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「確率思考の戦略論」を読む 第4章数字に熱を込めろ!

マーケティング関連本で名著とされる「確率思考の戦略論」。以前に読んで私も感銘を受けましたが、再読しながら内容をまとめています。

今回は、第4章 数字に熱を込めろ!です。

この章は、マーケティング・スキルというよりは、マーケティング・リーダーとしての意思決定の考え方について主に述べられています。

グローバルでの競争に負けないためのリーダーとしての心構えの重要さは外資系で生きてこられた森岡氏だからこそ強く感じる部分があるのでしょう。

端的にいうと、「感情」に惑わされることなく、数字を根拠にしてど真ん中を狙って意思決定すること。

ど真ん中を狙っても統計的な正規分布の確率論でいえば成功する確率は7割程度なのに感情論にまどわされて少しでも真ん中から(1標準偏差)ずれるとその成功確率は50%を切ってしまいます。

日本の企業は感情論に押し流されて、意思決定の段階でど真ん中を狙っていない。だから、日本企業が勝てない理由がそこにあるとしています。

西欧のリーダーは、サイコパス(=感情的葛藤や人間関係のしがらみなどに迷うことなく、目的に対して純粋に正しい行動をとれる性質のこと)性が強いことから勝つための意思決定ができます。

でも、つらい意思決定ができるのは西欧人の特権なのかというとそうではありません。

英首相サッチャーのように、卓越した努力の上に豊かな感情を押し殺して非常に決断ができるようになった人物もいます。

痛みを自分で背負うことができない人は、より大切な目的のために、大切な別の何かを切り捨てることができません。だから結局は何も変えることができないのです。

「確率思考の戦略論」より

もしその選択が非情で多くの批判を受けるとしても最も勝つ確率の高い戦略を選択する強さが求められるということですね。

森岡氏もそのような非情な決断の中で神経をすり減らした様子が本書では語られています。

戦術に熱を込める

戦略は作ったら終わりではないです。

戦術に落とし込み現場に落としこまなくてはなりません。

ここで必要となってくるのが「」です。

もし、現場の実行部隊が動かない場合は「冷徹な鬼」となることも必要です。

人に動いてもらうには、誰よりも「熱」をもっていないといけません。

左手には数字に裏打ちされた氷のような冷徹さを、右手には涸れることのない執念を燃やしたマグマのような情熱を、それぞれ両手に備えて、ようやく困難なゴールに辿り着く、私はそう考えています。

「確率思考の戦略論」より

まとめ

私は、外資、内資両方での勤務経験がありますが、欧米のリーダーは長期的視野も持ちつつ、とにかく短期においても勝ちづづけなくてはならないという使命があるので、すべての意思決定において迷っている暇なんてないんだ、ということを目の当たりにしてきました。

また、欧米的なやり方のすべて正解というわけもありませよね。最近では従業員が自社のパーパスを実践することの重要性を説いて、傾きかけた巨大企業ベスト・バイをたてなおしたユーベル・ジョリーのリーダーシップも注目されています。

Cool head, warm heart(冷静な頭と温かい心)」という言葉は経済学者のマーシャルが言った言葉です。

マザーハウスの副社長の山崎大佑氏は、「Warm heard, cool head」として、熱い情熱を前に持ってくることが重要だとセミナーでおっしゃっていました。

自分の熱い思いを前面に出しつつ、頭では冷静に勝率を計算している姿勢が必要なんですよね。

リーダーは、常にその両方を磨いておく必要があるんですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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