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「告る(コクる)」とかいう言葉を久々に耳にしてはしゃいだ23卒。

都民歴23年目、都民歴5年目の大学時代の友人たちとともに、都民歴1年目の私が久方ぶりにお祭りに足を運んだ。
向かった先は北沢八幡宮。私は東京のお祭りは初めてで、こんなにも人が溢れるのかと驚いた。しかしそれもそうだろう。パンデミックの影響で祭り自体3年ぶりだったのだから。

子連れの家族から中高生まで多くの人で溢れていたが、とりわけ我々の目をひいたのは中学生の集団だ。
境内に腰をかけて、焼きそばとたこやき、そして酒を手に、彼らの様子を長らく眺めていた。

男女それぞれで集団を形成し、互いに離れず、しかし積極的に交わろうとはせず、かすかに視線を交わすだけ。
女子はみんなで男子の集団をちらちらと見ながら秘密めかして話し、やんちゃな男子は目立とうと大声ではしゃぐ。

「あっちに○○たちもいたよ!!」——「……。へー、そうなんだ」

「私告ったら100%いけるんだって」

「さっき会ったけど呼んでこようか?」

「(イヤホンを外さず無言で横揺れする)」

これからの時代を担う多種多様な者たちに、今風に言うところのエモさを感じた。
田舎も都会もやるこた同じ。
都民歴が浅い2人にとってはなんだか嬉しかった(笑)。
そうそうこれこれ、中学生とは本当に香ばしいんだ。

「勇気出してコクれ!!」
中々交わろうとしない男女の集団を眺めて、今だけはこの言葉を使ってもなんとなくゆるされそうな気がして何度も口にしていた。

勇気出してコクる。

もどかしさを感じつつも、なんだか私も勇気をもらった気がした。

微笑ましい彼らの様子を眺めながら、もうほとんど殻になった酒を仰いだ。

帰り際には参拝を。
この子たちとって貴重な時間が、これ以上奪われませんようにと神様に祈った。

涼しかったこの晩は、風に揺らぐ真っ赤な提灯がやけに美しく見えた。

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