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「確率思考の戦略論」を読む 第7章 消費者データの危険性

マーケティングのベスト書籍の一つとされる「確率思考の戦略論」を再読しながら気づきをまとめています。
今回は第7章 消費者データの危険性です。

商品のプレファレンス(相対的好意度)は、”市場構造を決定づけるDNA”(第1章)です。

消費者データを読み解くことで、「なぜ、そのプレファレンスになっているのか」「どこに改善の余地があるのか」を知ることができます。

消費者データとは、市場調査によって得られた量的データのことを指します。

ただし、この消費者データには多くのバイアスを含んでいるので読み解く際には注意が必要です。

消費者データを見る際に気をつける点は主に以下の3つあります。

1 代表性があるのか
  (正しくサンプルを抽出できているのか)
2 代表性があっても統計的な誤差が必ずあることを理解する
3 同じ質問でも聞き方、状況によって答えが変わる

3番目の要因がバイアスです。

なぜ、バイアスが生じるのか?

「現実」と「認識」の世界には必ずギャップがあるからです。

現実の世界を知るためには、一度、現実を記号に翻訳しなくては、私たちの「認識の世界」では読み解くことができません。現実を記号化に変換する際に、ズレが生じやすくなってしまうのです。

ズレが生じやすいものが、購入意向や購入回数。逆にズレが生じにくいものは、好き、嫌いの相対的な順位づけはズレがおきにくいとされています。

ただし、相対的な評価においても、以下の場合には注意が必要です。
1 値段による影響
2 選択肢が同等でない
3 票割れがおきている

結論として、バイアスは生じるものであることを認識して、その上で調査の段階でいかにそれらを排除しながら検討するかが重要です。

重要なことは、一つのデータをある角度から見ただけで事実として捉えないことです。

本書では、「昆虫の複眼のように現実を診る」と表現しています。多様性と独立性を持った異なる視点で、できるだけ多くの視座から現実を見なくてはなりません。

消費者データのリスクだけではなく、本章では「Wisdom of Crowds(群衆の知恵)」という面白い現象を説明しています。

答えを知らない群衆の答えを集計すると、限りなく正解に近いところに辿り着くというものです。

そのためには、やはり多様性と独立性を持って集められたデータを見る必要があります。

まとめ

「消費者データには多くのバイアスが潜んでいるから鵜呑みにすると火傷するよ。だから、集める前の段階からいかにバイアスを排除するかをよく吟味して、集まったデータもいかに多面的な視点で分析するかが重要ですよ。」

わかっているようで、消費者データを信じて失敗した例って大企業でも結構あります。簡単には信じずにあの手この手で見方を変えて分析するしかないですよね。

最後までお読みいただき有難うございます。

  

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