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KING CRIMSON @Bunkamuraオーチャードホール 2021/12/08

結成当時のロゴ

キングクリムゾンを観てきました。原型をとどめたまま現存する唯一のプログレ四天王(YESも活動中ではあるけれどすでに別バンド感が、、、)。何気に初体験。ふだんはプログレのライブってチケット代が高くて躊躇してきたんですが、今年は他にライブもないしそろそろプログレライブを嗜むようになってもいいかな、と。チケット代2万円なり。単独公演なのにラウドパークより高いけれど、結論としては行って良かった。このコロナ禍の中、来日して公演してくれたことも感動的です。

今回の来日メンバーは下記の通り。

Robert Fripp – guitar, keyboards, mellotron, electronics (1968–1974, 1981–1984, 1994–2003, 2008–2009, 2013–present)
Mel Collins – saxophones, flute, bass flute, mellotron, backing vocals (1970–1972, 2013–present)
Tony Levin – bass, Chapman stick, synthesisers, backing vocals (1981–1984, 1994–1998, 2003, 2008–2009, 2013–present)
Pat Mastelotto – drums, percussion, programming (1994–2003, 2008–2009, 2013–present)
Gavin Harrison – drums, percussion (2008–2009, 2013–present)
Jakko Jakszyk – lead vocals, guitar, flute, keyboards (2013–present)
Jeremy Stacey – drums, keyboards (2016–present)

ロバートフリップ75歳、メルコリンズ74歳、トニーレヴィン75歳、パットマステロット66歳、ギャビンハリソン58歳、ジャッコジャクジク63歳、ジェレミーステイシー58歳、平均年齢67歳のご一行。英国(一部米国)紳士の集団ですね。

キングクリムゾンは基本的に「過去を振り返らないバンド」であり、過去曲をあまり積極的に演奏してきませんでしたが、本ツアーはかなり過去曲が多め。何かのインタビューで「過去曲をなぜ解禁したのですか」と問われて「終わらせるには過去を振り返らなければ」みたいな回答をロバートフリップがしていました。年齢のこともあり、続けられる限りは続くのでしょうが、現実的に終わりが近づいているキングクリムゾン。キャリアを総括、というか、特に初期を振り返るようなセットリストです。今回のツアーグッズに使われているKing Crimsonのロゴも冒頭の「デビュー当時のロゴ」でしたし、「初期に回帰」するという意識が強いツアーなのは確か。

今日のセットリストを見てみましょう。

・第1部
Hell Hounds of Krim(2014年 ライブアルバムが初出? スタジオアルバム未収録)
The ConstruKction of Light(1995年 同名アルバムより)
Red(1974年 同名アルバムより)
The Court of the Crimson King(1969年 同名アルバムより)
Radical Action II(2016年 同名ライブアルバムが初出? スタジオアルバム未収録)
Level Five(2001年 同名ライブアルバムが初出? スタジオアルバム未収録)
Islands(1971年 同名アルバムより)
Neurotica(1982年 「Beat」より)
21st Century Schizoid Man(1969年 「クリムゾンキングの宮殿」より)

・第2部
Drumzilla(ドラムソロの名前 スタジオアルバム未収録)
Epitaph(1969年 「クリムゾンキングの宮殿」より)
One More Red Nightmare(1974年 「Red」より)
Tony's Cadenza(ベースソロ)
Peace: An End(1970年 「ポセイドンの目覚め」より)
Pictures of a City(1970年 「ポセイドンの目覚め」より)
Indiscipline(1981年 「Discipline」より)
—-encore—-
Larks' Tongues in Aspic, Part Two(1973年 「太陽と戦慄」より)
Starless(1974年 「Red」より)

全18曲、うちピートシンフィールドとの共作時代(「クリムゾンキングの宮殿」~「アイランズ」)から6曲。ボーカルで言えばグレッグレイク時代が主ですね(今回やった曲ではアイランズ、だけ別のボーカル)。その後、ジョンウェットンがボーカル時代(1972-1974)の曲が4曲。エイドリアンブリュー時代(1981–1984, 1994–2003, 2008–2009)の曲が3曲。あとはライブアルバムで発表されてきた、ソロやジャムを中心としたインスト曲が5曲ですね。こうしてみると1969-1974の初期5年間の曲だけで10曲やっているので、非常に懐古的です。逆に、エイドリアンブリュー期の曲はほぼ演奏されず。個人的には一番聞いたキングクリムゾンのアルバムが「Vroom Vroom」と「Thrak」なので寂しさもありますが、まぁ「クリムゾンキングの宮殿」「ポセイドンの目覚め」「レッド」あたりはプログレの教科書的なアルバムなので、ここからの曲はなんだかんだテンションが上がります。

