない。

【写真】ドン

完成!!!!!!

「見てくださいこの黄金のスープ!」と食レポが止まらなくなる。

一口、はふはふとさせながらぱくり。

薄味だ。はふはふ、ぱくり。ぱくり。

箸が止まらない。

アンコウの身は、フライとかで食べる白身魚のめちゃくちゃ締まっているバージョンだ。

ほどよくシャキッとした野菜から出る、あんこうの旨味がたまらない。

スープを飲む。な、なめらか……あっさりとしているのに、濃厚!!

通常ならばあん肝が残って汁に浮いているものなのだが、ご主人の技によって丁寧に炒られたあん肝は、それがない。

などと、料理マンガのリアクションする人のような顔になってしまった。だって、めちゃくちゃ美味しい……!

余りに美味しかったため、スープを飲まずにとっておくことにした。完全に「ご馳走を食べるモード」だ。

そして、よそられたあん肝も、勿体なくてどうしても食べることができず、後半に食べるためにとっておいた。

結構そういうお客さんはいるらしい。

きっとショートケーキのイチゴを取っておく人だ。

そして、口の中がどうしてももたついてくる。(以前家で作ったあんこう鍋よりもはるかにさっぱりしていたのだが、アンコウの肝は濃厚なのだ)

そん時、保留しておいた春菊をぱくり。

う、うまい(テーテッテレー)

そう、春菊は口の中のリセットの機能を担っていたのだ。

おかわり二杯目でお腹がいっぱいになってきてしまったが、それでも箸が止まらない。

「私はこれを食べるために生まれたんだ!!!!」と言わんばかりにぱくぱくと食べてしまう。

実際に美味しい。

あんこうも美味しいのだが、アンコウの「旨味」が最大限に引き出されたスープを吸った世界一贅沢な野菜が、くたくたにもならず、シャキシャキすぎない野菜が、とにかくおいしい。

スープを飲む完全なる調和がそこにはあった。
肝が「溶けて」いるのだ。

うまい、うまい、と中華一番でケシの料理を夢中になって食べる特急厨師候補生のように、危険な顔をしていた私に対し、友人は冷静に言う。

「これ、ゆずが入ってる……!」

そう、この鍋には更なる秘密があったようだ。

口がギトギトにならないよう、少量のゆずが入っていたのだ!

実際に食べている人間にはわからないかもしれないが、これは大発見だ。

旨すぎる料理というのは、何が入っているかわからなくなる。

「素材の味」の上を行く、「調和された何か」になっているからだ。

なるほど、こんなところにも工夫が……! 

おもてなしの心が過ぎる。ここが天国か。

■完全なる調和による「食べたことない」雑炊

大満足のまま、雑炊に移った。

雑炊に移る前に、お漬物が来た。鍋で口が少しぎとぎとしていたのでありがたい。

いくつかをぽいぽいとつまんで、残りを取っておく(伏線)

お鍋のシメの雑炊ってどう作るか知っているだろうか。なんて聞くのも愚問だと思う。

鍋にご飯を放り込み、火を止めて、溶き卵を入れて終了。とかだ。。

ところがどっこい、今回は全く違った。

味を調整し、ご主人が手慣れた様子で卵を混ぜていく。この段階で私は大分ビビっていた。

「雑炊の卵をかき混ぜる!? かき玉状に……って感じでもないぞ!? 一体全体どうなるんだ!???」

出来上がった雑炊を見ると、黄金色に輝いているではないか。

【写真】卵どこ行った!?

よそった雑炊に小葱をかけ、いざ実食。

ご馳走だ…………。

口の中でいろんな旨味が襲い掛かる。

モロにあん肝の旨味だし、単なるあん肝のその上を行く何かだ。

「口の中が幸せ」とはこういうことを言うのだろう。

あんこうの旨味、野菜の旨味、雑炊の際に追加で入れたこぶの出し汁、そしてご主人の技術が三位一体となってできた最強の食べ物。

そう、これは雑炊ではない、「最強の食べ物」だ。

だが、「最強の食べ物」は食品の名前ではなくカテゴリなので、敢えて名付けるなら「あん肝雑炊」が適当だろう。

そして、これ自体が最強の酒のアテだ。やばい。旨い。

くそう、くそう……何で車で来ちまったんだよ!!!!!

私はこの最強の食べ物を「高級品」と認識してしまったがために、どうしてもちびちびとしか食べることができなくなってしまった。

しかし、高い肉しかり、旨いものは多くは食べられない。美味いものではなく旨いものだ。

これは旨いものに定められた宿命である。

マックのポテトはいくらでもだらだら食べることができても、この雑炊はそうもいかない。

だんだんと口の中がぎとついてくるのだ。今回は春菊がいない。大ピンチだ。

その時。

「そういえばお漬物があった!!!!!!!」

そう、伏線だったお漬物だ。

【写真(二度目)】「旨い」を加速させるブースター

お漬物をぱくり。

う、うめえッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!

あん肝雑炊は、お漬物とこんなにも合うのか。

お漬物の塩味が、パズルゲームの連鎖のように口の中のぎとぎとと結びついて、満腹なのに脳からヤバイ汁がどぱどぱと出る。

ぱくり、と雑炊を口に運ぶと、更に旨味が増していた。

な、なんだこれ……!!!!!!!!!

私は感動した。

お漬物を解放するのが遅れてしまったことが悔やまれる。

特に少量のショウガの漬物には感動した。パズルゲームに例えたら「全消し」なのだ。

ぷよぷよならば、全消しするとボーナスとして連鎖しやすいぷよぷよが降ってくるのだが、まさにその状態。

次の一口が天国だった。な、なんだこれ……!!!!

こうして、とうに満腹だった体に旨すぎるを収め切り、私たちは帰路についた。

美味しいものを食べると、疲れがどっと出る。

温泉に入った時や、ハリ治療をしたときと同じだ。

来年も、ここに来よう。

毎年のご褒美。そんな「ご馳走」がここにはあった。

こちらのnoteが面白かったらスキ(♡)を押していただけると嬉しいです! 記事を購入いただけましたら、明日を生きるための費用とさせていただきます!

この続きをみるには

この続き:0文字

大洗・ご馳走青柳さんで約6000円のあんこうのどぶ汁を食べてきた――あやせの贅沢出納帳・特別編

矢御あやせ(小説家)※半復活

200円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

記事が気に入ったらサポート頂けると嬉しいです。 ご支援いただいたお金で幸せを噛みしめます。

目標は1000スキされるnote作りです!
62

30歳小説家、「語る」編

好きなものを語った記事をまとめました。愛とリスペクトで構成されています。
1つのマガジンに含まれています

コメント2件

美味しそうでリアルによだれが( º﹃º )
矢御さん食レポうまいですね!
ありがとうございます✨
食レポを書くのが趣味で仕事にしたい人です笑
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。