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一貫性の心理とは-行動経済学の理解と実践64

一貫性の心理とは、一貫した立場を取り続ける方が心地よい、あるいはぶれない人だと他人に思われたいという心理バイアスのことをいいます。

一貫性の心理は、他の心理バイアスとも深く関わっています。

例えば、人やモノに対してある一点を高く評価すると他の部分も良い印象を持つことになるハロー効果です。

上司がある部下に対して一度優秀であると認めたとしましょう。上司にとっても、最初に高く評価したことをくつがえしたくないという思いがあり、他の点もよく評価したり少々の難点に対して寛容になってしまうということはおこりえます。

ブランドにおいても、一貫性の心理が働きます。

あるブランドのストーリーに共感を覚えた顧客がその時必要だったバッグを購入したとします。そのバッグに満足すると、ブランドストーリーへの共感度が増し、他のアパレル品も揃えたいと思うようになります。

このように同じブランドで統一してまとめたいと思うディドロ効果とも関連性が強いです。

一貫性の心理は、一般的に「ブレない人はかっこいい」と評価されることもその理由と考えられます。アップルのスティーブ・ジョブスがいつも着ていた三宅一生の黒のタートルネックは有名です。スタイルを貫くことで「かっこいい」と評価されるのと同時に、ジョブス自身は選択の手間を省くという利点もあります。

一貫性の心理を活用したセールスやマーケティングのアプローチとして、段階的に受け入れてもらうことを狙ったフット・イン・ザ・ドアがあります。

先述のブランド品のバックのように最初は小さな商品を受け入れてもらうところから始まり、顧客の共感を得た時点で、徐々に一貫性の心理を誘って、そのブランドに対する顧客生涯価値(LTV)を高めることに努めましょう。

一貫性を貫こうとするあまり無駄なことをしてしまう、評価を間違えてしまい、さらには自分にとって都合の良い情報だけを見るようになってしまい悪い情報を排除しようとする心理メカニズムも働いてしまいます。

自分自身の意思決定については、そのような心理バイアスに陥っていないか、合理的・客観的な側面を持ち続ける意識を持つように努めるべきでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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