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蔵出し:「アメリカにいる、日本人との付き合い方」from 野菜さらだの『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(第26回)

※この蔵出しシリーズは、1996年~2002年までアメリカに留学していた野菜さらだが後半の1999年~約三年間、週2回発行していたメールマガジンの記事をそのままそっくりお送りするものです。今回は、毎日更新していきますので、お楽しみいただければ幸いです!

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  野菜さらだの
   『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(愛称アメすん)
        (1999/8/27発行) 第26号 (火・金曜発行+日曜版)
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 日曜版4号で「日本人としての誇り」について触れたメールをご紹介しました。今日は「日本人とどう付き合うか」、私なりの考えをお伝えします。

◆本日のテーマ「アメリカにいる、日本人との付き合い方」

 私もこちらに来て丸3年が経ち、渡米直後とはいろいろな点で考え方が変わってきました。その一つが「こちらに居る日本人とどう付き合うか」ということです。しかし一口に「アメリカにいる日本人」と言っても、実はいくつかのグループがあり、ようやく最近その輪郭がわかってきました。そこで、まず、私の知る範囲で存在する、日本人グループについて簡単にまとめてみました。

グループ1「短期語学留学組」
大学構内で一番よく見かける集団です。「日本人留学生」と一言で言っても、英語学校の学生と本学(学部および大学院)の学生は余り交流がありません。集団になって日本語でしゃべりながら歩いているのは、まずこの「短期語学留学組」です(夏学期は特にこの集団が多い!)。

グループ2「大学留学組」
これは本学に入学している学生のことです。一部は集団化しているようですが、一方で日本人の友だちは余りいないという一匹狼タイプの場合も多いようです(うちのダンナもその一人、大体彼は日本にも友だちは片手で数えられる位しかいませんが)。

グループ3「短期客員研究員組」
アメリカの大学にはこの「客員研究員」という肩書きで日本から大学の先生が来て(家族連れの場合多し)勉強、研究しているのですが、先生たちは先生たちで見事にまとまって、同じ地域に住んでいます。同じ大学に在籍する、日本人留学生とのつがなりはほとんどない様です。

グループ4「日本人妻集団」
これはアメリカ人の夫と結婚し渡米してまだ数年という、日本人の奥さんの集団です。そこでは自己紹介するとき最初に聞かれるのが、「旦那さん、何人?(なんにん?ではありません。なにじん?です)」という質問です。お互いに子どもを連れてきて日本語でおしゃべり大会をする、そういう集まりのようです。

グループ5「しっかり地元土着組」
これは、本当の意味でアメリカという国を第二の故郷として生活を営んでいる人たちです。こういう人は「滅多に日本人に会う機会がない、日本人の友だちがいない」と私に会った瞬間に言います。このグループの人とは、大学の外、スーパーなどでふとしたきっかけから話をして、知り合うことが多いです。(日本語で話しかけるとびっくりされます)

 私は最初は英語学校にもいましたし、後に学部、大学院と進んだので、この学生の中でのつながりのなさも体験できました。本学の学生の中には「英語学校の学生なんてね」そういう風に見る人も一部ですが、あるようです。実際、本学にいる学生は英語がかなりうまいので、一緒にされたくない、そういう気持ちもあるのかもしれません(英語学校出身の私はもちろん下手です)。

 渡米直後には私も日本人留学生にありがちな「なるべく日本人とは付き合わないようにしよう」という気持ちが正直なところありました。そして、日本人同士で固まっている集団を見て「あんな風になるのは嫌」と思っていました。

 しかししばらくして「外枠で人を判断しないように」と奇麗事を言っても、「日本人との付き合いを避ける」のは結局は外枠で判断していることに他ならない、つまり「日本人同士で固まる」のと裏表の関係だ、と気付いたのです。それ以降、気が合えば日本人であっても付き合うし、気が合わなければ付き合わない、という日本でやっていた当り前のルールに戻しました。ですから、上記のどのグループともそこそこに付き合い、その中で気の合う人がいれば個人的に会う、そんな風にしています。日本人だからと変に気張らず、自然に付き合うこと、これができるようになるまでに意外に時間がかかりました。                      (つづく)

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◆お断り:この『アメすん』は、かつてアメリカのオレゴンに住んでいた野菜さらだが個人的に体験した、おもしろい話を友だちや家族に話すようなつもりで書いたものです。アメリカの他の場所とは違う、というエピソードも中にはあるかと思いますが、まあ、気楽に読んで楽しんでください。
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#創作大賞2023


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