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TSMCに対する誤情報をバラ撒く勢力にご注意を!

熊本に誘致されたTSMCについて、誤情報をバラ撒く勢力がいます。

その勢力は自分達のバラ撒く話を裏付ける証拠が一つもないので、「政府が隠蔽」や「メディアで報道されない」などと言い、隠されてきた真実であるかのように騙り、自分たちに正義がある素振りを見せています。

ど素人の私ですが、これまで収集し蓄積した情報を元に、ものすごくわかりやすく端的にを目標に、ど素人でもわかるTSMCが熊本に誘致された理由をまとめました。

※もしも、ここ間違っているよ!という内容がありましたら、ソースを付けてご指摘いただけるとありがたいです。


TSMCが熊本に誘致されたのは…

ソニー用の工場を台湾に作る予定だったのを、熊本に誘致したんです。

2020年8月に、TSMCが台湾の南部科学工業園区(南科)にあるFab14工場ソニーのCMOSイメージセンサー専用の工場にすると報道されていました。

TSMCはFab14工場をソニーのCMOSイメージセンサーの専用工場にするようだ。先進パッケージング(封止)生産能力を拡充するほか、Fab14B工場に独立した共用部分や化学品などの材料供給システムを設置する計画とされる。

TSMC南科工場拡張へ、ソニーCMOS生産か 2020年8月13日
https://www.ys-consulting.com.tw/news/91543.html

TSMC取得の力特工場、ソニー向けか(2020年8月14日)


TSMCのFabを一覧で紹介されている服部先生の記事をご紹介しておきます。
台湾TSMC社のファブ23はどこにある?ファブ23フェーズ1とは何? - セミコンポータル
2023年12月12日 | 服部毅のエンジニア論点


ご近所にソニーさん

なんで熊本かって、熊本にはソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社があるんです。
ソニーの半導体製造工場ですね。
熊本は水資源が豊富なので、現在でもソニー以外にもたくさん半導体工場があります。


元々ソニーが取得した土地をJASM(TSMC熊本)に提供したわけです。
ソニーがTSMCに製造委託していたCMOSイメージセンサ用半導体を、台湾ではなく日本で、しかも自社工場のすぐそばで作ってもらえるわけです。

つまり、2020年8月の時点で台湾にSONY専用のFab(工場)を作ろうという動きがあったのですが、それを日本国内に作って貰おうという動きになったのですね。


TSMCはこれまで顧客と合弁で会社を作る事はしてこなかったので、私はソニーと合弁会社を作ると聞いたときはびっくりしました。
日本政府が莫大な補助をしてくれるという点が非常に大きいのだと思いますが、合弁会社を日本に設立したのは、政治情勢、世界情勢なども踏まえた判断なのかもしれませんね。

なんで最先端を誘致しないの?

最先端の半導体を作っても、残念ながら日本に顧客がいません。

現在JASMにはデンソーも加わっています。
車載用チップは安全性第一ですので、3ナノ、5ナノ、7ナノなどの最先端・先端の半導体ではなく、レガシーと言われる成熟した技術が必要です。
わざわざ誘致したのになぜ最先端半導体を作らせないんだ!!というのは、需要がないからだと思います。


レガシーだけど特別

また、レガシーと言っていますが、
JASMではCMOSイメージセンサとしては最先端となる28nmプロセスを活用できるTSMCの中でもスペシャルティーテクノロジーと呼ばれる特殊プロセスの半導体を製造する予定です。

ソニーが4800万画素イメージセンサをTSMCに製造委託の可能性、台湾メディア報道 2022/01/25

技術的な話でなかなか難しい内容ですが、TSMCの中でも特別な技術で製造されるのですね。


また、2024年1月18日に2023年第4四半期の決算説明会で魏哲家CEOや劉徳音会長からも語られています。

すでに建設が進んでいる日本の熊本工場については、28/22/16/12nm特殊プロセスが適用される予定

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240124-2868828/


そして、第二工場の建設計画もありますね。
現在は日本政府と協議を重ねている状態のようです。

Liu会長は、第2工場の建設については評価段階にあるものの、まだ発表できる段階にはないとしているほか、日本政府と協議を重ねている状態であると述べるに留めた。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240124-2868828/2


TSMC熊本(JASM)で作る半導体は、日本企業に優先されない?!

変な話をゴテゴテつけて、TSMCが中国の為に日本でチップを製造するかのような話をしていたり、日本企業の為に作ると約束していない!!と怒ってらっしゃる方がいるようですが、法的に縛れるものではないです。

でも、元々ソニー向けの半導体を作る為に誘致されたことを思い出してくださいね。
元から顧客(ソニー)がいるからこそ熊本に来たんですよ。
JASMはTSMCとソニーの合弁会社
から始まりました。
(後にデンソーが加わっています)

なんでそれが中国の為に半導体を作るなんて話になっているんでしょうね。
妄想が過ぎますね。


※ここから追記

2024年2月24日、JASMの開所式が行われましたね。

TSMC熊本工場で開所式 Morris Chang氏が「日本の半導体再興の始まり」と強調:投資総額は86億米ドル(1/2 ページ) - EE Times Japan


ソニー、デンソーに加えトヨタの出資も発表されています。
第2工場の計画も正式に発表され、両工場で40ナノ、22/28ナノ、12/16ナノ、6/7ナノプロセスの半導体を製造する予定だとわかりました。
第1工場の完成までのスムーズさ、日本人の勤勉さは、TSMCにとって台湾以外で製造する事を考えた際に、かなり魅力的なものなのかもしれません。


経済産業省の一次資料を確認しよう!

