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國立臺灣師範大學臺灣語文學系

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マガジン

  • 台湾大学院での学び

    台湾師範大学にて台湾文化を学んでいます。その学びを少しずつ

最近の記事

Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか、植民地文学を通して考える

M1春期セメスターも、はや終わりが見えてきました。今期とった授業は2個のみでしたが、語学学校の授業も入れていたので、ぼちぼち忙しめでした。 春期セメスターの前半では「Taiwan studyがどのように自国の問題に接続できるか」について、ナショナル・アイデンティティの観点から考えました。 かつての台湾と日本。宗主国と従属国という構造への問題提起は、現代における自国のさまざまなマイノリティ・グループや構造と力が持つ問題点に接続することができると考えています。 呉濁流「アジ

    • 台湾文化を学ぶこと。大学院前期を終えての所感と二二八事件

      台湾での大学院、一年前期が終わり後期が始まりました。 前期は4つも授業を取ってしまい、一つ一つの主題を深めることがちゃんとできなかったと反省。今期は2つに絞って、授業ごとの主題についてじっくり考えていけたらと思います。 後期にとった授業のうちの一つは「カルチュアル・アイデンティティとナショナリズム」ということで、この半期で感じたこと、さらに第一回目の講義の主題、「台湾における集団記憶」について、初回から面白い内容だったので書き留めておきます。時期もあり、主に二二八事件につ

      • PERFECT DAYS 東京の<いま>物語

        ヴィム・ウェンダースの最新作「PERFECT DAYS」は、東京を舞台とし、TTT(THE TOKYO TOILET)プロジェクトの一環として制作されている。都内を歩いていると突如現れる、あのオシャレなトイレです。 役所広司さんが演じるのは、東京の公共トイレを掃除する清掃員の平山。淡々と繰り返される彼のルーティーンは、質素かつ文化的な理想の下町生活であり、一種のファンタジーのようでもある。 本作では、さまざまなものが、新旧の対比として描かれている。その中で重要な装置となる

        • フードスタディーズの視点で見る、日本人の母性

          今回は台湾飲食文化の授業で触れた、フードスタディーズ、さらにフードスタディーズ観点で見る日本人の母性やイデオロギーについて考えたので、書き留めておこうと思います。 フードスタディーズ Food studies とはフードスタディーズは、簡単に言うと食文化という軸でさまざまな分野からアプローチしていく学術分野です。栄養学や農業のような分野とは異なり、食文化を通してジェンダーや人種、社会問題などに踏み込んで行くような人文・社会学系の毛色が強い学問です。 フードスタディーズ文脈

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        • 台湾大学院での学び
          5本

        記事

          辛奇と大島渚の描く「性」 

          この半年、大学院での授業を通して台湾語映画を数本鑑賞しました。そしたら、大島渚「青春残酷物語」と、「愛ってなんや」という主題に行きついてしまったので、振り返りも兼ねて、台湾語映画と日本映画の邂逅、映画の感想、そして辛奇と大島渚の両者が描く「性」についてnoteに書き残しておこうかなと思います。 台湾語映画の定義Taiwan Film and Audiovisual Institute(国立映画視聴文化センター)によると、台湾語映画の定義は、1955年から1981年までに台湾

          辛奇と大島渚の描く「性」 

          吳明益『自転車泥棒』 世界文学としての台湾文学と人新世[アントロポセン]

          大学院の特別講義で、台湾におけるネイチャーライティングの講義があり、その予習として吳明益『自転車泥棒』を読みました。その読書感想文と、講義で感じたことなどをメモしておきます。 感想文台湾でかつて製造されていた幸福自転車。台湾の複雑な時代背景の中で、自転車をはじめあらゆるの物質や動物が、さまざまな角度で対比され、ストーリーに組み込まれています。 台湾文学の中で切り離せないのが日本統治時代(植民地時代)や戦争の描写。物語の軸となる自転車は、銀輪部隊における兵器として。東南アジ

          吳明益『自転車泥棒』 世界文学としての台湾文学と人新世[アントロポセン]

