「20円」で世界をつなぐ仕事

~安井コラム#56~

どうも。自己分析で、何にでも向いているし、何ににも向いていないことがわかった安井です。

突然ですが、20円で何が買えますか?

うまい棒2本買えるなと頭に浮かんだ人はいると思う。
本のタイトル(画像)をみて、本当に「20円」で世界をつなぐ仕事ができるのか?と、胡散臭そうと思った人はいないだろうか。

それが覆ります。そして全てが覆ります。

ではでは、最近読んだ「かなり濃い内容であったと感じた本」について紹介していきますね。

この本を通じて大事だと思ったことのサマリ。
・NPOで働く魅力は、想いを発信するだけでなく、人の気持ちやお金を動かす仕組みを作ること
・日本人は正しくNPOを理解していない
・NPO法人は、「想い」の実現のため、必ず『利益』を上げる必要である

TABLE FOR TWO(以下、TFT)というNPO法人は、『食の不均衡』の解消を行うNPOである。代表は、コンサルの会社で有名なマッキンゼー出身の戦略コンサルタントである。

食の不均衡と聞くと、飢餓で苦しんでいる人たちを支援しているのかなと思うだろうが、
「アフリカの飢餓を減らすためにアフリカの子供達の給食を提供する」ということだけをしていないことが、まずこの事業の面白いところである。

肥満や生活習慣に悩まされている先進国の問題も解決する

20円=アフリカの1食分の給食費であり、その20円の出所が、肥満や生活習慣に悩まされている先進国である。
どう20円を寄付金にしているかというと、
会社の食堂やコンビニなどのヘルシーメニューに20円分を上乗せしており、そのメニューが食べられるたびに、アフリカの子供の目の前に、美味しい給食が運ばれる。

ボランティアというと、裕福な方が貧しい方を支えるというイメージがあるが、
この仕組みだと、先進国(=裕福)の問題も解決でき、支援する人とされる人という区別がされない。

ボランティア=『人助けをする大それたもの』にしてしまうと、人が寄り難くなるが、
何か1つのアイディアで、『自分ごと』にすることで、多くの人を動かすことができる。

20円=うまい棒2本分のお金(落としてもまあいいかと思ってしまう額)という『どうすることもできない状態』から、
自分事にすることで、『アフリカの子供の目の前に美味しい料理が運ばれるお金』に変える仕組みを作ったことは素晴らしいと思った。誰だって、良いことをしたいから。

そしてこの本を読んでいて、NPO法人で働く楽しさや魅力は、
『想い』の発信だけに偏らず、継続的に支援できるように、しっかりと練られた仕組みを作りあげるところだと感じだ。

この本ではNPO法人について生々しく書かれている点も見どころの1つ。

NPOに対する日本の考え方はまあひどいと思った。
アメリカだと、普通の会社よりNPOで働く方が年収が高い場合がある。
日本ではNPOのことを正しく理解されておらず、夢物語のように思われている。
例えば、お金に余裕がある人が善義?で行うものとか、人生を捧げなければ社会事業はできないと思われており、その結果、これらのことが日本で起きている。
・ビジネスパートナーしてみられない(仕事がやりづらい)
・就職先として選ばれにくい(働き手不足)
・給料が低いのは当たり前、むしろ給料をもらうことを理解できないと思われる

この原因として、NPOという名前が影響しているのではないかと思っている。Wikipediaさんによると、

NPOとは、「Nonprofit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略で、広義では非営利団体のこと。狭義では、非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のこと。

非営利団体と聞くと、『利益を求めてはいけない』と思ってしまうかもしれないが、(←俺は思っていた)
普通の企業と同じように、利益を求めることができる。いや、必ず利益を出さなければならない。
それは、『想いを形にする』ためには、継続的なお金が必要だからだ。そのために、前述の『仕組み』が最も大事になってくるし、より多くのお金を集めるマーケティング等も重要である。
普通の企業とNPOが、なんら変わりないということがわかってもらえたと思う。
普通の企業は、生み出した利益を「株主」に還元するが、NPOは、生み出した利益を「自分たちの活動(事業)」に還元する。
要は、活動を大きくするために給料を上げることもできたりする。

よく巷で、NPOやNGOの給料は生きていく分しかなく、自分の時間も犠牲にするなどと聞くが、
この本を読んだうえでビジネスマンとして意見を言うと、その現状は『利益を出す仕組み作り』に甘さが生じたものではないかと推測できる。

これらの背景を踏まえると、NPOで働くには下記2点が絶対に必要であると感じた。
①一般的なビジネススキル
②くじけないメンタル

何ら普通の企業と変わりがなく、他の企業と提携したり、交渉したりするなど、ビジネスマンとしてのやりとりが発生するため、コミュニケーション力を含む一般的なビジネススキルが必要になる。
NPOは想いだけに注目されがちだが、『継続的な利益を出す』ということが念頭にあると、①は必須のものであるとわかるだろう。
そして②の『くじけないメンタル』。これは日本に限った話かもしれないが、
いくら良いことをしていても、働き難さを感じたり、努力が報われないことがあるかもしれない。
普通の企業で働くよりも何倍も、『想いを必ず実現する』というメンタルの強さがないと、潰れてしまうと思った。

ざっと、この本の紹介と、それについて感じたことをつらつらと書いたわけだが、NPOに関して、以下2点であり、NPOに対して以前よりは正確な情報をキャッチできたのではないだろうか。
NPOで働く大変さ・楽しさは人の気持ちが集まる仕組みを作ること

・利益を出す必要がある

個人的には、NPO法人で自分が働いたらどうなるか(何が得られるか、何で活躍できるか)を考えることができ、今後の進路に役立てることができそうだと思った。

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