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果報は寝て待て スリーパー効果-行動経済学の理解と実践58

スリーパー効果とは?

スリーパー効果とは、信頼度の低い情報源からの情報であっても時間の経過ともに情報の内容だけが記憶に残り信頼性が向上することをいいます。また、逆に信頼度の高い情報源の情報に対しては、最初は高い信頼を抱きますが、時間が経過すると情報源の記憶が薄れて情報への信頼性も薄れてしまいます。

スリーパー効果は、20世紀で最も影響力のある心理学者の一人であるといわれるイェール大学のカール・ホブランド氏とワルター・ワイス氏によって提唱された理論です。人を説得する上でどのような方法がもっとも効果的を検証したものです。

スリーパーの言葉の意味は、敵国で一般人として潜む工作員のことをスリーパー(眠っている人)というところから来ているそうです。

たとえば、ある企業の役員のスキャンダル情報が夕刊スポーツ紙などで掲載されたとします。その時は信用しなくても時間が経過すると情報源の記憶は薄れていってスキャンダラスな情報だけが記憶に留まります。時を経てSNSなどで同じ情報を目にすると「やっぱり!」と信用してしまう、ということもスリーパー効果によるものと言えるでしょう。

接する機会が増えるにしたがって好感度や評価が上がる単純接触効果との関連性が強いですね。

つまり、情報発信の直後では情報源の信頼度が重視され、時間が経過するにしたがって内容だけの記憶が残るのがスリーパー効果です。

マーケティングへの応用は?

スリーパー効果は、SNSマーケティングやメールマーケティングに幅広く活用されています。営業トークも顧客からはすぐには信用されなくても、とりあえず聞いてもらって記憶の片隅に置いてもらうだけでも後々に効果が出てくる可能性があります。

SNSや自社からのメールやWEBでの情報発信は定期的に忘れられないように(かつ、しつこくならないように)行い、記憶に定着させることが重要です。そして、顧客の記憶に残った段階で信頼度の高い情報源を活用することが有効だといえます。

スリーパー効果をうまく活用している商品としては健康食品分野があります。WEBやSNS、DM等で知名度の向上を図って健康雑誌や新聞などの信用度の高い媒体で記事体広告の体裁でエビデンスを掲載するなど信頼感の向上につなげています。

逆にイメージを損なうような悪い情報が出た際に、情報源の信頼性に乏しいからといって放置することは後々に大きなリスクになります。

まとめ

情報発信の直後では情報源の信頼度が重視され、時間が経過するにしたがって内容だけの記憶が残るのがスリーパー効果について説明しました。

「火のない所に煙はたたぬ」ということわざがあります。

最初は信用されなくても、情報は言霊となって残り続けるものです。良い情報も悪い情報もスリーパー効果を意識して活用しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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