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それ、誰がやんの?

使命感という言葉があるが、世の中には誰かが「やらんといけないこと」がある。それが、新たな仕事になったりして、世の中の課題やニーズに対して「誰かがリスクをとる必要」がある。

まちづくりも同じで、「じゃまちづくりに対するリスクを行政がとれよ!」って世の中の大半の人が思っているとは思うんだけど、行政は行政で組織の中でこの「やらんといけないこと」の順位が決まっていたり、ある市民さんや企業の「やらんといけないこと」が今、リソースを避けないことでもあったりし、結果、「行政は動かん」となったり、感じたりしているんだと。

たいていの場合、業務が煩雑で事務仕事に追われている行政マンは、予算も人的なリソースも余裕もなかったりで、新しい仕事に取り組むと「首が締まる」ことがわっていたり、今の自分の「できること(能力やスキル)」と「組織の説得の壁のたかさ」がバリアになり、結果、新しいことや「やらんといけないこと」だけど、今の組織の優先順位に合わないものに関しては、「やらない」と判断してしまう。

この状態から脱却しないと、まちって誰の想いも実現できない、ただの箱になってしまい、結果、シビックプライド(まちへの想いや誇り)も低くなってしまう。

そこで最近、すごいなーと思う地方公務員の方達のやり方や今、自分のまちでやってることを因数分解してみようと思う。

予算や人やリソースが十分にある状態を作るには、いわゆる「やらんといけないこと」と思っている人と、「一緒になって行政もやる!」

これがいわゆる今、求められている「共創」なんだと思う。

「共創」ってそもそもなんなん?

2004年、米ミシガン大学ビジネススクール教授、C.K.プラハラードとベンカト・ラマスワミが、共著『The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers(邦訳:価値共創の未来へ-顧客と企業のCo-Creation)』で提起した概念と言われています。「企業が、様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造する」という概念「Co-Creation」の日本語訳。

そう。言葉にするとなんだ簡単なことじゃん!って思っちゃいますが、これが実際やってみると意外と難しいもの。

ここで忘れてはいけないのは「共通のやらんといけないこと」をどう見つけるか。いろいろ官民連携、官民協働を成功させている神戸市の長井さんなんかはこれがすこぶる上手い。

どう上手いかというと組もうと思っている相手と「ブレスト」をするという。僕もこれを「セッション」と呼んでいて、「何か」仕掛ける際には必ずやる。大きな案件になりそうであれば必ずリアルにあったりして「取材」をする。

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なぜなら、構図はこうなっているから。実は、Aさんを自分として、BさんがやりたいこととAさんが働きかけて一緒にやろうと言っていることの接点って意外と重なり合っている部分が少ないことが多い。

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たいてい共創を仕掛ける人で上手な人はAさんの領域が大きく、寛容でやりたい、「やらんといけないこと」がめちゃくちゃ大きい。

僕もこの円を大きくすることをひたすら大きくすることに集中した。

僕の場合は、たくさんの企業さんに「取材」したり、知らない業界に飛び込んだり、イベント、セミナーに参加しまくったり、経営やマーケティングの本を読んだり、雑誌を読みあさったり、インプットをたくさんした。

でも、それだけじゃ自分の力やノウハウにはならないので、どうしたか。

①「行動しまくった」 

企業のためになりそう、興味がありそうな情報を共有したり、実際に自分の事業やプロジェクトで実践しまくった。

②「想いを伝えまくった」

何かというとピッチや発表できる機会、場所を求めて参加し、名刺交換中にプレゼンできる3分間くらいのネタ、登壇して話せる10分間くらいのネタ、1時間で話す長いネタをひたすら作り替え、伝わる方法や相手の反応を見て伝え方を徹底し、伝えまくった。

③「さらに不足してるまちのネタを集める、取材する」

その①と②を繰り返す中で、なんだか納得感がなさそうだなとか、もっとここ解像度高くまちのことやプロジェクトのことを伝えたいなぁと思う部分は積極的に、収集し直しをしたりした。


この三つを繰り返すことでどんどん自分の「やらんといけないこと」の表現と、相手の「やらんといけないこと」の重なる部分をより解像度高く、照らし合わせるようにできるようになったんだと思う。

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Aさんが自分だとしたら、「やらんといけないこと」を明確に伝えることができるとBさんは「意志があってなんだか素敵!」、「この人となら何か一緒にやりたい!」と思うようになり、Bさんの「やりたいこと」の領域を広げてくれる。(そう思ってる)

ここで重要なのは、「この人と」ということと、「何か」というフレーズだと思う。

組織の壁や調整の大変さを乗り越えてまで「この人となら何かやれる!やる!」となれば自然と多少、大変なことでも頑張ってやろうとなる。

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共創というテーマでお声がけいただいて講演でいつもこの資料を使ってるが、

①まずは「まちの課題ややらんといけないこと」を知ることが大切。まち歩きだって、食べ歩きだって、様々なまちのひとや経営者の想いを聞くことだって立派な第一歩。あとはまちの成り立ちとか歴史とかもかなり重要。とにかく「知る」ことから始める。「知る」と「面白くなり」「好きになれる」と思う。

②自分にやりたいことがあればそれでもいいけど、ない場合は、まちの人々の想いや総意(大体、まちをよくしたいと思ってる)、こんな風になりたいという理想があって、自分もそうした方がいいと思った部分や好きな領域(食べることや話すこと、人と出会うことなど)に持ち込めさえすればいい。好きなことは、しんどくてもやり遂げれるから。

③できること。つまりスキルだと思うんだけど、これは、自分のスキルだけではなくて、周りの仲間、共創者、伴走者のスキル、組織のスキル、まちのスキルをフルに活用するところにある。最初からスキルはついてないので、ここは努力すること。とにかく自分が「まちの変化の起点となる!」と信じて、しっかりとした意志を持ち、経験する中でスキルをつけていくとさらに次のステージが開ける。

この真ん中の「やるべきこと」に位置付けれるものはなんなのか、まちづくりの本質は、一人ひとりのやりたいこと、想いの実現なんだけど、たいていの場合、かなわないことがある。

でも、一人じゃできなくても10人、20人、100人と力を合わせると実現できることもある。

「みんなの想いはこうですよね?」と、それぞれ戦略、つまり何でそれを実現したいかは違うことは多いけど、「共通の何か」を編集できれば、まちづくりは少しずつ前に進んでいく。

「それ、誰がやんの?」

何か、まちを変えたい、よくしたいと思ったら、誰にも頼まれてないけど、自分が「やらんといけない」と思えるかどうかが大切かもしれない。」

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