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マックの物語(8)

ひー子の涙は解決。
読書を終えたひー子はいつもの彼女に戻っていた。

「さよ~なら~」僕の肩をたたき、
マックにも手を振り「さようなら」と声をかける。
マックの優しさがひー子にも伝わったのかな?

声をかけられたマックは・・・
直立不動、直角に深々とおじぎ、
「ど・・・どうも・・・」
おい、おい名門の野球部じゃないんだからさ、

でも、そういうマックが

僕は嫌いじゃない。

さて、マックの読書だが
3週目の彼は明らかに成長していた。

自ら本を選び、自分で準備をして
お気に入りの奥から2番目の席に座り。
約1時間で2冊目の本を読みきっていた。

この読書教室で
自分で自分の本を選ぶというのは
実はかなり重要で、

半分弱の生徒は人に薦めて
もらえないと
本が選択できないのだ。

マックの読書記録
4月15日(日)
本の名前:「たけしくんハイ」
著者:ビートたけし
倍速:2.0→2.5
感想:たんぺんがいくつかありよみやすかった

漢字と句読点が1つもない
感想文。だけど、この1行を書くのに
マックは20分をかけていた。

頑張ったな!マック。胸がつまる。

「おい、この感想いいよ。
つまり読みやすいからみんなにも
お薦めできるっていうことだろ!!
いいじゃん、よく書けてるよ」
誉めすぎか?いや、マックにとってはすごいことだ。

「ええ、まあ・・・何となくそんな感じで・・・」
よく分からない返事、調子に乗る一歩手前。
このへんで止めておかないと、また、
天まで昇っていきそうなので話を終えた。

2.0倍速の壁を越えマックは今日の読書の大半を
2.5倍で読みきっていた。この3週間でマックは
少しずつ変わってきている。

読書というのは読みきることで
達成感というか小さな成功体験となる。

倍速が上がってゆくのも
悪い気はしない。

しかし

マックを変えたのは読書だけではないような気がする、
美士、ひー子、そして変な大人たちとの出会い。
そういうものが影響しているんだと思う。

この変化に安堵しながらも
僕はゴールデンウィークのことを心配していた。

不登校気味の子どもたちは
長い休みで元に戻ってしまうことがある。

今年のゴールデンウィークは長い・・・
マックにとっては長すぎる。

しかし、確実にゴールデンウィークは近づいている。
頑張れマック!!

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