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湖南エリア民ノスタルジック

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宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りに行く」「成瀬は信じた道をいく」の2冊。

 この小説は、滋賀県大津市膳所ときめき坂エリア出身の成瀬あかりという一風変わった主人公が小学生から大学に進学するまでを周囲の同級生や大人、友人などの視点から描く作品である。この本の感想や口コミでは、「成瀬の生き方・価値観かっこいい!!」「こんな人がいてくれたらな〜」という声が多い。私もそう思った一人であり、胸が温かくなり、どこかハッとさせられるような成瀬に興味引かれる。
 しかし、私がこの本を今回紹介したいのは、それとは別である。私がこの本を紹介したいのは、「滋賀県湖南エリア民がノスタルジックを感じる」描写の多さに感動をしたからだ。随所随所に現れる、滋賀県民、特に湖南エリア(JR琵琶湖線大津駅〜野洲、草津線、京阪大津線ユーザーもしくはその近辺、周辺の学区)に関わりのある人々が故郷を懐かしめる描写が多い。
 そこで、今回は、私がこの小説を読んだ上で、懐かしくなった描写を紹介したい。

①漢検を受けに行った立命館大学の教室


 私と同じ世代の人々(現在18歳から25歳あたり)は、漢字検定(漢検)や英検(英語検定)を小学校に受けていた人が多いかもしれない。また、大学受験ではセンター試験(現:大学共通テスト)を、大学に進学するとTOEICや簿記検定を受けた人も多いのではないか。そして、私は毎度毎度資格試験となると、「BKC(立命館大学琵琶湖草津キャンパス)」が試験会場となる。滋賀県の中でも、一際巨大で、周りからは「要塞」や「城」と揶揄されていた当キャンパス。
 そして、著書では、成瀬の高校(どの高校に行ったかはここでは伏せておく)の同級生である大貫が、東京の大学(これもどこかは伏せる)にオープンキャンパスに行った際、その教室の大きさを、「漢検を受けに行った立命館大学の教室」と表現した。
 漢字が苦手だった少年であった私としては、苦い思い出ではありつつ、試験後に買ってもらえるアイスを楽しみにしていた嬉しさも踏まえたなんとも言えない思い出だ。

②「うみのこは滋賀県内の小学五年生が乗る学習船なんだ。琵琶湖の生き物や水質について学習して、カレーを食べる」


 これは、成瀬が広島からきた高校生とミシガンに乗りながら、うみのこについて紹介する場面。滋賀県民なら、小学五年生になると、2泊3日で「うみのこ」という船に乗り、別の1つの小学校と琵琶湖をぐるっと1周し、地域学習を行う。私は、大津から乗船し、長浜まで船で移動し、町歩き。そこから、2日間は船で成瀬がいう琵琶湖の生き物や水質について学習していた。
 正直、きつかった。「ご飯は10分以内に食え」「風呂はシャワーのみで、シャンプー・ボディーソープなしの1分間のみ」(数字の部分は朧げな記憶で間違っていたら申し訳ない)のように、まるで軍隊のような過酷さがあった。また、料理も酷評なものが多く、中でも夜ご飯に出てくる肉が噛み切れない具合に硬いのは有名だ。
 しかし、それでも世代を超えて語り継がれ、覚えていることがある。それは、「カレーがうまい」である。3日目の昼ご飯で、3日間の苦痛がもう終わるというときに出てくる「カレー(正式名称(おそらく):うみのこカレー)」。近江牛のカツがのっている少し甘口寄りの中辛で、これが非常にうまい。それを食べながら、各チームは大変厳しかった3日間の中でも、その学びと楽しかった思い出を振り返るのである。
 そして、成瀬がうみのこを紹介する際に、「カレーを食べる」といったところに私は懐かしさを感じ、2日目の夜にとても狭い船内で学校合同の綱引き大会をしたことをふと思い出した。

③フレンドマートでのバイトとお客様の声、かけっことびっこ

 成瀬は、大学に進学した後に、地元のフレンドマート(平和堂の食品・日用品売り場のみで構成されるスーパーのこと)でバイトをする。これだけでも、元アルプラザ草津平和堂デリカコーナーでアルバイトをしていたことに懐かしさを感じる。しかし、その随所に出てくる平和堂の要素がさらに懐かしさを彷彿とさせる。例えば、「お客様の声」は、平和堂の入り口あたりもしくは精算した商品を荷詰めするコーナーに設置されている。ここには、お客様の要望を書くことができるB6くらいの大きさの黄色い紙である。これを基に1章分が描かれている「やめたいクレーマー」には、感動を覚えた。

 また、両本にたびたび出てくる「かけっことびっこ」の音楽も滋賀県民なら95%が歌える曲ではないだろうか。平和堂のテーマソングであり、2022年には近江高校が甲子園の応援曲で演奏し、少し話題なった。また、同じ頃に滋賀県出身のシンガーソングライターである西川貴教歌唱Verの同曲が「24分(西川貴教の西から来ているらしい)」と「55分(Go!!Go!!から来ているらしい)」に平和堂全店に響き渡っていた。その頃、アルバイトをし、値引シールを揚げ物に貼りながら、今は55分かと思い、見たら24分でまだまだ働かないとなと思っていた自分を懐かしく思う。

