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パラオの犬

パラオには放し飼いの犬がまだたくさんいます。特定の飼い主がいるわけではなく、その辺の人たちが何となく飼っています。犬はその日の人々の様子を探りながら食べ物にありつけそうな人の家の前で張り込みます。住民たちはとりわけ大切に犬を扱う様子もありませんが、犬が目に入ると餌をあげることは惜しみません。餌は自分たちの食べ残しの場合がほとんどですが、一部の人はドッグフードを用意していたりもします。食べ物が何もなければあげられないので、すまないな、という雰囲気を出すと、犬は当てが外れたなという顔で別の家へと去って行きます。犬はその辺りの家五、六軒をはしごしていますのでどこかの家には餌があるはずです。
自由でいいなと思うかもしれませんが縄張り争いなどは決死の覚悟で行わなければなりません。お気に入りの人のジョギングについていって、うっかりと他の犬の縄張りに入ってしまうようなこともあります。そのような時の犬の喧嘩は大変激しく、大怪我をしたり死んでしまう場合もあります。喧嘩になれば近所中に声が響き渡るので、近くの住民たちはのそのそと出てきて、犬に石や靴をぶつけ喧嘩を止めます。パラオ人のそういう時の石の命中率はとても高いです。喧嘩で傷ついた犬は、自分の縄張りに戻り、傷が癒えるまでずっと同じところで数週間じっとしています。息を荒く低くしてひたすら眠り、時々起きて水たまりの水を飲み体を癒します。

また、犬たちは車のタイヤにおしっこをかける習性があります。そのため、その車でよその地域に入るとその地域の周辺の犬たちに車ごとよそ者扱いを受け、激しく威嚇されます。執拗に車を追いかける犬もいて、よく メインロードで犬から逃げる車を見かけます。自分の体より数倍も大きい車に物怖じもせず立ち向かっていく犬の姿はとても頼りがいがあります。

犬は朝夕に活動的になりますので、その時間に人が散歩をしていると5匹くらいの犬の群れに囲まれることがよくあります。そのような時は、諦めて無抵抗であることを示す必要があります。身を低くし、オープンな感じで今後よろしくお願いしますという雰囲気を出すと見逃してくれます。
横断歩道を渡る犬、春の大干潟を渡る犬、橋を渡り別の島の彼女に会いに行く犬。これらはまだパラオに見られる光景です。
近年では外国から獣医さんなども来たりして、パラオの犬は虐待されているとか、かわいそうだとか言われます。犬をつなごうという運動もあります。繋がれた犬はうるさくて冗談が通じないので、個人的には繋いで欲しくはありませんが今後はどうなることでしょう。

犬の尾の呼ばれてうれし潮干潟

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