          シューマッハカレッジにて

          7月の一週間、イギリスはトットネスのシューマッハカレッジにて、夏のショートコースに参加してきました。 シューマッハカレッジとは シューマッハの小さな校舎、食べるご飯、Totnesの自然、参加者と過ごした時間、すべてが素晴らしく、なんだか夢の中にいたような、きっと一生忘れないだろう素晴らしい一週間になりました。 ーーーーー 人が集まるところに、自然に歌が生まれる。談話室で、みんなでHeal the Worldを歌ったことが忘れられない。 拙い英語で気持ちや考えをシェア

          シューマッハカレッジにて

          羅東の茶園で茶摘みの旅

          台湾は宜蘭縣羅東にある、正福製茶さんを訪ねました。 正福製茶さんは宜蘭縣にある有機農法の茶園さんです。オーナーの正福さんは4代目で、Uターンで家業を継ぎ、有機農法でのお茶作りを始めたそう。茶園オフィスの壁は勲章で覆われていて圧巻。 まずは正福さんが茶園について丁寧に説明してくれました。茶樹ごとに形と味が異なることを知り、新芽をかじってそれぞれの味のテイスティングを楽しみました。 今回私たちが摘んだのは、この13號の茶樹。ちょっと赤み掛かっているのが特徴です。一芯二葉でど

          羅東の茶園で茶摘みの旅

          ルカイ族の集落 神山と霧台部落へ

          台湾に住んで3ヶ月。南で滞在できるタイミングがあったので、原住民の部落にお邪魔しました。 高雄から鉄道とバスを乗り継いで約二時間。中央山脈のかなり深い所に位置する神山部落に一泊の滞在です。 愛玉子の種から作られた台湾デザートのオーギョーチ。ここにも粟が入ってます。 台湾のいくつかの部族は、粟の収穫祭(小米祭)があり、粟は大事な主食の一つだそう。部落には粟を発酵させた伝統のにごり酒や、パン工房などもあり、発酵文化が深く根付いている事が分かりました。 こちらのパン工房は、

          ルカイ族の集落 神山と霧台部落へ

          シンガポールから帰りました

          夫の仕事の都合で2019年12月〜2021年12月までの丸2年、常夏シンガポールで暮らしました。コロナ禍真っ只中をシンガポールで過ごしたため、本来の南国リゾートパリピ暮らしを存分に味わえなかったけど、これからシンガポールへ行く人・もしまたシンガポールに住むならやりたいことリストを、この2年の生活の総まとめとして記録しておこうと思います。 1. ホーカー飯 シンガポールといえば、ホーカー飯!2020年にユネスコ無形文化遺産にも登録された、シンガポール文化の顔!シンガポールとい

          シンガポールから帰りました

          Weのがっこう Program03 わたしと人工物・モノ

          3回目のモジュール、「わたしと人工物・モノ」に参加しました。 今回は、アイヌのアミニズムな世界観と、わたしたちとモノとのウェルビーイングについて考えました。 私たちの生きる現代の環境はモノ・人工物で溢れています。 人間が生み出した人工物の総量が約1兆1,000億トンに達し、地球上の生物の量を上回ったとみられるという研究結果が、このほど発表された。このままのペースでは、20年後には人工物量が生物量の3倍近くに達するとみられる。いったいなぜ、こんなことになったのか。鍵を握る

          Weのがっこう Program03 わたしと人工物・モノ

          Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの

          今、Weのがっこうというプログラムに参加しています。 Weのがっこうとは、Deep Care Labさんが運営されているプログラムで、「気候危機の時代、"わたしたち"の射程をひろげ、わたしのあり方に向き合う場」として、さまざまなワークショップや対話を通して、わたしたちのウェルビーイングを探究するオンラインのラーニング・プログラムです。 2019年にパンデミックが起こり、生活が変わる中で、私自身もよりWell-beingな生き方や、後の世代のことを思った生き方をしたいと考え

          Weのがっこう Program02 わたしと自然・生きもの