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【中日ドラゴンズ】我慢の名将・立浪監督 ~2023年は氷河期脱出への1年~

2011年、落合博満監督がリーグ優勝に導いて以来、優勝から遠ざかってるドラゴンズ。2013年、2001年以来となるBクラスに転落すると、ここから厳しい氷河期がやって来ました。

谷繁元信監督、森繁和監督、与田剛監督が再建を任されましたが、理想とする結果は生まれず。毎年、寂しい秋を迎えていました。

この間、シーズン終盤に若手を積極的に起用し、来季に繋げるという方針を毎年のようにとってきたドラゴンズ。うっすらとチームの骨格が見えてきたかと思えば、監督交代。その度に新戦力が台頭しましたが、結果はいつもBクラス。氷河期から抜け出すことはできませんでした。

2022年、ミスタードラゴンズ・立浪和義氏が待望の監督に就任し、例年以上に大きな期待を集めたシーズン。しかし、監督初年度ということもあってか、66勝75敗2分の最下位に沈む厳しいスタートとなりました。

立浪監督2年目の2023年シーズン。開幕前から岡田俊哉投手、新人の田中幹也選手が長期離脱すると、「8回の男」を務める予定だったロドリゲス投手が亡命。開幕後も大野雄大投手、木下拓哉捕手が長期離脱し、立浪監督の構想が崩れたことは明らかでした。

SNSでは、試合に負ける度に立浪監督への批判が集まり、中には采配に疑問を呈する投稿も多く見受けられました。

6月25日現在、4位・巨人と8ゲーム差の5位。安定のBクラスに定着し、今季もAクラス入りが厳しい状況となっています。

いつまで氷河期が続くのか。立浪監督も他の監督と同様、志半ばで退任してしまうのか。いや、立浪監督は「我慢の名将」。この先、明るい未来がやって来る可能性が高いと考えています。

若手主体のチーム

交流戦明け最初のカードとなったヤクルト戦(バンテリン)。ドラゴンズは2勝1敗と勝ち越し、絶好の再スタートを切りました。

3連戦のスタメン(投手除く)で、30代の選手はわずか2人。37歳の大島洋平選手と34歳のビシエド選手だけでした。今カードでは3戦ともスタメン出場しましたが、大島選手は休養日、ビシエド選手は2度の2軍落ちを経験。ここ数年間、絶対的レギュラーの地位を掴んでいた2人ですが、今季は違った立場で戦っています。

スタメンの平均年齢は25.8歳。25日のスタメンで比較すると、対戦相手のヤクルトの平均年齢は27.9歳。ドラゴンズの方が2.1歳も若いことが分かります。

同じ25日のセ・リーグの試合で、スタメンの平均年齢が若かったのは阪神の26歳。僅かな差ですが、ドラゴンズがセ・リーグで最も平均年齢が若いスタメンを組んでいました。

阪神はこの日、20歳の前川右京選手、22歳の小幡竜平選手をスタメンで起用。29歳の木浪聖也選手、28歳のノイジー選手がスタメン復帰すると、平均年齢は上がります。

一方、ドラゴンズは村松開人選手がスタメン復帰したとしても22歳。若手主体のチームであることは間違いありません。

明確な方向性

昨年の同日のスタメンと比較すると、今年のスタメンは2.5歳も若返っています。郡司裕也選手、A・マルティネス選手、阿部寿樹選手らドラゴンズを去った選手が名を連ね、1年で大きくチームが変わったことを象徴しています。

2022年オフには、トレードで涌井秀章投手、砂田毅樹投手を獲得。両者とも実績は十分で、即戦力として期待できる投手。立浪監督2年目のシーズンは、本気で優勝を狙いに行くのだと身震いしました。

ただ、シーズン開幕直後から助っ人外国人のアキーノ選手、カリステ選手、アルモンテ選手が揃って不調。またもや立浪監督の構想が崩れる中、早くも若手育成に舵を切りました。

現役ドラフトで加入した細川成也選手、石川昂弥選手、龍空選手らを中心に若手を我慢強く起用。打てない、守備・走塁でミスが出る。かつての黄金期からはほど遠い野球ですが、粗いなりに光り輝く原石達がグラウンドで試行錯誤する日々が始まりました。

通常であれば、実績のある選手に頼りたくなるところ。内野では堂上直倫選手、外野では加藤翔平選手、後藤駿太選手、捕手では大野奨太捕手がその役割を担える力を持っていると考えていました。

しかし、立浪監督はブレることなく若手を我慢強く起用。方向性がしっかり定まっているからこそ、チームの土台が確かに出来上がり始め、チームの将来像が見える状況にまで前進させました。

黄金期への第1歩

プロ野球という舞台にいる限り、勝ち負けから逃れることはできません。非現実的、不可解と思える采配でも、勝利に繋がれば神采配だと評価されます。

逆に、スタメン発表の段階で称賛を集めても、試合に負ければ批判の嵐が巻き起こります。結果が全ての世界で、目先の勝利に取り憑きすぎることなく、我慢強く若手を起用する立浪監督の姿勢はもっと評価されていいはずです。

長年低迷を続けるドラゴンズは、長い目で若手を育成し、確固たる土台を作る必要があります。この土台が、黄金期を作る最初の一歩となるからです。

立浪監督の我慢が実を結ぶ保障はどこにもありませんが、明るい未来が来る可能性は高くなります。「我慢の名将」として、メディアやファンから称賛されても良いのではないでしょうか。



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