そろそろまともな思考回路がある人は、トンデモユーチューバーの話はことごとくウンコな情報であることを把握したと思いますが、
ここで経済産業省の特定半導体生産施設整備等計画の認定事業者とその内容を確認して見ましょう。

本当は自分で経産省のサイトのPDFを開いてほしいのですが、情報を取りに行くのが苦手な人の為に、今回は甘やかして画像を置いておきます。
(できる人は自分でリンク先から直接情報を確認してください!)

認定特定半導体生産施設整備等計画 (METI/経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html

ここに、JASMの第1工場と第2工場の情報が掲載されています。
第1工場は2022年6月17日、第2工場は第1工場の開所式のあった2024年2月24日に認定されたようですね。

JASM第1工場(2022年6月17日認定)

第1工場 1/3
第1工場 2/3
第1工場 3/3



JASM第2工場(2024年2月24日認定)

第2工場 1/4
第2工場 2/4
第2工場 3/4
第2工場 4 /4

※ここまで追記


TSMCを良く思わない勢力

TSMCが日本に来ることを良く思わない勢力の主張

ウンコな情報を垂れ流す人達は、TSMCが日本に来ることを良く思わない勢力であるのですが、その勢力は

・TSMCは台湾で環境汚染企業として有名!
・TSMCはPFAS垂れ流し!
・TSMCは中国企業!
・TSMCは中国ファーウェイの為に作られた!
・TSMCはSMIC(中国のファウンドリー)と兄弟企業!
・TSMCの創業者は中国人!共産党員!
・JASMに中国SMICから中国人2000人が来る!
・JASMは日本企業を優先しない!

などというあらぬ疑惑を大量に作っています。
とにかく、TSMCと中国共産党を繋げたい、繋がっている事にしたいようです。

でも事実は、
・TSMCは環境に配慮した運営を率先している
・TSMCはPFOA、PFOS含む長鎖PFASの使用を禁止済
・TSMCは台湾の護国神山と言われる程台湾企業
・TSMCは台湾の国策事業から生まれた
・TSMCはSMICを権利侵害等で訴え、勝っている
・TSMCの創業者は中国建国前に香港へ渡り、さらにアメリカへ渡った米国人
・JASMにSMICから中国人2000人とか妄想でしかない
・JASMのメイン顧客は、設立の流れからしてSONY

と、その勢力がバラ撒く情報は嘘ばっかりなんです。

Youtubeで発信しまくったり、現地熊本で水俣病を想起させる恐怖煽動情報の載ったデマビラやデマパンフレットを配っているようです。
しかも、台湾での環境汚染に関しての部分は、ある台湾と近しい方が集めて翻訳してまとめた内容を、無断で、さらになんと、その勢力の主張に都合のいいように環境汚染の原因がTSMCであるかのような内容に改竄して掲載しているとのことです。
さらに、無断使用の上、改竄した話を書籍にまで載せているようです。

ここまでお読みいただけた方には、「中国から2000人!」とか「台湾で汚染物質垂れ流し!」とか「日本の為に製造しない!」とか「日本の技術を盗んで中国に渡す!」などと恐怖煽動をしているユーチューバーが垂れ流す情報は、現実社会とはかけ離れた妄想で、それを鵜呑みにしている人達はただのウンコ情報をつかまされている…ということがおわかりいだけたでしょう。


中心人物が騙る「ひとつの中国」

ご紹介した誤情報を広める勢力の中心人物は、台湾は「ひとつの中国」で合意した!という中国側の見解もバラ撒いています。
私の見解では、台湾は「ひとつの中国」で合意などしていません

日本で、日本人に向けて、中国に都合のいい主張を台湾が主張しているかのような情報をバラ撒き、台湾を孤立化させ中国に飲み込ませようとする中国側の情報工作をしているように思えてしまいますね。

そんな、大量に作られたあらぬ疑惑に惑わされて恐怖に怯える前に、まともな情報を確認しましょう。

熊本の水や環境を心配する方へ

私は、TSMCは環境汚染なんて心配しなくていい!
手放しで歓迎しろ!文句をいう奴はおかしい!
・・・と言っているのではありません。
工場ができるのですから、熊本の水や環境を危惧する事は大切です。
ですが、事実に基づかない話を主張するのは間違っていると言っています。
TSMCが台湾で重金属などの化学物質に汚染された半導体洗浄後の水を、そのまま垂れ流しているなんていうバカの極みの恐怖煽動に惑わされないでください。

台湾は言語も違う外国で、何が本当かわからない。
半導体は自分達が使っている機械のほどんどに入っているが、どんな仕組みなのかまで調べる人はほぼいないでしょう。

そういった言語の壁知識の壁を利用して、ありもしない話や悪質なデマをバラ撒く勢力にはどうかお気を付けください。

また、稼働前のJASM工場から今問題になっているPFASが出ているかような煽動にもご注意を。
最近PFASが全国各地で検出されていますが、それは今まで検査されてこなかったからであり、ずっと前から汚染されていたんだと私は考えています。
また、TSMCはPFASについての研究も行っており、有害とされるものは使用禁止しています。

検証記事をご紹介

ここまで書いた情報は、以前に私が調べた情報などからかいつまんで端的にわかりやすくしたものです。
私が何を根拠に言っているのかは、以下の検証記事などをご確認ください。

・「ひとつの中国」について


・台湾とTSMCを大量の誤情報で中国共産党と繋げている件

・中心人物の起こした不可思議な行政訴訟

中心人物は、日本政府が雇ったスパイが「中国の発展を妨害した」として、中国の国策半導体関連企業と共同原告となって、日本国を訴える行政訴訟を起こしています。
この行政訴訟の件は都合が悪いのか、お得意のYouTubeなどで一切弁明していないようです。



・TSMCの使用する水関連でばら撒かれた誤情報について


・TSMCの電力消費について


・その他台湾や半導体産業関連のデマ



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