ライブは開演予定が18:30で、ほぼほぼオンスケの18:40ごろスタート。第一部が約1時間で、20分ほどの休憩を挟んで第二部へ。第二部~アンコールが終了したのは21時すぎだったので、約2時間のライブでした。いろいろなライブレポが上がると思うので、あまりほかの人が書かないであろうライブの感想をいくつか書いておきます。

・開演前、「撮影、録音禁止」の看板があり、アナウンスも何度も何度も流れる。開演前はアンビエントっぽいギターサウンドがリフレインしていたのだがその上で何度も何度もアナウンスが流れると妙な緊迫感が出てきて面白かった。「撮影や録音したら退場してもらうし、場合によっては公演を中断するけど払い戻ししないからね」みたいな、結構長い上に強面な内容を計4回ぐらい読み上げた気がする。客席も心なしか緊張気味。

・みんな演奏うまいけれど、やはりめちゃくちゃ高難易度だけあって多少のミスというか、ハラハラする場面も出てくる。大道芸、というとたとえが適切か分からないが、サーカスの曲芸的な、「人間の限界に挑戦」的な感じ。達人であっても自分の限界に挑戦している感じがしてハラハラした。これはライブの醍醐味。

・ドラマー3人いたけれど、一番若いギャビン・ハリソンがリードドラマーというか一番メインな感じ。もともとポーキュパインツリーの人なんだな。一言でいうとRushのニールパートに似ている。「21世紀の精神異常者」の途中でドラムソロがあったのだが、まんまニールパートのドラムソロだった。ニールパートのドラムソロを映像でしか見たことはないので、ニールパートを生で観た気分になれてお得感。

・パットマステロットは意外とお茶目な感じがして面白かった。スティックをドラマー3人で投げるシーンがあったが、一人だけ手を滑らせたのか客席にスティックが飛んでしまってちょっと焦ったり。ドラマーの中でのパワーとかテクニックだとギャビンハリソンがメインな感じだったけど、ステージ上のパフォーマーとしてはパットマステロットは存在感があった。

ロバートフリップはリズムギタリストなんだなぁ、と再確認。そもそもほとんどソロを弾かない、ということもあるが、右手(ピックを弾く手)の動きがかなり大きい。最近の速弾きする人たちとかはかなり右手の動きを抑える印象があるけれど(もう一人のギタリスト、ジャッコはあまり動かさないタイプ)ロバートフリップはけっこう大きくピッキングする。もともとリズムギタリストなんだなぁと再確認。あと、この大きな手の動きが独特のサウンドに繋がっているのだろう。

・アンコールの時、観客席から手拍子が起こったのだがかなりBPM早めで最後まで崩れなかった。大体、アンコールの拍手って早くなっていって一度崩れてまた遅いところから始まってだんだん早くなって。。。みたいな波を繰り返すのだが、一定のリズムでずっと高速。さすがキングクリムゾンのファンは訓練されていると感心した。

・最後、客電が上がった後は席を指定されて規制退場。出口が込み合わないように、順番で呼ばれるわけだけれど、今回は発売日の朝10時にスタンバイして張り切って席を取ったおかげでかなり前の席。なので、呼ばれるのが一番最後。すると、まだ客席に残っているのにどんどん撤収作業が始まった。安全帽をかぶったスタッフが20人ぐらい出てきてみるみる撤収していく。緞帳もあいて、オーチャードホールの舞台もむき出しになる。舞台右手に中2階みたいなところがあって、そこに音響のブースがあることを発見。そうか、客席にない分ここにあったのね。なかなか撤収の現場は見れなかったので貴重。

とりあえず今日はこの辺りで。やはりライブは気持ち良いですね。またアーティストが自由に来日できる日が待ち遠しい。今回は様々なタイミングが合った奇跡のような公演でした。参加できた幸運に感謝。

それでは良いミュージックライフを。

終演後、記念撮影タイム。みんな一斉に写真を撮るのは何かの儀式的。
フリップ翁が最後一人でステージフロントで観客と自撮り。レアなシーン。写真は後で御大がツイート。
警告はアナウンスに加えて立て看板も設置。開演までステージに立っていました。
規制退場待ちの間、テキパキ撤収作業が進む。左奥(部隊右袖)中空に音響ブースが。
今回のTシャツのデザイン、初期ロゴを使用。
音楽は僕たちの友達。ありがとう。

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