④成瀬が住むマンションの近くのびっくりドンキー

 成瀬は、何度か成瀬家の近所にあるびっくりドンキーに行っている。実は、松本家も家族でよくそのびっくりドンキーに訪れていた。何か祝い事があった時、また滋賀県内で旅行をする際に何度か寄ったチェーン店の店舗が描写されることで、家族との思い出が頭によぎった。
 おそらくこのびっくりドンキーは、「びっくりドンキー大津店」で小さめのイオンタウンにある。ぜひ、滋賀の膳所エリアに来る際は、ちらっと寄って見てほしい。

⑤西武ライオンズのKURIYAMA

 ここからは、滋賀県民・湖南エリア民から離れ、私の思い出話に大きく偏ることをご了承していただきたい。最近、滋賀県からも甲子園で活躍した近江高校山田選手が所属する「西武ライオンズ」。実は、2011年4月と2012年4月に皇子山球場で、西武ライオンズの試合が行われた。特に、2011年の大会は、皇子山球場で初めて日本プロ野球の試合がなされた記念すべきものであった。

 その両試合に私は、父と観戦しに行った。この思い出は、実に父と明瞭に思い出せる父と私の男2人の思い出である。また、成瀬が幾度と着る「西武ライオンズ1番栗山のユニフォーム」にも思い入れがある。2011年の楽天ゴールデンイーグルスの試合の始まるおおよそ30分前ほどに、私は外野の席で試合を見ていた。すると、外野席に向けて選手らが1人3つずつくらいか球団のロゴ入りサインボールを投げてくれる。まだ、身長が140cmほどしかない私は大人しく座っていたが、父は群衆の中でサインボールを素手でキャッチしようとしていた。そして、ボールが飛んできて父がいる群衆のところへ落ちてきて、ワンバンした後父がキャッチしたのだ。
 そして、そのボールを私にくれたのだ。このボールは、まだ私の部屋にある。父は、今だったら「ええ値で売れるんちゃう??」と言っているが、私は父との初めての男と男の思い出の品として、また勉強机の左隅に置く。


父が獲得し、私にくれた西武ライオンズ栗山のサインボール

 以上のようにこの両本は、滋賀県民・湖南エリア民からすると、それぞれの思い出を想起してくれる本であった。また、この本を読んだ同県民・同エリア民と話して見たい。また、この本が滋賀県や大津・膳所のまちについて次世代に紡いでくれることを心から願う。

 そして、宮島さんが大津の膳所を題材にして小説を書いたのと同じように、私も将来滋賀県栗東市を題材に書きたい。

私であれば、

  • 小学校から高校生まで通い詰めた爆弾級に大きなおにぎりが破格根で買うことができた「田舎の元気や

  • 高校が受験や特別な理由で休みになった際に、湖南エリアの学生が一挙に集う「ラウンドワンスタジアム浜大津アーカス店

  • 父が店主の栗東のイタリアン家庭料理店(あえて名前は伏せる、気になる方はぜひ調べて見てほしい)

  • 私が通った小中高校

  • 登下校で歩いた通過交通が増えた「旧東海道」

  • 小学生が遊ぶ時の大の味方で、学校の正面に設置された「チェリオの自販機」

  • 栗東市伊勢落の夏祭りの小学生による伊勢落民のいらなくなったもので開催される「バザー」

この点は必須で題材にしたいと思う。

※今回の文章は、できるだけ成瀬あかり口調で書いて見ました。

【他のおすすめ!!】

①SEKAI NO OWARI「最高到達点」MV
TVアニメ「ONE PIECE」の主題歌。MVとして、成瀬が年に2、3会乗るというミシガンが起用される。内装や甲板、全体が映し出される。私も、小学校の学区の子どもたちとお楽しみ会と称し、出かけた際に乗った。年内中にまた乗りに行きたい、一緒に乗船してくれる人求む。

②セブンイレブンのうみのこカレー
 うみのこ就航40周年を記念してセブンイレブンが期間限定で発売したうみのこカレー。文章では、とても豪勢に書いたが、普通のカツカレーである。しかし、滋賀県民としては、小五の時に絶対食べ、大人になっても滋賀県民の県民の輪をつなぐ特別な存在である。

③菊竹清信による今はなき「西武百貨店大津店」
 改めて今となってみると、美しいメタボリズム時代の建築で美しい西武百貨店。もっと写真を撮っておけよと、高校生時代の私を咎めたくなる。成瀬も西武が閉店・解体されることを機に、「滋賀にショッピングモールを作る」という夢を描く。成瀬はショッピングモール、父はレストラン、私は何を作ろうか。菊竹氏の「代謝建築論」も最近拝読し、とても気に入っている。


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